新卒の女性が抱いた「いつかは海外で働く」という夢。 転職エージェントが2年間伴走して、実現に導いた グッドエージェント賞2016 大賞
株式会社Youth Planet 堀田 Daniel 誠人氏
シンガポール在住の日本人を対象に、フリーペーパー「週刊SingaLife」を発行するFifty One Media Pte Ltd。営業強化のため、新規顧客獲得ができる即戦力を募集していた。採用されたのは、「いつかは海外で働く」という夢を抱いていた25歳のTさん―さかのぼること2年前、彼女は新卒で入社したばかりの職場を辞めようとしていた。そのときに出会ったのが、(株)Youth Planetの堀田ダニエル誠人氏だ。一人の転職エージェントとの出会いが彼女にもたらした希望と、夢の実現の軌跡を堀田氏に聞く。
先を見通せない毎日に差し込んだ、一筋の光
Tさんが転職を考えたのは、新卒で入社した職場での勤務が10カ月を過ぎた頃。過酷な勤務環境で体調を崩したことがきっかけだ。「休みをきちんと取れる仕事に就きたい」と転職活動をしている時に知り合ったのが、転職エージェントの堀田氏だった。
「彼女は仕事の不満を口にすることなく、むしろ『それでも実績を上げている先輩はいるし、私はまだまだなんです』と語りました。謙虚で、責任感も強い方というのが第一印象です。しかし忙しい毎日を送る中、仕事をするうえでの目標を見失っていた様子。『休みが取れる企業で働きたい』という理由で転職しようとするのはTさんのためにならないと考えた私は、『あなたにとって正しい道は何か?を一緒に考えましょう』と提案しました。」
堀田氏との対話で、漠然とではあったが「海外でバリバリ活躍するようなキャリアウーマンになりたい」という夢をつぶやいたTさん。「でも、そんなの無理ですよね……」という彼女に、堀田氏は「できますよ!」と告げた。
「確かに、海外勤務のニーズは即戦力採用がほとんどで、そのときの彼女のスキルではマッチする企業がありませんでした。しかし3~5年後を見据えて目標設定し、目標達成に必要な課題を洗い出してクリアしていけば、その夢は実現不可能ではないと伝えました。彼女はそうした挑戦に立ち向かえる資質が十分にありましたから、夢の実現をサポートすることを約束したのです。」
夢の実現に向けてひたむきに、必要なスキルを磨いた
海外で働くという夢――それにはまず“目に見える実績”と英語力がTさんには必要と考えた堀田氏。
「海外拠点では人材育成ができるほどのリソースや体制が整っていない場合が多いので、“目に見える実績”を持つ即戦力人材が求められる。また、人気がある国ほど就労ビザの取得が年々厳しくなっていて、社会的信用がある業種・企業で働いた経歴がモノをいう場合も多い。海外を目指す前に、例えば国内の金融業界で営業経験を積んではどうか」――と、堀田氏はTさんに説明した。
実は堀田氏は、以前ある企業に営業力を買われて、シンガポール法人の立ち上げを任された経験がある。海外で働くことの難しさを知る一方、シンガポールを中心としたアジア地域で、経営者・企業人事、現地人材エージェントとの太いパイプを持ち、海外転職事情にも通じていた。
海外で働くためには、どんな準備が必要かという“現実”を知ったTさん。堀田氏の紹介で、保険会社の営業職として転職し、夢への第一歩を踏み出した。
「人事には、『Tさんは将来、海外で働きたいという夢がある。そのための営業力をつけたいので御社で経験を積ませてほしい。いずれ転職するかもしれないという前提だが、それでもよければ採用していただきたい』と頼み、承諾を得ました。彼女のキャリアプランについて、企業側の理解も得た形です。」
Tさんは飛び抜けた営業力で、支社の保険獲得件数を昨対比120%まで伸ばした。人事から堀田氏あてに、「前代未聞の大活躍だ」と喜びの連絡が来るほど。彼女は一方で英語の勉強にも励み、TOEIC800点に迫るところまで得点を伸ばしていった。
その間も、堀田氏はTさんの仕事面、体調面での相談役を務めた。
「営業成績を上げてほしいということと、英語の勉強を怠らないこと、その進捗をずっと追いかけていました。夢というのはブレやすいので、『海外で働くという夢』を忘れないよう励まし続けました。」
当初の目標設定は、“3~5年後に海外で働く”。しかしTさんはわずか2年で、海外転職できるだけのスキルを身につけていた。
シンガポール拠点の、スタートアップ企業に転職!
