短期間で退職した場合の面接対策と回答例文【転職相談室】

面接で、企業が短期離職の理由を質問する意図は何でしょうか?どう伝えると心証が良いのでしょうか?
面接対策ポイントと短期離職理由の回答例文を知りたいという相談者に、組織人事コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。
目次
転職後 3か月で短期離職してしまいました。次の転職面接ではどう説明すればよいでしょうか。(Sさん/営業/27歳)

<相談内容>
転職先の上司と、どうしても合わず、長時間労働と仕事のプレッシャーが重なり、体調を崩してしまい、入社後3ヶ月で短期離職をしてしまいました。
これから次の転職活動を進めるにあたって、「なぜ3ヶ月でやめたのか」は必ず聞かれると思うのですが、どう答えたら良いのでしょうか?
突っ込んだ質問をされたら答えられるのだろうか、堪え性がないと思われて不利にならないだろうかなど心配がつきません。企業の採用担当者にどう思われるかが怖くて、転職活動にもなかなか踏み出せずにいます。
ぜひ、事前にできる面接対策方法を教えてください。
企業が短期離職の理由を通して確認したいこと
▶アドバイザー
まず初めにお伝えしておきたいのですが、企業の採用担当者も、短期離職をすることがダメなことだとは一概に思っていないと思います。
転職をする理由は様々です。
その原因が、個人だけにあるとは限りませんし、家族を含めた家庭環境や、職場での人間関係、社風とのマッチ、会社の業績など様々な要因があるからです。
なので、短期離職をしていたとしても自分を恥じたり、必要以上に身構えたりする必要はないと思いますよ。
▶相談者
そうなんですね。それを聞いて安心しました。
でも、それならば、どうして短期離職の理由を企業は知りたがるのでしょうか。
▶アドバイザー
企業側は、なぜ短期間で辞めることになったのかという理由や背景を知ることで、応募者の価値観や人物タイプ、キャリアビジョンなど、働く上で大事にしていることを知ろうとしているからです。
短期離職に限らず、転職理由や退職理由を語ってもらうことで、「本当はもっとこういう働き方をしたい」という本音の部分を引き出し、自社とマッチするかどうかを判断しようとしているケースが多いでしょう。
▶相談者
そうだったんですね。例えば、短い期間で辞めているからこそ、重点的にチェックされるような内容はありますか?
▶アドバイザー
「短期離職をしたことを、どう捉えているのか」は確認されるかもしれません。
具体的には、その経験による学びや気づきを今後にどう活かそうと考えているかなどです。
例えば、どんな理由があったにせよ、前職批判が強く、会社や同僚などのせいばかりにしていて他責にする傾向が強すぎると、「もしかしたら自社に入社した後も、上手くいかないことがあったらすぐに他人のせいにして辞めてしまうのではないか」と心配する採用担当者もいるでしょう。
他にも、働くことそのものへの意欲が低すぎないか、柔軟性や適応力が低すぎないかといったことを気にするケースもあるかもしれません。
短期離職をしたことを面接で伝えるときのポイント
▶相談者
ということは、短期離職者に限らず、企業側は自社にマッチして長く働いてくれる人かどうかを、気にしているんですね。
▶アドバイザー
その通りです。最初に伝えた通り、短期離職をしていたら不採用になるというわけではありません。
ただし、「自社に定着して、長く働いてくれるかどうか」という点において懸念を抱く採用担当者はいるかもしれません。
だからこそ面接では、短期離職について話す際は、誠実な姿勢で話すことが大切になってきます。
▶相談者
誠実な姿勢というと、具体的にはどういうことでしょうか?
▶アドバイザー
まず、基本的なことですが「嘘はつかないこと」が大切です。
短期離職をしていることで不利になりたくないという思いから、離職期間や離職理由などを誤魔化してしまうと、面接回数を重ねるごとに辻褄が合わなくなったり、不審な点が生じたりすることがあります。
こういった行為は、前職の上司などに勤務態度などを確認するリファレンスチェックなどで嘘だと判明するケースもありますし、嘘だとは判明しなくても、怪しまれた時点で心象はあまり良くないでしょう。
▶相談者
なるほど。他にも注意した方がいいことはありますか?
