マネージャーに昇進したのですが、仕事の責任が大きく、人間関係のストレスが辛い。転職するのはありですか?【転職相談室】
プレーヤーとしての実績を評価されマネージャーになったものの、仕事に慣れずストレスが大きいというKさん。
マネージャーには不向きなのでは…と転職も検討しているそう。
そんな悩みに、組織人事コンサルタントの粟野友樹さんがお答えします。
目次
マネージャーに昇進したけど、仕事の責任が大きく、人間関係のストレスが辛い…。転職するのはありですか?(Kさん/IT・プロジェクトマネージャー/32歳/男性)

昇進当時は、プレーヤーとしての実績を評価されたことがうれしかったのですが、すぐに、マネージャーの重圧を感じるように…。
私がプレーヤーだったときの仕事の進め方とメンバーのスタンスが違うので、なかなか理解が得られずコミュニケーションがうまくとれません。
私はプレーヤーとしてスペシャリストを目指した方がいいのかな…と転職も考え始めています。
「自分には向いていない」と早急に結論を出そうとしなくてもいい
アドバイザー
マネージャーに抜擢されたということは、周りから評価されているということですね。
プレーヤーとマネージャーは役割が全然違うので、すぐに成果が出るとは限りません。
「自分には向いていない」などと早急に結論を出そうとしなくてもいいでしょう。
相談者
でも、昇進して半年経ちましたが、思うように成果が出ないんです。
プレーヤーで実績を重ねていたときと比較すると、マネージャー職は不向きなのではと不安になります。
アドバイザー
複数のメンバーを束ねてプロジェクトを進める仕事は、成果を図る指標が多様であり、変動要因も多くあります。
Kさんをマネージャー職にした上司や人事としても、マネージャー職に慣れてもらうための移行期間を想定していると思いますよ。
Kさんの悩みは、
- 会社や上司からの、役割期待の重圧
- メンバーマネジメントへの戸惑い
の2つがあると思います。
今は周りのマネージャー仲間や先輩、上司に相談しながら学んだり、自分で勉強したりしながら慣れていく期間だと捉えてみてはいかがでしょうか。
マネージャーとしての仕事・人間関係に悩んだ時のアドバイス
相談者
プレーヤーのときはシステム開発業務に注力していればよくて、今思えばラクだったな…と感じてしまいます。
上司からの役割期待とメンバーへの対応を、どう変えていくといいのでしょう。
一人で抱えこまずに、上司や仲間に頼りながら成長しよう
アドバイザー
マネージャーになると、「チームをまとめて、メンバーの育成や評価を行う」「案件の売り上げを立てる」「納期を守る」など、求められる役割が増えます。
まずは上司に、自分はどんな強みを評価されて、何を期待されてマネージャーに昇進したのか、いつまでにどんな成果を出せばいいのかを改めて聞いてみてはいかがでしょう。
「社内でいうと、〇〇さんのようなマネージャー像を目指してほしい」など、上司と共通のイメージを持てたら、そのマネージャー本人にヒアリングに行くのもいいでしょう。
相談者
周りのマネージャーはタイプの違う人ばかりで、それぞれ自分のやり方を確立しているように見えます。
私も、自分で何とかしなくちゃ…と思い込んでいました。
アドバイザー
今は自分のスタイルを持っていても、マネージャーになりたての頃はみんな悩んでいたのではないでしょうか。
同じ役割期待を背負っているもの同士、アドバイスし合えたりすることは多いでしょう。
他のマネージャーに、「こんなことで悩んでいる」と頼ることで同朋意識が芽生え、助け合う関係性ができる可能性もあります。
ヒアリングする際は、成功事例だけではなく、失敗したケースも教えてもらうといいでしょう。
例えば、「こういうタイプのメンバーには、こういう対応をした方がいい。自分はこうして失敗してしまったから、○○のケースではこうした方がよい」など、体験に基づいた各論が出てくるかもしれません。
多くの事例を知り、参考にするものや自分のチームに取り入れられるものを取捨選択しながら成長していくことが大事です。
定期的にコミュニケーションの場をつくり、メンバーの性格特性や考えを知ろう
相談者
なるほど。
自分はまず、メンバーのタイプを理解するところから始めないといけないのかもしれません。
