仕事の向き不向きを判断する方法と、向いていないと判断した場合の対処法

「この仕事は自分に向いているのだろうか…」という思いが頭をよぎった場合、どのようにそれを確かめればいいのかと悩む人もいるでしょう。
仕事に対する向き・不向きが気になる要因や、今の仕事が自分に向いているかどうかを判断する方法などについて、組織人事コンサルティングSeguros代表コンサルタント・粟野友樹氏が解説します。
どのようなときに「仕事の向き・不向き」が気になる?
どのようなときに仕事の向き・不向きが気になるのか、その要因(きっかけ)はさまざまですが、おおよそ下図のように整理することができます。

縦軸は個人要因が大きいのか外部要因が大きいのか、横軸は仕事に対する意欲が高いか低いのかで分類しています。
以下、主な要因①~④についてそれぞれ補足します。
主な要因①:努力するが成果がついてこない
自分としては頑張って努力をしているけれども、なかなか実績がついてこないとき、「この仕事に向いていないのでは…」と悩む人は少なくありません。
ほかにも、下記のような状況が該当します。
・周囲の期待に応えられていない ・理想とのギャップを感じている ・仕事を覚えられない ・同僚や後輩に追い越され自信を失った など |
主な要因②:飽きた
「飽きた」と「向いていない」がどう結びつくのかというと、例えば、周囲が「この仕事が楽しい。やりがいがある」と一生懸命打ち込んでいる様子を見て、「自分はできないわけではないけれど、これ以上やりたいと思えない。もはや向いてないのかな」と考えてしまうようなケースです。
ほかにも、下記のような状況が該当します。
・仕事内容に興味を持てなくなった ・言われたことしかやる気にならなくなった ・達成感ややりがいを感じられなくなった ・モチベーションが上がらなくなった など |
主な要因③:想定したキャリアと異なる、環境や役割が変わった
当初はやる気があって意識も高かったものの、会社の指示や環境の変化などの外部要因により、「今の仕事は向いていないかも…」と感じるようになったケースです。
具体的には、下記のような外部要因が考えられます。
・新卒入社でやる気満々だったのに希望と異なる部署や仕事に配属された ・同じ仕事ではあるが顧客や担当分野が変わった ・途中で希望していなかった部署に異動した、転勤になった ・管理職にはなりたくなかったのにならざるを得なくなった など |
主な要因④:仕事・組織・評価に対する不満が蓄積
さまざまな外部要因に不満が蓄積し、本人の仕事への意欲も低い下記のようなケースだと「向いていない」と感じる度合いも大きいと言えるかもしれません。
・担当する仕事内容に納得がいかない ・上司を始めとして人間関係に嫌気が差している ・プロジェクトでの評価が見合わない ・苦手なことをし続けなければならない など |
今の仕事が向いているか・向いていないかを判断する方法
上の表ではわかりやすく4つに分類しましたが、実際には、複数の要因を抱えているために簡単に割り切るのが難しいケースも多くあります。
そこで、まずはこの分類を参考にしながら、自分が今の仕事の向き・不向きを考えるようになった要因(きっかけ)について、掘り下げていきましょう。
すると、ある程度の判断基準が見えてきます。
具体的な方法として、以下の3つを参考にしてみてください。
判断方法その1:自己分析をして、向いていないと思う点を明らかにする
1つ目は、「自分が向いていないと思う点を書き出すなどして、明らかにする」ということです。
このアウトプットにより自分の中のモヤモヤが整理され、スッキリするはずです。
要因①(努力するが成果がついてこない)の場合は、どこに躓いているのか、何が原因でうまくいかないのかを考えてみましょう。
併せて、自分ができていることは何かについても、整理しておきます。
要因②(飽きた)、要因③(想定したキャリアと異なる、環境や役割が変わった)の場合は、自分が想定していたキャリアプランを振り返るとともに、今後のキャリアビジョンについて考えてみてください。
「どんな仕事は面白かったのか」を振り返り、「飽きたとはいえ、〇〇する仕事は面白かった。だったら、今後は〇〇の力を伸ばしていこう」というようなイメージです。
要因④(不満が蓄積)の場合は、漠然とした不満を分解・細分化して、何について一番不満を持っているのかを分析しましょう。
判断方法その2:第三者に相談し、評価やアドバイスをもらう
2つ目は、第三者に相談する、という方法です。
