【アマゾンジャパン合同会社】「地球上で最もお客様を大切にする企業であること」というビジョンは、 Amazonの核となるビジョンであり、その実現の為に重要な役割を担うのが、カスタマーサービス部門だ。
「カスタマーサービス部門」と聞くと、販売部門・営業部門の「補助」的な位置付けと捉える人が多いのではないだろうか。そうした中、米国・シアトルに本拠を置くAmazon.comは、カスタマーからの声を組織の本質(Core Principle)と位置づけ、カスタマーサービス部門はそのビジョンを促進させている。
あらゆるジャンルの商品を扱う総合オンラインストアとして世界最大規模を誇り、取り扱い点数は数億タイトルを超える。そんなAmazonにおいて、カスタマーサービス部門はどのような役割を果たしているのか。アマゾンジャパン合同会社のカスタマーサービス ディレクター、スコット ジョーンズ氏にお話を伺った。
▲アマゾンジャパン合同会社 カスタマーサービス ディレクター
スコット ジョーンズ氏
何より大切にしてきた「カスタマー・エクスペリエンス」をさらに向上させる
Amazonが掲げるビジョンは「地球上で最もお客様を大切にする企業であること」。
同社では従業員すべての行動・判断の軸として、「Our Leadership Principles」と呼ばれるプリンシプル(原理原則、信条)が定められているが、その14項目のうち1番目に置かれているのが「Customer Obsession(カスタマーオブセッション)」である。
「いかなるときもカスタマーを起点として考え、行動する。それにより、可能な限り簡単な仕組みを作る。カスタマーからの信頼を獲得、維持するために全力を尽くす。それが創業時から変わらない原理原則です。だから、お客様からの声を直接聞くことができるカスタマーサービス(以下、CS)部門は、Amazonの使命・組織の中心的存在なのです。Amazonの中でも非常に働きがいがある部門といえます」
CS部門において、Amazonのサイトやサービスを利用するカスタマーからの問い合わせに対応するのがカスタマーサービスアソシエイト(CSA)。その役割は、質問に答えたり、問題を解決したりするだけではない。問題が発生する根本原因に向き合い、改善を図り、さらには新たな仕組みやサービスの創出にも関わるポジションにある。CS部門が受けたカスタマーの声、あるいはそれにもとづいて提案されるアイデアは、Amazonのプラットフォームに集約され、全部門で共有されている。
「これまで、商品やサービスが増え、事業が成長してきたプロセスにおいて、何よりも大切にしてきたのが『Customer Experience(カスタマー・エクスペリエンス=顧客体験)』です。カスタマー・エクスペリエンスの向上に向け、CS部門とビジネス部門は常に連携し、コミュニケーションをとっている。CS部門とカスタマー・エクスペリエンスは、常にビジネス部門のプランに含まれています。新しいサービスや事業を計画する際にも、立ち上げから開発、導入後のメンテナンスまでの全プロセスにおいて、「お客様の声」は反映されます。カスタマーからいただいた学びをビジネス部門に伝えることで、事業の改善や創出に欠かせない役割を果たしているのです」
CSを起点に新たな仕組みが生み出される
実際、現存する仕組みやサービスの多くが、CS部門で集約されたお客様の声を基に改善や設計がされている。
例えば、商品発送の際、封筒に入れると角が潰れやすいため、小さな箱に入れるようになったのも、カスタマーの声を受けて改善されたものだ。
一方、サイト上の記載について「こう変えた方がわかりやすい」「こんな注意書きを記載すべき」といった意見も受け止め、反映する。
日々の改善は国ごとに、その国でカスタマーから求められていることに合わせた形で行われる。日本においては、「商品の配達時間内に帰宅できない」というビジネスパーソンたちの声に応え、「コンビニ受け取り」の仕組みが構築された。これは全世界のAmazonの中でも日本独自のサービスだ。
こうした姿勢やプロセスにはトヨタの生産方式における考え方「カイゼン」が取り入れられている。
そしてもう一つ、トヨタ式を取り入れたのが「アンドン」だ。アンドンとは、生産ラインにおいて、異常が発生した際に即座に他者に知らせる報告システム。「行灯」を語源とし、ランプの紐を引くと黄や赤のランプが点灯する仕組みである。
「CSの仕事においても、カスタマーからAmazonの商品の欠陥や問題を指摘されたとき、カスタマーの安全と体験を最優先し、CSA自身がアンドンのスイッチを押すことで該当商品の出荷をすぐに停止させることができます。その問題は全部門に伝わり、原因やエラー箇所を突き止め、販売を早期再開できるように努める。常にお客様のもとに期待通りの商品が届くようにする、という目標に対し、このアンドンシステムは有効に機能しています」
そして、このシステムはさらに進化を遂げている。
「以前は、カスタマーからの問い合わせを受けたCSAがマニュアルを参照してエラー種別コードを調べるなどの手順を踏んでいましたが今は大部分が機械学習によって対応できるようになっています。システムが機械学習をもとにエラーを識別できるため、CSAがマニュアルにもとづいて一つひとつ対応するよりも効率化できました。問題をよりスピーディに解決できるようになったのです。これからも人の力とテクノロジーを融合することで、さらにCSの質を磨いていきます」
課題解決のプロフェッショナルとして、幅広いスキルが磨かれる仕事
「CSはAmazonでのキャリアをスタートするには最適な選択肢の一つ」とスコット氏は言う。
前述のとおり、CS部門は組織を横断した働き方をしており、会社の全体像が見える立場。つまり、Amazon内で推進される全てのビジネスに触れられるということだ。
「CSという仕事にどんなやりがいや面白みを感じるかは人それぞれでしょう。ただ、私個人の信条でいえば、カスタマーに対して価値ある貢献ができること、そして貢献することで認められ、新たなAmazonの中でのキャリアの成長につながっていくというところにやりがいがあると思っています」
CSAには、契約社員・在宅勤務といった働き方があるが、正社員登用制度もありリーダーやコーチ、マネジャーへのステップアップも可能だ。
そしてAmazonにとどまらず、幅広い業種・職種で活かせるビジネス力も身に付くという。
「Amazonには『Our Leadership Principles』という原則があります。
ここでいう『リーダー』とは、誰かの問題を解決し、アイディアを広げ、チームをサポートするというマインドセット(考え方)を指します。つまりスタッフ全員を対象としている原則です。プリンシプルの項目の一つにあるのが『オーナーシップ』。当事者意識を持って取り組めること、短期的視点ではなく長期的視点での価値を考えて判断することを重視しています。こうしたオーナーシップを持ってカスタマーに向き合うことで、課題に対する洞察力、解決力、さらには課題を踏まえてアイデアを生み出す力も磨かれるでしょう。これらはどんなビジネスにおいても必要な能力。AmazonのCSを経験することは、幅広いビジネススキルの向上につながると思います」
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