「自分がプレーヤーのときは、こうやって仕事をしてうまくいったのに」と、つい自分のやり方を中心に考えてしまうところがあります。
アドバイザー
プレーヤーとして実績、成功体験がある人こそ、そのジレンマに陥りがちです。
メンバーマネジメントでは、定期的に話し合いの場を作り、メンバーが何を考えているのか理解することが大切です。
例えば、これまでの仕事の仕方やパフォーマンスを発揮したケースを詳しく聞いていくと、メンバーの特技や苦手な部分が見えてきます。
最近は、社員への性格適性診断を導入している会社も増えているので、そうした診断結果をメンバー理解に活用するのもいいでしょう。
そこで、一つの課題にフォーカスさせた方がいいのか、マルチタスクを与えた方がいいのか、進捗を細かくフォローした方がいいのか、最終ゴールまで見守るスタンスがいいのか…。
一人ひとりの特性を知れば対応が変わり、メンバーにとっても心地よく動けるようになるでしょう。
相談者
そうですね。
私は、自分がメンバーの一人だったときは、主体性を尊重される方が好きだったので、マネジメントにもそのスタンスを取り入れていました。
アドバイザー
そうしたKさんのスタンスをメンバー達に伝えることも、コミュニケーションの一つです。
例えば、「前のマネージャーは細かく進捗管理するスタンスだったと思うけれど、自分はみんなのやり方を見守り、主体性をサポートする方針でやっていきたい」など、Kさんの考えをきちんと伝えることも大事です。
相談者
確かに、その方がメンバーの納得感につながりますね。
マネージャーの立ち位置として、適切なバランスを保とう
アドバイザー
マネージャーには、会社の意向を現場に翻訳して伝えるという重要な役割があります。
そのときに大切なのは、会社側(上司や経営サイド)と現場(メンバー)の間で適切なバランスを保つことです。
相談者
バランスを保つとは、どういうことでしょうか。
アドバイザー
どちらの意向も理解した上で目的を言語化する、とも言い換えられると思います。
マネージャーになりたての方に陥りがちなのは、会社からの役割期待に応えようとするあまり、上から言われた目標をそのまま現場に伝えて反発を起こしてしまうことです。
相談者
ああ、わかります。
私もプレーヤーだったとき、現場を理解してくれるいいリーダーだった人が、マネージャーになった途端に、“会社側”についてしまったような感覚になったことがありました。
アドバイザー
そうなんです。
例えば、経営サイドから下りてきた目標を、「月〇件の契約、納期短縮」とゴールだけ伝えられても、背景が理解できなければ現場の納得感は高まりません。
メンバーには「なぜこの目標になったのか」「それによって会社や事業をどう伸ばしていきたいのか」「みんなにはどこまでやってほしいのか」を丁寧に伝える必要があります。
会社側の意向だけ理解してもダメですし、メンバーの肩だけ持ってもマネージャーとして評価されないという難しさがあります。
相談者
だからこそ、普段からのメンバーとのコミュニケーションが大事なんですね。
転職する際のアドバイス
アドバイザー
仮に今後、転職を考えるにしても、マネジメント経験があるかどうかで転職の選択肢は大きく変わります。
30代ではマネジメント経験を求める企業も増えるので、現職で1~2年はマネジメント経験を積んでから動く方がいいでしょう。
相談者
私も、マネージャーとしてまだまだできることがあるな…と考え始めています。
1~2年経って、やっぱり向かないと思えてから動いた方が、市場価値としても高まるということですよね。
アドバイザー
そうですね。
ただし、その際は転職ではなく、社内で違う部署に異動したり、スペシャリスト志向を極める社内のキャリアパスがあれば、そちらにチャレンジしたりするのもいいでしょう。
どうしても転職するのであれば、プレーヤーとしてさまざまなプロジェクト経験が積める大手IT企業にチャレンジしたり、プレイングマネージャーとして活躍できるポジションを探したりするのも一つの方法です。
相談者
今後どうキャリアを考えるにしても、マネジメント経験で得たことを整理して伝えられるようになるまで、今のポジションで試行錯誤しながらやってみたいと思います。ありがとうございました。
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