銀行員から転職するには?成功事例と転職活動のポイントは?

「安定している」「給与が高い」などの理由から、就職活動で銀行を希望する方は少なくないようです。しかし、働くうちに仕事における条件や価値観が変わり、銀行員から転職を希望するケースもあります。
そこで今回は、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏に取材し、銀行員のキャリアパスや転職事例、転職活動のポイントなどを解説していただきました。
銀行員に多い転職理由
銀行は新卒の採用数が多いため、転職する方も一定数発生します。銀行員の転職で代表的な理由をご紹介します。
柔軟な社風・業界への憧れ
銀行は、個人や法人のお金を扱うため公共性が高く、信用を維持して銀行業務の適切な運営を担保するために、銀行法が定められています。
また、銀行は国の免許がないと運営できず、金融庁が銀行などの金融機関の業務を監督しています。
そのため、銀行は一般的に保守的な社風となる傾向がありますが、学生時代はその部分にあまり注目せず入行し、その後に他の業界の柔軟性や自由度に憧れを抱き、転職を検討するケースがあります。
保守的な評価制度
仕事の進め方や社内ルールだけでなく、従業員への評価制度も他の業界よりは保守的な傾向があります。
設立が比較的新しく、社風も柔軟なIT・Web業界やスタートアップ企業などでは、20~30代で部長や役員に抜擢されるケースも珍しくはありませんが、銀行では滅多にありません。
また、役職定年や出向なども多いため、早い段階で自分の将来のキャリアが想像できてしまうことも、銀行員の転職理由のひとつといえるでしょう。
将来性への不安
銀行業界は、バブル経済の崩壊などを背景に合併が続きました。
また、近年は「ネット銀行」と呼ばれる店舗を持たない新興の銀行が増加しています。
人口減少に伴う地銀の再編や、「FinTech」と呼ばれるAIやデジタル技術の進化などによって、銀行業界は今後も統合や経営の合理化が図られるでしょう。
こうした銀行業界の大きな変化に対して「自分の仕事が10年、20年後もあるのだろうか?」と将来性への不安を抱き、転職を検討する人もいるようです。
銀行員のキャリアの選択肢
銀行員が転職する場合、どのようなキャリアの選択肢が考えられるのでしょうか。
代表的なキャリアの選択肢をご紹介します。
同業他社
これまでの経験を活かして、同業他社の銀行に転職するという方法があります。
特に新興のネット銀行の場合は社風や仕事の進め方が異なる上に、将来性も比較的高いと考えられます。
同業他社の場合は業界知識や経験を活かせるため、入社後の活躍の可能性もある程度想像することができるでしょう。
銀行以外の営業
銀行は比較的給与が高いため、金融の知識を活かして年収帯が変わらない保険や証券などの金融機関に転職するケースも見られます。
特に銀行の営業から保険や証券の営業の場合は、これまでの経験・スキルを活かすことができるので、転職を有利に運ぶことができるでしょう。
20代前半などの第二新卒の場合は、経験が浅くてもポテンシャルを評価されて採用するケースもあります。
金融機関以外にも、個人営業をしていた実績をもとに投資系の不動産を扱う企業の営業や、自動車・住宅などの高額商材をマネープラン含めて提案する営業として活躍するケースもあります。
銀行の法人営業経験者の場合は、顧客経営陣に対する提案力や、務分析などで培った論理的思考力といった強みを活かし、メーカーやIT・Webなど様々な業界で評価されるでしょう。
コンサルティングファーム
銀行で培った論理的思考や提案力、経営に関する財務知識など、銀行での経験やポテンシャルなどを評価されてコンサルティングファームに転職するケースもよく見られます。
特にメガバンク出身者は、「ハードルの高い新卒採用の選考を通過した」という実績になるので、若手のうちはポテンシャルを加味される傾向があります。
事業会社の管理部門など
経理や財務、人事や広報など事業会社の管理部門というキャリアの選択肢も考えられます。
特に経理や財務など数字やお金を扱う部門では、堅実性や銀行で得た専門知識などを活かすこともできるため、転職で有利に働く可能性があります。
