ポテンシャル採用とは?企業が選考で見ている7つのポイント

ポテンシャル採用の選考で企業がチェックしている7つのポイントを紹介。
ポテンシャル採用の対象者と、内定を目指す場合の準備と注意点を組織人事コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。
ポテンシャル採用とは
ポテンシャルとは、「今はまだ発揮されていないものの、将来的に発揮できる可能性のある潜在的な能力」を指します。
つまり、ポテンシャル採用とは、この将来性を重視した採用ということ。
求職者の経歴や経験・スキル、実績などより、求職者の伸びしろ・潜在能力・変化可能性を重視・評価して採用することを指します。
ポテンシャル採用の対象
企業が「ポテンシャル採用」を掲げるとき、どのような層を対象にしているのでしょうか。
伸びしろを見るという点では、主には20代の若手人材を対象とすることが多いでしょう。
ただし、企業の募集背景や採用状況によっては30代や40代などが幅広い年齢層が対象になることもあります。
例えば、募集する職種の経験者が非常に少ないケースなど、企業が求めるピンポイントの経験者が転職市場にいないときは、少しでも関連性がありそうな資格や経験を有する人材を「ポテンシャル採用」として募集することもあります。
応募が集まらない場合に、年齢層を上げたり対象を広げたりすることもあるでしょう。
もう一つの例は、異業界・異職種出身の畑違いの人材を、あえて積極的に採用したいケースです。
「新しい風を入れて組織を変革したい」「その領域の経験がないからこそ、斬新なアイデアをもたらしてほしい」といった場合に見られます。
例えば大学など研究機関の人材を戦略コンサルとして採用するケースも、ポテンシャル採用に当てはまります。
ポテンシャル採用の選考で企業が見ている7つのポイント
まだ発揮されていない潜在的な力を見るポテンシャル採用の選考において、企業の採用担当者が確認している、次の7つの観点を見ていきます。
- 自分に関わる強み
- 他人に関わる強み
- 課題に対する強み
- 何らかの困難を突破した経験、成功体験(学生時代の経験も含め)
- カルチャーフィット
- 基本的なビジネススキル
- キャリアビジョンやキャリアプラン
1. 自分に関わる強み
ポテンシャル採用では、業界・職種未経験の求職者を採用することが多いため、前職やこれまでの人生で「未経験の事柄に対してどのような態度で向き合ってきたか」が大事なポイントになります。
やったことのない事柄にも、謙虚な姿勢で学ぶ意欲を持つことができるか、変化対応力、柔軟性、好奇心、学ぶ姿勢、成長意欲、前向き志向などといったポイントを、企業は見たいと考えています。
2. 他人に関わる強み
転職先の新しい環境で未経験から仕事を進めていくには、周りを巻き込み、サポートを引き出す力が欠かせません。
ポテンシャル採用では、「ここまで調べたのですが、分からないので教えてください」と素直に質問ができるなど、周囲から好意的なサポートを得られる人柄、関係性を構築できる人柄かどうかは、大事なポイントです。
前職やこれまでの人生で、コミュニケーション力、親しみやすさ、誠実さ、協調性、素直さなどを発揮した経験、エピソードを整理しておくといいでしょう。
3. 課題に対する強み
ポテンシャル採用では、論理的思考力や分析力など、どんな環境・仕事においても生かせる汎用的な課題解決力があるかどうかも、企業が見ておきたいポイントでしょう。
課題点を分析する力や、解決に向けたアクションを論理的に組み立てて実行に移す力などをアピールできるといいと思います。
4. 何らかの困難を突破した経験、成功体験(学生時代の経験も含め)
未経験の仕事に挑戦するポテンシャル採用では、入社後にさまざまな壁にぶつかる可能性があります。
そのため、これまでの人生において、困難に遭遇したときに、どう乗り越え、どんな学びにつなげたのか。
困難をチャンスに変える力をアピールするといいでしょう。
5. カルチャーフィット
その人の持つ可能性を引き出しパフォーマンスにつなげるために、自社の社風に合うかどうかはポテンシャル採用において重要なポイントです。
選考では、適性検査なども用いてどういったタイプなのか、社内でどの人と近いタイプなのかなどを見る企業もあるでしょう。
6. 基本的なビジネススキル
ポテンシャル採用も通常の採用活動と同様に、ビジネスマナーやPCスキルなどのビジネスパーソンとしての基礎的なビジネススキルは欠かせません。
面接に至るまでのメールなどでの言葉づかいやスケジュール調整のスムーズさ、レスポンスの早さ、面接時の振る舞いなどでも、ビジネスマナーが身に着いているかどうかを見られています。
7. キャリアビジョンやキャリアプラン
ポテンシャル採用では、経歴や経験・スキル、実績などよりも、これからの可能性を評価します。
