仕事は給与を得るためのもの。給与以外に働く価値はありますか?【転職相談室】

「働くうえで大事なのは給与だけ」というEさん。給与額だけを重視して転職活動をしていますが、給与以外に働く価値があるならば知りたいとのこと。
そんなEさんに、組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏が、働く価値とは何か、そして給与以外に持っていた方がいい視点などについてアドバイスしました。
目次
「働く価値」は給与以外に何があるでしょうか?(Eさん/25歳/営業職)

<相談内容>
仕事は給与を得るためのものだと思っています。
転職活動でも給与額だけを見て応募先を決めているのですが、「働く価値」は給与以外に何があるのでしょうか?
転職活動の参考にしたいと思います。
仕事の楽しさやワークライフバランスに価値を感じる人も多い
▶相談者
私は、働く価値は給与以外にないと思っています。
社会人になって3年目ですが、今までずっとお金をモチベーションに働いてきました。
現在転職を考えているのですが、転職活動でも給与額を重視して応募先を探しています。
しかし、先日友人に「転職先を探すときは、ほかの価値も重視したほうがいいのでは?」と言われて、転職先選びの基準が揺らいでいます。
▶アドバイザー
Eさんがおっしゃるように、給与は重要な働く価値のひとつだと思います。
実際、同じように考えている人は多いという結果が出ています。
政府の「国民生活に関する世論調査」(令和4年10月調査)(※)によると、「働く目的は何か」という質問に対する答えのトップが「お金を得るため」(63.3%)でした。
特に年齢が若くなるとそのように考える傾向が強く、18~29歳で「お金」と答えた人は実に79.3%に上っています。
※出典:内閣府世論調査「国民生活に関する世論調査(令和4年10月調査)」>図24「働く目的は何か」
まだ社会人経験が浅く、仕事の実績も少ない若手ビジネスパーソンは、ベテラン層に比べると賃金が低いこともあり、お金の優先順位が上がるのは当然と言えるかもしれません。
ただ、年齢が上がるとともにお金と答える人の割合も減っていくので、Eさんもゆくゆくは考え方が変わっていく可能性があります。
▶相談者
今はあまりイメージできませんが…例えば、お金以外にどんなことに働く価値を感じている人がいるのでしょう?
▶アドバイザー
同じ世論調査で、「どのような仕事が理想的だと思うか」という質問もしているのですが、「収入が安定している仕事」との回答が62.8%と最も高かったものの、次いで「私生活とバランスがとれる仕事」(53.7%)、「自分にとって楽しい仕事」(51.9%)、「自分の専門知識や能力がいかせる仕事」(35.9%)なども上位となっています(複数回答)。
なお、「高い収入が得られる仕事」という選択肢もあるのですが、こちらを選んだ人は19.0%にとどまっています。
▶相談者
これまでは「高い収入が得られればいい」という視点で、がむしゃらに働いてきましたが、ワークライフバランスや楽しさなどを重視する人も多いのですね。
新たな発見でした。
給与に目が行き過ぎて、ほかの価値観に気づけていない可能性も
▶アドバイザー
厚生労働省が発表した「経済社会と働き方の変化等について」(※)の中で、「仕事にやりがいを感じる要因」に関する調査結果が紹介されています。
ここでも、「努力や成果が収入に反映されること」がトップでしたが、次いで「お礼や感謝の言葉をもらうこと」「仕事の成果を認められること」が多いという結果になっています。
※出典:厚生労働省「経済社会と働き方の変化等について」>資料3 経済社会と働き方の変化等について(PDF)>「仕事にやりがいを感じる要因(P60)」
こうした調査結果から考えると、今後仕事を通してお礼を言われたり、仕事の成果を認められる機会が増えたりしたら、Eさんの「働く価値」も変わってくるかもしれません。
▶相談者
なるほど…。今の仕事は新規開拓営業で、お客さんからあまりお礼を言われた経験はありません。
仕事の成果も、目標数字は達成していますが上には上がいるので、上司に褒められたり表彰されたりした経験がないんです。
▶アドバイザー
Eさんの転職理由は、「収入を上げたいから」ですか?
▶相談者
そうです。仕事には慣れてきたし、一定の成績を上げられるようになったのですが、歩合率が低いので頑張っても給与がそこまで上がらず、不満を覚えるようになりました。
もっと成績が給与に反映される会社に移って、バリバリ稼ぎたいと思っています。
▶アドバイザー
でも、歩合率が高く給与水準も高い仕事は、その分求められる成果も高く、プレッシャーも大きいと思いますよ。
効率よくたくさんの客先を当たって成果を上げる方法や、相手にイエスと言ってもらうための商談内容や組み立て方、商談決定率を高める方法なども考えなければならないので、プライベートも仕事のことをずっと考え続けているという人も多いようです。
▶相談者
うーん…プレッシャーを感じながら働くのは嫌ですね…。
そして、オフにはしっかり休んで翌週仕事に向き合うための英気を養いたいです。
▶アドバイザー
ということは、Eさんはワークライフバランスも重視したいのではないでしょうか。
自分では気づいていないだけで、Eさんの中にはお金以外の価値観もあるのでは?
▶相談者
言われてみれば、そうかもしれません。
お金ばかりに目が行っていて、ほかの重視ポイントに気づいていなかったのかも。
今の会社は、歩合率は高くないけれど仕事は任せてくれるし、厳しくプレッシャーをかけられることもないから、それを当たり前のように捉えていて、価値を感じずにいました。
仕事の価値観をつかんだうえで活動すれば、転職満足度も高められる
▶アドバイザー
改めて今の環境に対する不満と、満足している点を洗い出してみると、給与以外に大事にしたいことが見えてくるかもしれません。
なお、厚生労働省のサイトの中に、自分の「仕事の価値観」を診断できるツールがあるので、試してみるのもいいでしょう。
価値観が客観的に洗い出せるので、給与以外の価値観にも気づきやすいでしょう。
自分の価値観に合った仕事を選べば、楽しさややりがいを感じながらイキイキ働くことができます。
仕事にやりがいを持って臨むことができれば、自ずと成果につながり、給与額もついてくるのではないでしょうか。
▶相談者
わかりました。給与額ばかりに目が言っていたので、それだけが自分の働く価値だと思い込んでいました。
もっと今の自分と向き合いつつ、診断ツールも試してみたいと思います。
▶アドバイザー
給与以外に大事にしたい価値がある場合、給与額が高いというだけで転職を決めてしまうと、入社後にギャップを覚えて辛くなってしまう可能性もあります。
転職活動を始める前に、まずはぜひ自身と向き合ってみてくださいね。
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