Fifty One Media Pte Ltdは、シンガポール在住の日本人向けにフリーペーパーを発行する企業。2016年4月創刊だが、既存の競合誌と肩を並べる勢いで人気を博していた。社長は、メガバンク出身の31歳。
堀田氏は言う。
「同社は、社長がメガバンク在職時から起業準備をして設立したもの。しかし立ち上げメンバーの採用に際し、就労ビザ取得要件の高いシンガポールで、審査を通りそうなキャリアの持ち主になかなか出会えていない状況でした。ビジネスを軌道に乗せるためには、一刻も早く新規顧客獲得ための営業人材が必要だったのです。」
海外転職に挑戦できる“資格”はすでに身につけていたTさんだったが、就労ビザが取れない可能性もゼロではない。紹介すべきか迷った堀田氏だったが、彼女に聞くと「少しでも可能性があるならぜひチャレンジしたい!」という答え。
Tさんの気持ちはこうだった。
「一人に与えられる仕事の裁量権が大きな仕事を経験してきたので、Fifty One Mediaという企業が私にどれくらいの裁量権を与えてくれるのかは気になりました。一方で、私は短期間での転職が続いたので、早期退職というネガティブなイメージを払拭できるほどのアピールができるだろうか、と。社会人歴も浅く海外での経験もないので、そうした私への不安要素を“期待感”にうまく変換できるかが課題だと思いました。」
「Tさんには、2年前の転職相談のときとは違って、明らかに自分の人生に対して前向きな意欲が伺えました。それで私も“今の彼女なら!”と思い、社長に推薦したのです。」と、堀田氏。
堀田氏は、若手経営者と夢を持った求職者、双方の幸せを後押しするべく、就労ビザ取得要件の把握に動いた。
「シンガポールの最新のビザ要件を確認すると同時に、知己であった同国のエージェントからビザ要件の実態をヒアリング。Tさんなら就労ビザの承認が下りるだろうという自信を得ました。また、立ち上げたばかりの企業への転職なので、彼女が不安を感じないよう、出資者も面談に巻き込むなど、通常とは違う採用選考を実施していただきました。」
そうしてTさんは、国内で採用され、立ち上げ準備後に、2年前に抱いた夢を現実のものとすることができた。
仕事を通じ、人生を相談できるメンターに出会えた
Tさんは入社早々、毎日10件ずつアポイントを獲得し、社長を驚かせた。法人契約社数は、彼女の力で現在60社を超えた。同社は、社長とTさん、そして現地のアルバイト数名のみ。Tさんは営業面からFifty One Mediaを支える、なくてはならない人材となっている。しかも、メガバンク出身で戦略家タイプの社長に対し、謙虚さと責任感があり、行動力抜群のTさんとの相性・バランスはぴったりだったようだ。
Fifty One Media社長は、Tさんをこう評価する。
「定量、定性いずれの側面からも、彼女が入社してくれたことの効果は測りしれません。多くの競合誌がある中、彼女の働きのおかげで、創刊後わずか5カ月で3番手まで上り詰めました。また、彼女は経営者と変わらない目線で仕事に取り組んでくれて、さまざまな進言をしてくれます。彼女とのディスカッションによって、いいアイデアが生まれることも多々あります。経営者である自分と、同等レベルで事業のことを考えてくれるスタッフはそうはいません。わずか25歳でそのレベルの会話ができ、私の不在時には安心して仕事を任せることができる。会社への貢献度は、数字で表せない部分でも、非常に大きいと感じています。」
「Tさんは社長から、『ゆくゆくは営業チームを編成し、それをけん引する存在になってほしい』と言われているようです。実際、彼女の働きのおかげで、この分なら近々増員できるかもしれないと聞いています。そんなTさんの“背中を押し続ける存在”でいられたことを誇りに思います」と、堀田氏も胸を張る。
Tさんは、堀田氏との2年間を振り返る。
「内定が決まった際、一番喜んでくださったのは堀田さんでした。私が2度に渡って転職活動を前向きに乗り越えられたのは、彼の人柄と情熱です。堀田さんとの出会いで、海外勤務という夢を見つけ、実際に2年後にシンガポールという新天地で仕事を楽しみ、充実した人生を送っています。明日にも心変わりしてもおかしくないような、当時23歳だった私に、真剣に真正面から向き合ってくれたことに感謝しています。
その後も、多忙であるにもかかわらず、“担当は私一人しかいないのではないか?”と感じさせるほど、手厚いフォローをしてくれます。転職活動で堀田さん以外にもさまざまな方と出会いましたが、感じたことは1つ。能力やスキルの高い人は世の中にたくさんいらっしゃいますが、他人のためにとことん尽くせる人はなかなかいない――と。気づけば一番信頼できるのが堀田さんになっていました。」
25歳のTさんにとって堀田氏は、転職エージェントではなく、いわばメンターだ。おそらくこの先、次なる夢が彼女の中で生まれたとき、堀田氏はまた、ともに考え、道を示してくれるだろう。
転職者へのメッセージ
転職という選択の前に、ぜひあなたの夢を聞かせてください。その夢の実現の役に立つなら、これまで培ってきた私の人脈を積極的に提供します!それをどんどん使っていただき、あなたの夢を私にも一緒に追わせてください。夢を持って何かにチャレンジしていきたいという方々を、これからも応援していきたいと思います!
【プロフィール】
株式会社Youth Planet 堀田 Daniel 誠人(ほった・だにえる・まこと)氏
大学卒業後、メガバンクに入社し、法人営業に3年間従事。海外駐在を辞退し、起業を目標に、人材紹介企業のシンガポール法人立ち上げメンバーとして転職。現地で人材紹介ビジネスのノウハウを学び、27歳で(株)Youth Planetを設立。社名は「年齢に関係なく、若々しくチャレンジする、意欲ある人材をサポートしたい」「特に若者が、国や国籍、宗教などに捉われず、チャレンジしていける世界を創りたい」という思いでつけた。転職の相談に加え、新卒紹介事業、採用代行事業なども行う。
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