退職交渉で揉めた場合の対処法とは?円満退職のポイントもご紹介
転職先は決まったけれど、退職交渉で現在勤めている会社と揉めてしまう…。そんな事態を避けるべく、どんな行動をとるべきなのか。
さまざまなケース別に、組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏がお答えします。
円満退職のために意識したいこと
気持ち新たに次のステージに向かうために、まずは円満退職の基本のポイントを押さえましょう。
就業規則に則ったスケジュールで退職交渉を進める
まず確認すべきは就業規則。退職日の何カ月前にまでに意思を伝えるべきか、規則に則ったスケジュールで交渉を進めます。
有給休暇をとる権利はありますが、退職するまではその会社の従業員です。会社や上司が求める業務をきちんと行ってから有給消化に入りましょう。
後任への引き継ぎ期間を十分に取る
退職時の引き継ぎは、就業規則に社員の義務として明記されている企業もあるなど、円満退職において欠かせません。担当業務を丸投げして去っていけば、後々にしこりが残りますし、退職後に問い合わせの連絡が入る可能性もあります。
同業界、同職種で転職する場合、前職の人脈がつながることが多く、「引き継ぎもしないで退職した人」としてネガティブ評価が後を引くことも。また、外資系企業でよく行われているリファレンスチェック(採用企業が以前の職場に応募者の経歴や人柄を確認すること)に応じてもらえなかったり、(リファレンスチェックで)ネガティブな評価をされ、内定が出なかったりする可能性も出てきます。
後任への引き継ぎ期間を十分に取ることは、お世話になった企業のために、そして自分自身のためにも大切です。
退職の意思を最初に伝えるべきは「直属の上司」
退職交渉のお作法として、退職の意思は「直属の上司」にまず伝えましょう。避けたいのは、上司以外の人から「あなたの部下の〇〇さん、退職するそうですね」と、直属の上司の耳に入ること。メンバーのマネジメントができていないと評価が下がる可能性もありますし、上司の心情的にも複雑でしょう。直属の上司を飛ばしてその上の部門長に伝えたり、同僚や先輩に話したりしないよう注意しましょう。
退職理由は個人的で前向きな内容を話す
退職理由は、個人的で前向きな内容がいいでしょう。転職先の情報を積極的に開示する必要はありませんが、「他職種や他業界へ挑戦したい」「やりたことを実現できるキャリアが見つかった」など、ポジティブな言葉で伝えたいもの。
仮に、会社への不満が退職を決めた理由だったとしても、あえて伝えるべきではありません。相手を複雑な気持ちにさせて、退職交渉自体が棚上げされるリスクもあるでしょう。
引き止められたら、持ち帰って1〜2日検討する
退職交渉で引き止めにあい、代替案(昇格や昇給、部署異動、プロジェクト変更など)を提示されることもあります。もし魅力的な提案であったとしても、一度時間を置いて冷静に検討しましょう。その代替案を、いつどんな形で実行に移せるのか、組織構造上、実現できる可能性はあるのかないのか、上司にもしっかり確認しましょう。
転職の意向が固まっている場合も、引き止めはその場で断らず、1~2日後に結論を伝えるといいでしょう。「検討したのですが、やはり新たなフィールドでチャレンジしたい」と、引き止めを受けて熟考する姿勢を見せた上で、改めて転職の固い意思を伝えます。すると上司も、「しっかりこちら側の提案も考えた上で、退職の意思を強く持っている」と納得感を持つことができます。
【ケース別】揉めてしまった場合の対処法
引き継ぎがうまくいかない場合
引き継ぎがうまくいかない理由として、引き継ぎ期間が短い場合と、後任が決まらない場合があります。
引き継ぎ業務には、
・業務内容、業務目的などのリストアップ
・各業務の進め方、案件の進捗状況、イレギュラー時の対応策
・取引先や顧客の連絡先
・取引先や顧客へのあいさつ
などがあります。引き継ぎ期間が短い場合は、誰が見てもわかるようマニュアルを作成し、資料は見やすくファイルするなどして資料を整え、上司に承認してもらっておくと安心です。後任が決まっていれば、取引先やお客様へのあいさつを後任と一緒に行うなどの引き継ぎを行いましょう。
