27歳で就業経験わずか1年3カ月。 “働く理由はお金のため“以外に彼が見つけた、本当のやりがい グッドエージェント賞2016 金賞
株式会社R4CAREER 金子玄氏
岐阜県出身、名古屋で勤め先を探していた27歳のSさん。アルバイトや契約社員での経験しかなく、自分の将来を決めかねていた彼が、東証一部上場の外食企業B社に正社員で採用された。その実現に一役かったのは、東海地区を専門とする転職エージェントの(株)R4CAREERの金子玄氏。Sさんが新たな一歩を踏み出せた理由を、金子氏に聞いた。
目次
1留で就業ブランクあり。“働く理由”の確認から始まった
Sさんは家庭の事情から、大学の学費を賄うためアルバイトに明け暮れ、1年留年して卒業。学生時代は就職活動もままならず、卒業から2年後にようやく契約社員としてメーカーに就職、1年3カ月ほど熱心に働いた。正社員登用の話も出たが、深夜勤務手当がつかない条件だったので、上長に改善提案を行うも却下。やむなく退職し、転職活動を開始。
「今後のキャリアをどう作っていくかということに漠然と不安を感じていました。本来は時間をかけて考えるべき課題ですが、就職しなければという焦りが先立ちました」とSさん。そして東海地区に強い人材紹介企業数社に登録、そのとき出会ったのが転職エージェントの金子氏だった。
金子氏は、Sさんの職歴の少なさが気になったものの、とにかく会ってみようと面談したそうだ。
「話を聞くと、彼はかなりの苦労人でしたが、それを表に出さず、困難から逃げることなく、真摯に生きてきた人物だとわかりました。しかし経歴でいえば留年のうえ就業ブランクも多く、書類選考で苦戦。また、学費を払うため稼ぐことに必死だったせいか、“働く理由はお金”としか思えず、自分の将来や方向性はボンヤリとしたまま、考えがそこまで至らないという状況でもありました。私が常々思っているのは、“稼ぐためだけに働いても、長くは仕事を続けられない”ということ。彼にも、お金以外に働く喜びがきっとあるはず――まずはそれを一緒に探すことから始めようよと提案しました。」
転職エージェントの深い問いかけで、たどり着いた本当の気持ち
「お金のためだけに働く人生なんてつまらないでしょう?」という金子氏の問いかけに、もっともだと頷いたSさん。彼の同意を得て、金子氏はそのレジュメを丹念にひも解いていった。
「まず、大学卒業までに時間が掛かった理由は何だったのか。学費を稼ぐためのアルバイトとバンド活動が原因だというので、それぞれどんな面白さがあったかを尋ねました。すると、自分たちの音楽を観客に楽しんでもらえていたこと、接客のアルバイトをしたときには高齢のお客によく話しかけられ、かわいがってもらえたことなどは、やりがいもあったし嬉しかったと。『その喜びは、これからやる“仕事”でも得られるんじゃないかな』と聞くと、『そういう考え方もありますね』と気付いてくれました。」
そうして金子氏は、Sさんが得てきた体験を一緒に振り返り、Sさん自身の言葉で思いを語らせ、働くことの付加価値を見出す手助けをしていった。
「Sさんはアルバイトとはいえ接客・サービス業の経験があり、対ユーザー視点を持っていました。そこで、彼に紹介しようとひらめいたのが外食事業を行うB社でした。しかし彼にとって、外食はまったくの想定外。そこで『Sさんの場合、就業ブランクなど、同世代と比較してマイナスになる部分を盛り返すところから始めなくちゃならない。そのためには、 “上”にいけるチャンスがある、つまりポジションがどんどん生まれてくるような、いま伸びている企業を選んだほうがいい』と薦めてみました。」
B社のことはおろか、B社が展開する居酒屋にも行ったことがなかったSさん。しかし金子氏との面談時、その場で同社の理念やユーザーの声をネット上で読み、さらに「“人を感動させ喜ばせる”ことに重きを置く、ちょっと他とは違う店舗経営をしている店だよ」という金子氏の言葉を聞いて、興味が湧いた。Sさんは、その後もB社の評判をネット上で再度調べ、店に足を運ぶなど、自発的に“知るための努力”を始め、B社への入社の意志を高めていった。
Sさんは、そのときのことを振り返る。
「正直、外食事業は全く視野に入れていませんでした。休みが少なく忙しいというイメージしかなかったからです。でもB社を調べるうちに、“店舗で働くのも楽しそうだ”と思えてきました。かつて工場で単調な仕事ばかりしていたせいか、働く=作業という認識しかなかったのですが、そうではない働き方もあることを知って応募してみよう!と。」