銀行員からの転職事例
銀行員から転職した事例を3つご紹介します。
銀行の事務スタッフから投資会社の事務スタッフ
定型化されている業務が多い銀行の事務に不安を感じ、「もっと専門性を身につけたい」と考えるように。 求人を見たところ、様々な業界の事務の仕事があったが、「金融の知識を活かした方がいい」と考えたこと、もともと資産運用などのマネープランに興味があったことから、証券会社や投資会社など金融機関の求人を中心に応募。内定が出た2社のうち、資産運用を行う投資会社の事務スタッフに入社を決めた。 |
銀行の個人営業から人材サービス会社の営業
銀行では営業活動を日報として報告する義務があり、細かく行動管理をされる上に高い売上ノルマも課せられて、日々強いプレッシャーを感じながら働いていた。 自分の営業活動によって目に見える形で顧客を支援できる仕事がしたいと感じ、不動産営業や自動車営業、代理店営業などの求人に応募を始める。 人材派遣や人材紹介を行っている人材サービス会社に応募して話を聞いたところ、担当顧客の人材課題を解決できる点に魅力を感じた。年収ダウンにはなるが、顧客の課題を聞いて採用から関わることができるため、キャリアの幅が広がると考え、転職を決断。 |
銀行の法人営業から経営コンサルタント
専門性を高めて若手の頃からスキルアップし、年収にも反映させたいという意志のもと、ITや広告代理店などの法人営業に応募。 企業の財務や融資などの知識を活かして、M&Aなどのアドバイスも行う経営コンサルタントに転職。 「若手時代は人よりも多く働き経験を積みたい」と考えており、担当案件数が多く業務はハードな反面、銀行員時代よりも給与がアップしたため充実した日々を過ごしている。 |
銀行員の転職実現のポイントとは?
銀行経験者が転職で気をつけておきたいポイントをまとめました。
時間管理が徹底しているので、転職活動は有給休暇を活用する
銀行は基本的にスーツや制服で勤務し時間管理が徹底しているため、テレワークやフレックスタイムの導入や私服での勤務が認められている企業に比べると、転職活動がしにくい傾向があります。
転職活動を始める場合は、休日に応募書類や求人検索を進めたり有給休暇を活用したりして、現職との折り合いをつけながら進めるようにしましょう。
なお、銀行を辞めてから転職活動をした方が時間は自由になりますが、空白期間が生じるため、在職しながら転職活動を進めた方がいいでしょう。
年収や福利厚生などの条件が下がる可能性がある
銀行などの金融機関は、他の業界に比べて年収や福利厚生が充実している傾向があります。
そのため、他の業界や職種に転職を希望した場合、条件が下がってしまう可能性があります。
特にキャリアチェンジで業界も職種も変えた場合は、「未経験」という評価になるため待遇にこだわりすぎると転職先が見つかりにくくなってしまいます。
年収を下げたくない場合は、成果が待遇に反映しやすい金融や不動産などの営業やコンサルタントなどの職種を選ぶという方法があります。
家族から反対される可能性がある
銀行は「安定している」というイメージを持つ方が多く、転職を希望する場合は、家族や両親から反対される可能性があります。
内定が出てから転職することを伝えたところ、家族から大反対されて転職を断念するケースは多いものです。
また、強引に転職した場合は、家族との信頼関係を損ねる恐れがあります。
銀行からの転職を検討している場合は、早めに相談して理解を得ておきましょう。
応募先によってはアグレッシブな姿勢を意識する
銀行では社内外の手続きの多くがルール化・定型化され、正しく運用することが求められますが、創業間もないスタートアップや従業員の少ない中小企業などでは、業務が未整備だったり属人化していたりするケースもあります。
こうした企業は堅実さよりも主体的で積極的な姿勢を求める傾向があるため、面接でのアピールや伝え方には工夫が必要です。
求人に記載されている「求める人物像」や採用ページの従業員紹介などを確認し、どのような人材が求められているのかを理解しておきましょう。
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