後任は上司が立てることが多いので、後任が決まらずに引き継ぎができない場合は、上司に退職日を明確に伝え、自分の仕事を誰にどう任せるのか、具体的な引き継ぎプランを提案するなど、交渉で主導権を握るといいでしょう。
強引な引き止めにあう場合
年収アップや希望に叶いそうな異動等の話を、断りなしに勝手に進められてしまう場合や、前の部署の上司や先輩、同期等から、入れ代わり立ち代わり引き留めの面談、電話、飲み会が設定されるといったさまざまなケースが挙げられます。場合によっては、社長や役員との面談をセットされてしまい、辞めづらくなってしまうことも起こり得ます。まずは、直属の上司に退職の意思を強く伝えた上で、その上の上司や人事担当者など、交渉相手を広げていきましょう。
ただ、強く引き止めにあい心が揺れ動く場合、ご自身が転職に迷っているケースも少なくありません。上司に「説得すれば退職を思いとどまるのではないか」という隙を見せている可能性があります。強く意思を伝えられないのであれば、もう一度転職理由を振り返り、言語化するのも一つでしょう。
退職のタイミング・スケジュールで揉める場合
転職先の入社希望時期によっては、「1カ月後に退職したい」「繁忙期に辞めたい」というケースもあります。
現職から「あと1カ月いられないか」などと交渉されたとしたら、「1カ月ではなく2週間で引き継ぎを完了させるので、お願いできないか」などと両者の落としどころを探る努力も大切です。なぜこの時期に退職する必要があるのか、転職先の事情をきちんと説明するなど、理解してもらえるようコミュニケーションをとりましょう。
また、できるだけ早いタイミングで、自分のタスクを周り(同僚、プロジェクトメンバーなど)に振り分け、引き継ぎがスムーズにいくよう段取りを進めておきましょう。
退職の相談を聞いてもらえない場合
「退職交渉の面談を設定してくれない」「伝えたのに聞かなかったことにされている」というケースもまれにあります。
口頭では、言った言わないの議論になるため、転職理由や転職希望時期、引き継ぎスケジュールなどを「退職願」として、メールで送るなど、テキストに残しましょう。上司に退職の相談を聞いてもらえない場合は、さらに上の上司や人事部等に交渉の窓口を広げて、退職交渉を進めることも一つの方法です。
競合先への転職がバレてしまった場合、退職理由の嘘がバレてしまった場合
転職は「職業選択の自由」に守られており、法律的には問題ありません。
ただ、現職に入社時に「退職後〇年は競合他社に行きません」などの誓約書を書いているケースもあります。とくに技術流出が懸念される技術開発職などでは、就業規定として設けているところもあるでしょう。現職と揉めることがあれば、社労士などの専門家に相談するといいでしょう。
退職理由の嘘がバレて気まずい…というケースは、改めてなぜ虚偽の説明をしてしまったのかを伝え、その後の対応は誠実に進めましょう。
有給休暇を消化させてもらえない
労働基準法により、有給休暇を消化できる権利があります。ただ、現職が繁忙期で人が足りない、重要な案件に携わっており引き継ぎに時間がかかるなどの事情があれば、例えば、30日の有給休暇のうち5日間は引き継ぎ期間に充てるなど、柔軟に対応した方がいいでしょう。
去り際の印象が悪いと、転職後の現職とのつながりや仕事、リファレンスにも関わってくるため、結果的に自分の評価につながることもあります。
退職を伝える人の順番を誤る
退職を伝える、最優先は「直属の上司」です。順番を誤ってしまったのは本人の純粋なミスですので、誠実に謝ることが大事です。
まとめ
退職交渉を円満に進めるには、転職者と現職側の「お互いの納得感」が欠かせません。
もし、転職におけるルール違反があったのなら丁寧にお詫びし、退職日までは現職の社員としてやるべき義務は果たしていくなど、最後まで周りとのコミュニケーションを大事にしましょう。
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