転職を引き止められて迷った時は?【転職相談室】
応募、面接、内定…と順調に進んでいたのに、「退職交渉が難航した」という求職者の方も少なくありません。
今回は引き止めに遭った場合の対応方法について、組織人事コンサルティングSegurosの粟野氏がお答えします。
転職を引き止められて迷ったときは?
迷ったときは、まず「辞めるきっかけになったこと(退職理由)」と「転職で実現したいこと(転職理由)」を思い出しましょう。転職する際は、退職理由が解消し、転職理由が実現できる環境を選択することが望ましいのですが、勤務先から「どうしても残ってほしい」と情に訴えられたり、「給与を増やす」「職場環境を変える」など、条件を提示されたりするケースもあります。
引き止められて何度考えても結論が出ない場合は、転職せずにしばらく様子を見て、状況が変わらないのであれば再度転職活動を始める、という選択肢もあります。ただし、企業によっては「辞めようとした行動」がその後の評価に影響する可能性もあります。また、転職活動を再開しても、以前と同じ採用環境とは限りません。希望する企業の募集がなく内定が得られないリスクにも留意が必要です。
では、具体的にどのように考えを整理し、対応したらいいのでしょうか?3つのケース別にご説明します。
ケース別:「転職の引き止め」対処法
退職する従業員への引き止めには、「甘言や苦言を呈して翻意させる」「待遇や環境の改善を持ちかける」「退職までの期間を延長する」の大きく3つのケースに分けられるようです。各ケースの引き止めに遭った場合の考え方のポイントをご紹介します。
気持ちに働きかけられた場合
例えば「君がいてくれないと困る」と言って情に訴えたり、「恩義がないのか」と強い口調で説得されたりして迷ってしまった場合は、「考える時間を下さい」と伝えて冷静な気持ちになってから、「退職理由」と「転職理由」を整理してみましょう。
転職で実現したいことよりも、在籍している会社との人間関係や恩義が自分にとって重要なのか、そして会社に残った場合に、退職しようと思った理由が解消され、今後も働き続けていけるのか。もし退職理由が解消される見込みが立っていないのであれば、引き止められて残ったとしても、また同じことで転職を考えることになるかもしれません。気持ちが揺らいでいるのであれば、退職理由や転職理由を伝えて、「いつまでに」「どのような方法で」対応してもらえるかを交渉してみるという方法もあります。
待遇や環境の改善を持ちかけられた場合
「給与を上げる」「異動を叶える」など、待遇や環境の改善を持ちかけられた場合は、まず持ち掛けられた提案の実現可能性を考えてみましょう。
例えば「担当顧客を〇〇から××にする」など、より具体的であれば実現の可能性も高くなりますが、「社風を変える」など、持ちかけられた提案の抽象度が上がっていくと、プロセスもゴールも不透明なため、実現性は低くなります。また、異動や昇格、給与アップなどの人事制度に関連するものは、社内で調整や承認に時間がかかるケースが一般的です。上司のみの判断で実行できる企業は多くはありません。
なお、退職を告げたら「給与を増やす」「マネージャーにする」など、退職交渉で待遇が改善されるような評価制度は、そもそも公正とは言えません。評価制度が正しく運用されていれば、退職交渉とは関係なしに「評価に準じた妥当な待遇が与えられていた」はずです。その場しのぎの判断がまかり通る職場では、残ったとしてもいずれ不満が出る可能性があります。また、多くの場合、引き止めの提案は口約束です。「実現されないリスク」を考慮して、転職するかどうかを判断しましょう。
退職までの期間延長を持ちかけられた場合
「半年待てば担当者が戻ってくる」「もう少し長い目で見て欲しい」など、退職を長引かせる交渉の場合も、待ったら必ず替わりの担当者が戻ってくるのか、本当に事態は改善するのかといった、実現可能性を考えましょう。
また、退職時期を延ばしている間に転職市場は変化します。それまで積極的に採用していた企業が、募集枠が充足したために採用をストップしたり、マーケットの変化によって業界全体が採用を縮小したりするかもしれません。もちろん、景気が上向いて業界全体が盛り上がり、積極採用が始まるなど、転職市場がポジティブに変化する可能性もあります。
いずれにしても、延長している間に時間は経過していきます。退職を告げた時期と転職市場が変わる可能性や、自身の年齢が上がることなどを考慮し、期間延長をするほどのメリットがあるかどうかを冷静に判断しましょう。
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