転職と一人暮らしを同時に実現するにはどのように進めるのが良いでしょうか?【転職相談室】
2021年4月12日公開
最終更新日:2022年6月9日
満員電車や長距離通勤など、会社への移動の負担はできるだけ減らしたいところです。
今回は、「転職と一人暮らしを同時に実現することは可能?」という方のご相談に、組織人事コンサルティングSegurosの粟野氏がお答えします。
アドバイザー 粟野友樹
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。
転職と一人暮らしを同時に実現するにはどのように進めるのが良いでしょうか?(Tさん/Webディレクター/28歳/女性)
新卒入社した制作会社でWebディレクターをしています。入社して8年が経ち、現在はWebディレクターとして複数の案件を進行しながら、リーダーとして若手メンバーの育成・管理を行っています。実家から通っているのですが、片道1.5時間かかる上に業務量も多く、通勤の負担を減らすために都内で一人暮らしをしたいと考えるようになりました。
また、常に人手不足の会社で、忙しい割に待遇がいいわけではありません。経験の浅い若手を育成し、ようやく自分の案件を引き継ぐことができるようになる頃に、ハードワークに嫌気がさしてメンバーが辞めてしまいます。そのため常に案件を抱えながら、若手のフォローや穴埋めをしなければならず、何度社長に言っても改善されないため、思い切って退職することにしました。
次の会社の近くで一人暮らしができれば、通勤も楽になります。内定が出たら、有給休暇の消化期間中に引っ越しができればベストですが、転職と一人暮らしを同時に実現するにはどのように進めるのが良いでしょうか?
可能であれば離職せず、現職と並行して転職活動を進めよう
内定が出て、有給休暇の消化中に引っ越しを希望しているということは、「仕事を続けながら転職活動する」という計画でしょうか?
そうです。引っ越し代と新居の敷金礼金などを考えると、かなりのお金がかかりそうなので…。また、現在の会社は学生時代のアルバイトがきっかけで入社しています。就職活動も転職活動もしたことがないので、書類の作成や面接なども初めてで、あまり自信がありません。なかなか転職先が見つからない可能性もあるので、ハードワークでも仕事を続けながら転職活動をした方が安全かと思っています。
引っ越しを予定しているのであれば、離職せずに転職先を見つけることをお勧めします。なお、金銭面だけでなく、会社を辞めてから転職活動を始めると、経歴に「ブランク(空白)期間」が生じてしまいます。ブランクがあると、採用担当者は「この間何をしていたのだろう」「計画性がないのでは」などと感じ、面接で必ず確認されます。明確な理由がない限り、ブランク期間は作らない方がいいでしょう。
はい。せっかく一人暮らしをしても、次の仕事が決まらなかったら家賃を払うことができません。通勤の負担軽減も目的のひとつですが、「独り立ちしたい」という思いもあり実家を出るので、慎重に進めたいです。
転職と一人暮らしを同時に行わず、「入社後に引っ越す」という方法も
転職と一人暮らしを同時に実現することは可能ではありますが、無理はしないことをお勧めします。確かに有休消化期間中に引っ越しができればベストですが、応募企業の入社希望日が決まっている、現在の会社に引き留められる、引き継ぎが難航するなど、想定外のイベントが発生するかもしれません。また、実際に通勤してから気づくことも多いでしょう。
新しい会社に慣れるまではご実家から通って、残業時間や通勤路線などの把握ができてから引っ越ししても遅くはありません。同時に引っ越しするのはあくまで「スケジュールと希望物件がうまく噛み合った場合」のみにして、柔軟に対応しましょう。
確かに、新しい会社の様子を見て、職場の方に色々聞いてから引っ越しした方が良さそうですね。


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※ 厚生労働省「人材サービス総合サイト」における有料職業紹介事業者のうち無期雇用および4ヶ月以上の有期雇用の合計人数(2023年度実績を自社集計)2024年5月時点
応募先の軸を決めたら、具体的な条件・働き心地は面接で確認を
「転職活動に自信がない」とのことですが、転職にあたって希望条件はありますか?
Webの仕事が好きなので、経験が活かせるWebディレクターを希望しています。ただ、現在の会社は広告代理店から依頼された案件が多く、クライアントのニーズを直接確認することができません。また、納品後の評価や成果も分からないので、できれば直請けの案件を扱う制作会社を希望しています。クライアントに対して企画の提案までできたら理想ですね。
もちろん年収が増えた方が嬉しいですが、現状と同程度であれば問題ありません。どちらかというと、年収アップよりも残業が少ない方がいいですね。というのも、ディレクションの傍ら、Webデザインやコーディングのスキルを身につけていきたいと考えているからです。いずれWebデザインのスキルを活かして、副業やフリーランスとして働くという道も探っていきたいです。
Webディレクターの仕事は、大きく分けると3つの働き方があります。現在の会社のように、「【1】制作会社や広告代理店でクライアントのWebディレクションを行う」という働き方もあれば、「【2】事業会社で自社サービスのWebディレクションを行う」、「【3】SES(System Engineering Service)事業を展開する企業に在籍し、客先に常駐しWebディレクションを行う」という働き方もあります。
【1】は多様な領域の案件を手掛けることができる反面、クライアントの要望を汲んで慎重にディレクションを行う必要があります。ご相談のように、直請けでない場合はクライアントのニーズや評価が掴めないというデメリットもあります。
【2】は自社サイトや自社サービスのディレクションなので、携わる領域は限られてしまいます。一方、自社なので企画提案の余地が大きく、成果を出したときはご自身の評価として直接跳ね返ってくるでしょう。
【3】は客先で働くため、【1】よりもクライアントの反応が見えやすく、プロジェクトによって多様な領域の経験を積むことができるでしょう。一方、経験・スキルはプロジェクトに依存し、働く場所はクライアント先になります。
それぞれメリット・デメリットがありますが、「ニーズや評価を把握できる」「企画提案の余地がある」「Webデザインも学べる」というご希望を考えると、【2】の「事業会社のWebディレクター」を中心に、【1】の企業にも応募して話を聞いてみるのはいかがでしょう。
これまで制作会社にいたので、制作会社しか考えていませんでした。自社サービスのWebディレクターという選択肢もあるんですね。
はい。具体的な条件・働き心地やWebデザインを学べるかどうかは企業にもよるので、直接ご自身で確認してみることをお勧めします。また、【3】はせっかく一人暮らしを始めても、客先によっては自宅から離れてしまうので、注意が必要です。
また通勤時間がかかるのは避けたいです…。【1】【2】で探してみることにします。
記事作成日:2021年4月12日 ILLUST:安西 哲平 EDIT:リクナビNEXT編集部