だからこそ、「なぜ新たな環境でチャレンジしたいのか」「何を実現したいのか」といった今後のキャリアビジョンを明確に語れるかどうか、キャリアプランをどこまで具体的に描いているかも、大事なポイントになります。
ポテンシャル採用を目指す場合の準備と注意点
では、ポテンシャル採用を目指して次なるキャリアに踏み出したいと考えた場合、どんな準備が必要なのでしょうか。
ポテンシャル採用だからこそ気を付けるべきポイントを、以下の順に沿って見ていきましょう。
- 履歴書・職務経歴書作成
- 応募先の選定
- 面接対策
- 内定
1. 履歴書・職務経歴書作成
ポテンシャル採用では、「経験スキル」をメインにアピールするのではなく、「伸びしろ」を伝えることが大切です。
これまでの経験から、自身の“伸びる可能性”が伝わるような強みや特徴を端的かつクリアに伝えることがポイントになります。
社会人経験が短い場合は学生時代の経験も含めて考えていきましょう。
整理する際に、さまざまなツールを活用するのも一つのやり方です。
転職サイトから自己分析シートをダウンロードしてみたり、市販のものから選んでみたり、厚生労働省が出している強み診断ツールを活用したりなどして、自分に合ったものを探してみてください。
リクナビNEXTでは、自分の強みを見つけるための「グッドポイント診断」もあります。
書類に記載する際は、下記のSTARフレームや5W1Hフレームなどを用いて、具体的な情報を入れ、理解されやすい工夫も心がけましょう。
以下の観点に沿って情報を整理することで、思考や行動プロセスを明確にする手法 Situation:どのような状況で Task:どのような課題があり Action:どのような行動をして Result:どのような成果が出たのか |
以下の項目を満たしながら順番に沿って話すこと When(いつ) Where(どこで) Who(だれが) What(なにを) How(どうやって) |
具体的な書き方は、履歴書の書き方と職務経歴の書き方を参照ください。
基本的な書き方のルール解説に加えて書き方見本や例文を確認することができ、テンプレート(フォーマット)も無料でダウンロードできます。
2. 応募先の選定
応募先を転職サイトなどで検索する際は、「ポテンシャル採用」をキーワードにするほか、「学歴不問」「フリーターから正社員」「ブランクOK」「職種・業界未経験」「社会人未経験」「応募者全員と面接」「中途入社50%以上」などの検索項目から、多様な人材を募集している企業を探していきましょう。
応募数はあまり絞りすぎず、希望に合致する条件であればまずは応募をして、選考の中で理解を深めながら判断していくといいでしょう。
求人情報だけで判断して選択肢を狭めないことが大切です。
ただ、入社後の活躍を見据え、自己分析の中で整理した自身の希望条件や興味関心、大事にした転職軸は緩和しすぎないように注意しましょう。
3. 面接対策
面接では、企業研究や業界研究を綿密に行うことで、志望意欲の高さを伝えていきましょう。
ポテンシャル(伸びしろ)を評価してもらうためにも、模擬面接などを通じた面接対策は入念に行うとよいでしょう。
前述したSTARフレームや5W1Hフレームなどを使い、未経験職種でも生きる汎用的なスキルをこれまでどのように発揮してきたか、伝えられるようにしておきましょう。
4. 内定
できるだけ現職や他応募企業と比較検討をできるように、選考スケジュールを組むことをおすすめします。
内定をもらったあとにも、社内見学やカジュアル面談、条件面談などを設定してもらい、内定企業が自分のどこを評価したのか・どのようなキャリアパスがあるのかを確認していきます。
ポテンシャル採用だからこそ、企業が人材をどのように重視しているのか、入社後の育成体制、研修の有無、OJTの進め方などを比較検討し、慎重に決めるようにしましょう。
ポテンシャル採用に似た「人物重視の採用」「第二新卒」とは
ポテンシャル採用という表現に近いものとして、「人物重視の採用」「第二新卒」がありますが、それぞれどのような違いがあるのでしょう。
人物重視の採用
人物重視の採用の場合、経験やスキル、実績を求めながらも、その上で自社のカルチャーや価値観に合っているかどうかを見るケースが多いでしょう。
例えば、部長クラスを採用する際、求める経験やスキルが同じであれば「最終判断には人柄を見たい」と多くの企業は考えます。
また、中小ベンチャー企業などは、小規模な組織体制であるがゆえ、社風になじめるかどうかを重視する傾向が強いとも考えられます。
第二新卒
ポテンシャル採用の中でも、年齢や経験年数の部分に焦点をあてた、より若手人材を採用するケースを指します。
第二新卒の定義は明確には定められていませんが、一般的には新卒入社して勤続3年未満の求職者を指します。
スキルや経験面では即戦力人材とはいえなくても、社会人として基本的なビジネススキルを習得しているポテンシャル層だと考えられるでしょう。
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