面接で受け身だと思われないようにする方法【転職相談室】

転職活動の面接で、受け身で消極的な人だと誤解されてしまう回答や態度をもとに、採用担当者に積極的で能動的な印象を与えるにはどうすればよいのかを解説。
「受け身な印象を受けた」という理由で選考に落ちてしまうと悩む相談者に、組織人事コンサルタントの粟野友樹氏がお答えします。
目次
「受け身な印象を受けた」という理由で選考に落ちてしまう(Kさん/営業/25歳)

<相談内容>
現在、転職活動中なのですが、「受け身な印象を受けた」という理由で選考に落ちることが多いです。
どちらかというと緊張しやすいタイプではあるものの、実際の仕事ではそこまで受け身ではないと自分では思っています。
相手の話をよく聞いてから答えようとするから受け身だと思われてしまうのでしょうか。受け身な人だとマイナスな印象を持たれないためにはどうしたら良いでしょうか。
また、受け身や消極的な人物だと思われるような受け答えはどのようなものか教えてください。
転職活動における「受け身」とは
▶アドバイザー
自分では受け身ではないと考えているのに、企業側にそう思われて選考に落ちてしまうのが悩みということですね。
▶相談者
そうなんです。あまりにも自己認識と違うので、「受け身」の定義が分からなくなってしまいました。
▶アドバイザー
一般的に受け身という言葉は、「他から働きかけられるだけで、自分からは積極的に何かをしない消極的な態度や様子」のことを言います。
例えば面接で、面接担当者に質問された内容にのみ回答していたり、質問されないと発言をしなかったりなど、何か思い当たることはありませんか?
▶相談者
えっ…質問されてから発言するのは、面接のマナーだと思っていたのですが、違うのでしょうか。
▶アドバイザー
相手の発言を遮ってまで自分が話そうとするのはマナー違反です。
しかし、面接は相互理解のための場なので、自分から「伝えたい」情報を話したり、企業について「知りたい」ことを質問したりするのはマナー違反には当たらないと考える採用担当者が多いと思いますよ。
むしろ何かを熱心に伝えたり質問したりする様子が見られないと、「アピールが全く無いな」「企業理解を深めようという姿勢が見えないな」「仕事場面でも同じように上司の指示待ちをして、顧客に自ら提案できないのではないか」などと受け取られてしまう可能性もあるでしょう。
面接担当者が受け身・消極的だなと思ってしまう回答や態度
▶相談者
私の面接に臨む姿勢が、根本的にずれていたんですね。
私は、質問されてから答えることを徹底していたので、「面接全体でやりとりが一問一答でブツ切れ」になってしまっていました。
他にも、企業の面接担当者が「この人は受け身だな」「消極的だな」と思ってしまうような受け答えや態度はありますか?
▶アドバイザー
「企業理解を深めようとする姿勢が見えない」場合も、受け身で消極的な人物だという印象を与えてしまうかもしれません。
具体的には、「何か質問はありますか?」と問われて、「ありません」とだけ答えるのは、もったいないですね。
例えば積極的な人は、営業組織の話題になったのであれば、どういった人材がいるのか、どう役割分担しているのか、チームあたりの担当顧客数や売上規模はどのくらいかなどを、会話の流れの中で質問していきます。
▶相談者
なるほど。わざわざ逆質問まで待たずとも、会話の流れの中で確認していけばいいんですね。
▶アドバイザー
そうですね。他にも、受け身だととらわれてしまう人は「志望動機が薄い」という傾向もあります。
「年収が希望の範囲内なので」「残業が少ないので」など、他の企業でも通用しそうな薄い理由になっていることが多いのです。
自分なりに情報収集や仮説立てなどをして、自分の言葉にして伝えることができれば、志望意欲の高さが伝わるだけではなく、能動的な人物だと印象づけることもできると思います。
▶相談者
なるほど。他にも、受け身だと誤解されてしまうようなことはありますか?
▶アドバイザー
「キャリアビジョンがない」場合も、受け身だと判断されやすいですね。
面接では、「将来してみたい仕事はありますか」「5年後10年後にどうなっていたいですか」などの質問を通して確認されるので、具体的に答えられるようにしておくとよいでしょう。
▶相談者
面接の態度が受け身というだけではなく、仕事に対する姿勢が受け身かどうかも見られているんですね。
▶アドバイザー
その通りです。仕事に対する姿勢では、「会社や上司、顧客などの指示や依頼待ち」かどうかも、よく見られています。
これらは、「仕事で大切にしていること」や「仕事における自分なりの判断基準」を面接で質問することで確認するケースが多いでしょう。
自分なりに大切にしていることを具体的なエピソードで語れないと、受け身な印象を与えてしまうと思います。
▶相談者
なるほど。他にも気をつけた方がいい言動はありますか?