▶アドバイザー
「前職批判や他責にしすぎない」ように注意しましょう。
短期離職せざるを得ない状況だったと伝えたい場合もあると思いますが、前職批判や他責ばかりしていると、結果的には自分の印象をマイナスにしかねません。
同様に、「ネガティブな言葉ばかりを使わない」ことにも注意すると良いでしょう。
面接時間は限られているので、批判や他責、愚痴めいたことばかりを話すよりは、事実を端的に説明し、謙虚な姿勢や努力改善の姿勢を見せながら、ポジティブにこれからやりたいことを話す人の方が、面接担当者にとっては好印象に映るのではないでしょうか。
▶相談者
確かにそのとおりですね。これから一緒に働いていく人を選ぶなら、採用担当者だってネガティブなことばかり話す人よりは、ポジティブな捉え方もできる人の方が、きっといいですよね。
心配ばかりしていて、その視点は持てていなかったので、気が付けて良かったです。
短期離職をした理由を面接で聞かれた時の回答例
▶相談者
ちなみに、ポジティブにこれからやりたいことを話すというのは、具体的にはどうすれば良いのでしょうか?
▶アドバイザー
短期離職の理由を聞かれたら、「退職した理由を2割・転職で実現したいことを8割」で話すようにしてみると良いですよ。
参考までに、いくつか面接での回答例をご紹介しますね。
前職は実力主義な社風で、切磋琢磨できる環境だと考えて就職したのですが、実際は中途入社の社員への教育やフォローが全く無い環境でした。 なんとか組織に馴染んで成果を出したいと考え、既存社員にノウハウ共有を働きかけましたが、実力主義な社風ゆえにライバル関係の方が強く、周囲からの助力も見込めなかったため退職しました。 営業として、高い目標に向かって個々人が努力する環境に身を置きたいという気持ちは変わっていませんが、現在はそれに加えて、個人主義ではなく組織全体で高め合っていける環境で働きたいと考えています。 私は、周囲との協働の中で成果を出し、個人だけではなく、チーム目標や組織目標、会社の成長に貢献するためにはどう行動すれば良いのかを考えることが得意なので、自分の強みを活かして組織貢献をしていきたいです。 |
前職には、フルリモートワーク勤務可能という内容で転職しましたが、引き継ぎ期間を過ぎても、当日になって出社を求められることが週に3回以上あり、育児をしている関係上、この働き方を続けることが難しくなり退職しました。 現在は、リモートワークを導入していて、出勤の要請を前日までにしてくださる会社への転職を希望しています。 仕事の早期キャッチアップや、職場での人間関係構築、至急対応が必要な案件のためには直接顔を合わせることが効果的であるということも理解しているので、事前調整をした上で出勤についても臨機応変に対応したいと考えています。 社内外に対して丁寧に対応することと、コミュニケーションを密にとって連携していくことが得意なので、入社後は早期に組織に馴染んで、成果をあげていきたいです。 |
前職への転職時に、配属予定だったコンサルティング営業部が会社の組織変更に伴い消滅してしまいました。その後配属されたルート営業の部署では、転職前に思い描いていた自己成長やキャリアを実現できないと考え、やむを得ず短期離職をしました。 これまで私は、課題のヒアリングに力を入れており、顧客が困っている内容にマッチした提案をするソリューション営業で成績を伸ばしてきました。 今後は、ヒアリング力と提案力をさらに伸ばしたいと考えており、顧客の経営課題を把握し、利益を最大化するためにはどうしたらいいのかを考えて提案するコンサルティング営業に、どうしても挑戦したいと考えています。 顧客と共に自分も成長し、所属会社の利益にも貢献していきたいです。 |
▶相談者
なるほど。確かに、短期離職をした理由ではなく、転職で実現したいことをメインに話そうとすると、自然とポジティブな内容になっていきそうですね。
▶アドバイザー
そうですね。短期離職をした事実は変えられないので、そこを掘り下げるよりも、転職後にどう働きたいのか、どんなことを実現したいのかなど、事実を踏まえて成長しようとしている意欲を伝えるようにしてみてください。
▶相談者
はい、やってみます!企業が短期離職について質問する意図も分かりましたし、面接での具体的な回答例文も知れたので、必要以上に怖がらずに転職活動に取り組めそうです。
今日はありがとうございました。
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