採用条件に合わない未経験者も磨かれて育つ
実は、当時B社は新店オープンを間近に控え、経験者の採用を金子氏に依頼していた。Sさんは業界未経験のうえ、就職経験も短い。だがSさんの熱意や意欲をかっていた金子氏は、東京本社の人事に働きかけた。
「『業界未経験者で職歴も少ないのですが、彼は苦労を知っている人物で、人柄も良い。何より御社で働きたいという意欲にあふれています』と、私自身熱意をもって人事に伝え、面接を取り付けました。そこからはSさんと二人三脚で面接対策です(笑)。面接に適した服装や言葉遣いに始まり、自分で納得できる言葉を選んで語れるようになるまでアドバイスしました。最終的には彼も自信を持って発言できるようになり、結果は見事、採用!」
採用条件と合致しない職歴のSさんが内定を勝ち取れた要因は何だったのか。
「一概には言えないものの、若い方やキャリアが浅い方ほど、転職の際に企業を選り好みする傾向があります。転職の成功体験や他人の価値観を受け入れた経験が少ないために、自分の考えに固執してしまうんですね。しかしSさんは、素直で、他人の意見をよく聞き入れる方でした。自分に自信がないなら、素直に相手の話を聞き入れる――彼が転職できて自分の人生の流れを変えられたのは、それが大きな要因だと思います。」
まず一歩踏み出してみること。そこから新たな道が開ける
当初『働くのはお金のため』と言いきっていたSさんだが、B社で働き始めてから仕事に対する意識も変化したという
「新店舗オープン前、社員として仲間と開店準備に取り組み、一つの目標に向かって頑張っていけることにやりがいを感じました。また、アルバイトと社員の距離が近く、店長も対等な接し方を心がけていて、アルバイトの方の長所を引き出すという運営をしていました。以前、私が体験していたような、“単なる作業ではない、退屈を感じない仕事”がそこにはありました。最終的に、どんなに忙しくても仲間と楽しく働けたら満足というのが、私の出した結論でした。」
Sさんは金子氏との出会いで、働く理由より働く意義を確実に見出した。「それは大きな変化だった」と、金子氏。
「最初に彼のレジュメを見たとき、いったいどんな会社が合うのか悩んだのも事実です。しかし自分のわがままではない外的な事情で苦労を余儀なくされていたわけですし、応援してあげたかった。彼も応えてくれたから内定が取れたのですが、『人の可能性を頭ごなしに否定してはいけない』ということを彼から教えてもらったように思います。
東海地区は製造業の人気が圧倒的で、残念ながらサービス業や外食産業は、求人は多いのに人が集まらない傾向があります。採用が難しいといっている企業でも、間口を広げれば採用の可能性が広がるということを企業側にも伝えることができたのは、彼のおかげです。
転職を考えている方、特に若手の中には、キャリアの方向性が見定められない、自分のやりたいことがわからないという方も少なくないと思います。私はそういう方々に、まず何か行動してみることをアドバイスしています。とりあえずレジュメを書いてみる、応募してみる、面接に行ってみるなど、何でもいい。始めの一歩を踏み出すこと、そのために背中を押してさしあげることが私たちの使命です。」
転職者へのメッセージ
「自分がこれからどうしていいかわからない」と迷っている方は、ぜひ一度、転職エージェントに相談してみてください。あなたの将来を、客観的に、一緒に考えるお手伝いをします。
また地元で転職したい、あるいはU・Iターンを希望する方は、その土地に根差した転職エージェントに相談することを勧めます。例えば私たちなら、この東海地区で成長したい人・企業と共に歩むこと、この地区の子供たちに産業・仕事を残すことを使命にしています。地元のことをよく知るプロを味方にして、あなたのよりよい未来を開きましょう!」
【プロフィール】
株式会社R4CAREER 金子玄(かねこ・たかし)氏
大学卒業後、大手コンビニエンスストアで、店長やスーパーバイザーとして4年半勤務。当時は同社出店間もない愛知県への配属で、多くの新規出店を経験。経営資源の根幹となる人材に特化した仕事に携わりたいと考え、2007年に(株)R4に転職(現在、同社100%出資の、人材紹介事業を行う(株)R4CAREERに所属)。「人と人」のつながり、「オープンマインド」を大事に、若手からキャリアの高い方まで、東海地区での転職活動をサポートする。
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