▶アドバイザー
入社後の研修内容や育成体制などを細かく確認しすぎる人や、育成プランに「成長保証」を求めるような言動をする人は、「会社に育ててもらおうとするスタンス」が受け身だと判断されかねません。
本来、入社後にどのくらい成長ができるのか、どんなスキルが身につき、どれくらいの期間で資格取得をできるのかなどは人によって違いますし、求職者の努力次第なので、そこばかり深掘りをするのはやめた方がいいかもしれませんね。
面接で「能動的」「積極的」な印象を与えるコツ
▶相談者
受け身だと誤解されないように気をつけた方がいい言動はわかったのですが、どうすれば「能動的」「積極的」だという印象を与えることができるでしょうか?
▶アドバイザー
まず大切なのは、面接の場の認識を変えることだと思います。
面接の場を「審査される場」としてではなく、「相互理解を深める場」だと捉えてみましょう。
そうすると、企業からの質問を待って回答するのではなく、自分から興味を持って自然な質問のやり取りができるようになるはずです。
▶相談者
なるほど。一問一答でブツ切れなやり取りを繰り返すのではなく、対話を意識した方がいいということですね。
▶アドバイザー
その通りです。これはある意味、普段Kさんが営業として顧客と商談をする時と同じだと思いますよ。
商談では、何らかの課題解決やプロジェクトの成功という共通の目標に向かって、お互いの考えを引き出し合いながら、相互理解を高めていきますよね。
そのためには、営業側だけが商品提案するだけになっても、顧客側がヒアリングに答えるだけになっても上手くいかないはずです。
▶相談者
確かにその通りです。
▶アドバイザー
面接で、聞かれた質問に答えるだけというのは、営業活動に置き換えると、ヒアリングも提案や補足説明やアピールをほとんどせずに、汎用資料の説明だけして顧客が発注してくれるのをただ待っている状態と同じとも言えるでしょう。
▶相談者
そう言われると…受注に至るわけはないですね。
転職活動に置き換えると、内定なんて夢のまた夢…といったところでしょうか。
対話の必要性がよく理解できました。
▶アドバイザー
対話によって相互理解を深めておくと、何かしらのミスマッチによって合格や内定に至らなくても双方が納得しやすいというメリットもあります。
選考結果に、必要に以上に落胆することを防げるかもしれません。
▶相談者
なるほど。対話を心がけるにあたって、何か具体的なコツなどはありますか?
▶アドバイザー
自分が積極的に話せるネタをあらかじめリストアップしておくと良いですよ。
自己分析から、自分の経験スキルや強み、仕事で大切にしたいことなど、具体的なエピソードを掘り下げて考えておくと良いでしょう。
他にも企業分析や仕事分析をした際に、企業の特徴や強み、その会社の募集職種で重要になりそうな部分などを想定しながら、自分との接点を探しておくことも大切です。
その際、不明点は質問項目としてリストアップすることをおすすめします。
▶相談者
逆質問に活かすのですね。
ちなみに私は、応募意欲を低く見られないようにしたくて、選考を受ける企業のことは事前にしっかり調べてから面接に行っていたので、わざわざ逆質問をすることは少なかったかもしれません。
でも、せっかく下調べしても、その調べた結果を披露する機会もなく面接が終わってしまうことが多くて…。
▶アドバイザー
事前に企業情報をしっかりと下調べしているのは、とても素晴らしいことです。
ただ、その熱意や行動が企業に伝わっていないのかもしれませんね。
例えば以下のように、調べたことに自分なりの仮説を交えて質問してみるのも一つの方法です。
<質問の例>
「社員インタビューなどを拝見した際に、御社が業界トップのシェアを誇る理由は、顧客の課題をリアルタイムで吸い上げて商品開発まで一気通貫で活かせる組織体制にあるのではないかと考えました。そういった高い組織力を発揮するために、現場で大切にしていることがあれば教えてください。」
▶相談者
なるほど。確かにそうやって伝えると、自分が調べたことを自然に交えながら、企業理解を更に深める質問ができそうですね。
▶アドバイザー
そうですね。このあたりも、営業活動に通じるものがあるかもしれません。
相手のことを調べるだけではなく、相手にヒアリングをして確認したり、深掘りをしたり、課題認識をすり合わせたり、言葉の定義をすり合わせたりしていくと良いでしょう。
▶相談者
わかりました。次の面接では、教えてもらったことを活かして、積極的に自分をアピールしようと思います。
今日はありがとうございました。
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