仕事の向き・不向きについて相談できるもっとも身近な第三者には、あなたの仕事の状況を理解している職場の人たちが考えられます。
とはいえ、中には「社内の人に相談するのは難しい」という人もいるでしょう。
その場合は、同じような仕事を経験している社外の人、例えば年齢や役職が上でビジネスパーソンとして尊敬できる知人などに相談することを検討してみてください。
外部の視点で意見をもらえるので、新しい気づきがあるかもしれません。
要因①の場合は、上司や先輩、同僚に相談して指導やアドバイスを受けるといいでしょう。
成果を上げている人に密着して仕事ぶりを観察する“シャドーイング”も、自分の足りない点を知る手がかりになります。
要因②と感じている場合は、上司や先輩、同僚に客観的な評価を聞いてみてください。
自分は「仕事はかなりできているし、もうやれることはない」と思っていても、上司は「まだできていないことがある」と考えている可能性があります。
第三者から客観的な評価やアドバイスをもらった結果、足りない部分を磨いていくことが解決策になるかもしれませんし、上司も「実際できている」と評価しているのであれば、ワンランク上の仕事や役割を担っていくことが解決につながるかもしれません。
要因③や④の場合は、上司や人事に相談するのがいいでしょう。
不満について相談する際は、現状を批判するのではなく、「もっとやりがいを持って取り組みたいが、実際には今の仕事のこういうところに満足できていない」など、相手と目線を合わせるよう配慮しましょう。
判断方法その3:転職活動で情報を集め、他社と比較してみる
意外に思うかもしれませんが、転職活動を始めてみるのも1つの方法です。
というのも、転職活動の内容は転職するためだけでなく、実は仕事の向き不向きの判断にも活用することができるからです。
普段は自社のことや自分の組織のことしか目に入りませんが、転職活動中の企業研究を通じて他社の社風や仕事内容、待遇などと相対比較することで、向いていないと感じている仕事を客観視することができ、物事の捉え方が変わる可能性があります。
ただ、突然転職活動と言われてもどうすればいいか分からない、という人もいるでしょう。
判断方法その2「第三者への相談」では身近な相手を挙げましたが、転職活動のノウハウも含めた相談ができる相手として、転職エージェントもお勧めします。
実際、転職の意思が固まっていない時点で転職エージェントに相談に来る人は珍しくありませんし、選考を受けて内定が出た時点で現職に留まる決断をする人もいるので、気軽に利用してみてください。
仕事が向いていないと判断したらどうすればいい?
当然ですが、仕事の向き・不向きを判断するにあたって、全ての人に共通する明確な基準はありません。
ですから、いま紹介したような方法を試して、最終的には自分で判断することになります。
何かしら解決の糸口が見えた場合は、まずは現職に留まって行動を起こしてみるのが得策です。
そのほうが、最終的に転職することになっても、自分の中での納得度が高いからです。
半年や1年など期間を区切って現職で改善策を実行し、それでも変わらないようなら社内での異動や転職を考えましょう。
転職すると決断した場合に意識したいこと
転職する決断をした場合は、不向きだと感じた要因を踏まえて、次の転職で大事にしたいことを洗い出すことから始めましょう。
条件を付け過ぎると選択肢を狭めてしまうので、大事にしたいことに優先順位を付けて応募先を探すことがポイントです。
このような転職活動でもったいないのは、向いていないと判断した職種を志望職種からはずしてしまうことです。
会社が変われば組織や社風も変わりますし、業界が変われば同じ職種でも仕事内容やスタイルは変わります。
営業職を例にとると、現職の新規開拓営業が不向きだったとしても、既存顧客をフォローする営業は自分に向いているかもしれません。
「自分にこの仕事は向いていなかったから、別の仕事を」とネガティブに考えるのではなく、「この仕事でもここはできていた、ここは面白かった」「想定外の仕事も経験したが、ビジネスパーソンとしての今後の成長を考えると学べたことがあった」「別の仕事や役割を経験して、より自分がどういう仕事や役割に向いているかわかった」などと中長期視点でポジティブに考え、情報収集をしていくことが大切です。
そうすれば、自分に向いている仕事の選択肢を増やし、新たな求人やキャリアの方向性に出会うチャンスに繋がるでしょう。
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