未経験で人事職に転職するのは可能?具体的な方法と考え方を紹介

仕事をするなかで「人」への興味が強くなり、「人事」の仕事をしたいと考える方は少なくないようです。
未経験で人事職に転職することは可能なのでしょうか。
人事職への転職を目指す場合、これまでの経験・スキルをどう活かせばいいのでしょうか。Segurosの粟野友樹氏がアドバイスします。
そもそも未経験で人事職に転職するのは可能?
人事職の求人は、営業やエンジニアなどと比較するとそう多くありません。採用ポジションが限られているうえ、選考では人事の経験者が有利となります。未経験から人事への転職はハードルが高いといえるでしょう。
とはいえ、未経験者にまったくチャンスがないわけではありません。
人事の業務には、「採用」「制度設計」「教育研修」「労務」などの分野がありますが、「採用担当」であれば未経験者を受け入れている企業もあります。
例えば、スタートアップやベンチャー企業などでは、組織を急拡大するフェーズに入ると、新卒や若手を大量に採用することがあります。採用ターゲットと年齢が近く、コミュニケーション力が高い人が、応募者への対応窓口となる採用担当者として、未経験でも採用されるケースがあります。
また、最近の採用活動ではSNSもよく活用されるため、SNSコミュニケーションに慣れている人が求められる傾向も見られます。
近年、新たな採用手法として、「ダイレクトリクルーティング」も広がってきました。これは、転職を考えている人が経歴や希望条件を登録している転職サイトに、企業の採用担当者がアクセスし、自社が求める経験・スキルを持つ人材に直接アプローチする採用手法です。
転職希望者に自社の魅力をプレゼンして応募を促し、入社までをフォローするという一連の活動は、「営業職」の動きとも共通しています。そのため、営業経験者をダイレクトリクルーティング担当として迎える事例も見られます。
このほか、求人広告会社や人材サービス会社(派遣・紹介など)、人材コンサルティング会社などで経験を積んだ方であれば、中堅~大手企業にも採用担当として採用されるケースがあります。
このように、まず「採用担当」として転職し、入社後に「制度設計」「教育研修」「労務」などの業務にも携わっていくことで、人事のスペシャリストを目指すことも可能です。
入社後、ずっと採用だけを担当するのか、あるいは幅広い人事業務を経験できるのか、企業によってキャリアパスが異なりますので、その点は事前に確認しておきましょう。
スタートアップ企業の「管理部門」を狙う道も
スタートアップやベンチャー企業の場合、大手のように組織が細分化されていないため、1人が幅広い役割を兼務するケースが多いものです。
まずは、スタートアップやベンチャー企業の「管理部門」に入り、総務・人事全般の業務を担うところからスタートするのも一つの手です。
まだ組織が整備されていない企業では、新たな採用手法・育成プログラム・評価制度・人事制度などを自ら率先して提案し、企画・運用の経験を積むチャンスがあります。そうした行動を起こしていけば、組織の拡大に伴い、「管理部門スタッフ」から「人事スペシャリスト」へ移行することも可能になります。
もちろん、人事業務の「経験者」として人事職の求人に応募し、転職でステップアップを図ることもできるでしょう。
人材サービス企業、人材コンサルティング企業を経て、人事職を目指す
求人広告・人材派遣・人材紹介などの人材サービス企業や人材コンサルティング企業などには、未経験からでも比較的転職しやすいといえます。
企業向けの採用コンサルティング営業、あるいは求職者向けのキャリアアドバイザーなどの仕事を経験することにより、その次のステップとして事業会社の人事職に転職できる可能性があります。
転職活動の際は何をチェックされる?
未経験者が人事職に応募した場合、選考ではどのようなポイントを見られているのか、解説します。
人事を目指す理由・目標
企業は「なぜ、未経験から人事にチャレンジするのか」に注目しています。そこがあいまいだと、「現職から逃げたいだけなのではないか」「人事職にただ憧れているだけではないか」といった懸念を抱かれるかもしれません。
なぜ人事職に就きたいのか、「志望理由」を明確に伝えられるようにしておくことが大切です。
人事の仕事に魅力を感じたきっかけや理由を、具体的なエピソードを交えて語れるようにしておきましょう。そして、人事として何を目指すのか、何を成し遂げたいのか、自分なりの目標を言語化しておきましょう。
人事の仕事への理解度
「採用をやりたい」「教育研修をやりたい」などと思っていても、そう伝えるだけでは「理解不足」と思われるかもしれません。
企業側としては、人事の一部業務だけを担当するのではなく、将来的には人事全般を担ってほしいと考えています。採用・制度企画・教育研修・労務など、人事全般の役割や仕事内容への理解を深めておきましょう。
これまでの経験・スキルが人事としてどのように活かせるか
人事未経験とはいえ、これまでの仕事の経験が人事業務にどう活かせるかが期待されています。
自身の経験・身に付けたスキルを整理し、どの部分が人事業務に活かせるかを考え、整理しておきましょう。
異業種での経験をどうアピールすればいい?
人事職は未経験であっても、「これまでの経験が活かせそうだ」という期待感を持ってもらえれば、採用の可能性が高まります。
未経験からチャレンジしやすい「採用担当」に応募する場合を例に、どのようなポイントをアピールすると効果的か、営業職・接客販売職・SE職の3職種のケースで解説します。
営業職は「コミュニケーション力」「プレゼン力」を活かせる
営業を経験してきた方は、顧客との「コミュニケーション力」や、自社の商品・サービスを紹介する「プレゼンテーション力」を身に付けていると思います。このスキルは、例えば採用時に就活生や転職希望者に向けて「自社の魅力」「自社で働くメリット」を伝え、応募や入社へ導く活動で活かせるでしょう。
顧客の興味を引きつけるため、どのような工夫をしてきたか、その経験を採用活動にどう活かそうと考えているかを伝えてください。
営業職の採用に力を入れている企業であれば、「営業の仕事の魅力・やりがい」をリアルに語れることも、プラス評価につながるかもしれません。同業界であれば、自社と競合他社の違いを説明する際にも、経験が活かせるはずです。
また、人事職も「採用人数」「定着率」など、数値目標を持っているものです。営業としての「目標達成への強い意識」も、アピール材料になり得ます。
接客販売職は「ホスピタリティ」「気配り」を活かせる
自社への応募者を「個人客」と考えると、個人客を相手とする接客のスキルは強みとなります。
相手の表情やしぐさなどから「何が気にかかっているのか」を察知し、不安や懸念を解消できるように対処してきた「ホスピタリティ」「気配り」などは、応募者への対応でも活かせるでしょう。
お客様に対し、どんなコミュニケーションを取り、どんな成果を挙げてきたのかをアピールしてください。
また、「目標達成意欲」も注目されていますので、店舗が掲げる売り上げ目標などに対し、どのように取り組んだかを伝えられるといいでしょう。
SE職は「エンジニアの立場や心理の理解」が活かせる
近年、ITエンジニアのニーズが高まっており、多くの企業がITエンジニアの採用・定着のための施策に力を入れています。エンジニアの立場や心理を理解しており、それを踏まえた採用、教育研修、制度・環境整備ができる人材には期待が寄せられます。
コミュニケーション力の有無が見られますので、クライアントやチームメンバーなどとどのようにコミュニケーションを取り、プロジェクトを回してきたのかを具体的にアピールできるようにしておくといいでしょう。「課題解決」に対する姿勢や取り組み実績などもアピール材料になり得ます。
「エンジニアからなぜ人事職にキャリアチェンジしたいのか」も問われるので、志望動機を明確に語れるようにしておきましょう。
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