転職して新しい職場や仕事に慣れるまでの期間は?辛い時間はどう乗り越えればいい?

転職先の新しい環境に慣れるまでには、誰でも一定の時間を要します。
早く慣れるための方法や乗り越え方について、キャリア形成のプロフェッショナル、組織人事コンサルティングSegurosの粟野氏がお答えします。
目次
転職後、新しい職場や仕事に慣れるまでの時間(期間)の目安は?
転職後に新しい環境に馴染めず不安を抱えることは、決して珍しいことではありません。
転職経験者314名を対象に行ったアンケート調査によると、馴染めなくて辞めたいと思ったことがある人は、64%いることがわかっています。
また、辞めたい気持ちが解消されるまでの期間を聞くと「3カ月以内まで」が45.7%で約半数でした。
転職して早々に「慣れなくて辛い」「辞めたい」と感じている方も、時間が経てば徐々に解消していくものかもしれません。
転職後、新しい職場になかなか慣れないと感じる要因は?
そもそも、転職先に慣れるまでに時間がかかるのはなぜなのでしょうか。馴染めないと感じる要因について考えていきましょう。
人間関係の構築に時間がかかる
転職とは、すでに人間関係ができている組織の中に飛び込むもの。新たに関係性を築いていくのには時間がかかるので、「馴染めない」と感じてしまうのはごく自然なことです。
特に社員の多くが新卒採用という組織の場合、中途入社者にはわかりにくい暗黙のルールがあることも多く、「自分だけ情報が共有されていない」などと疎外感を抱いてしまう場合もあるでしょう。
前職と異なる仕事の仕方への戸惑い
転職直後は誰もが新しい環境での慣れない仕事やこれまでと違う働き方に戸惑います。
たとえ同じ業界・職種であっても、仕事の進め方やシステムは企業ごとに異なるもの。
慣れ親しんだ以前のやり方を一旦リセットし、新しいやり方に適応するまでには、どうしても一定の時間がかかってしまうのです。
未経験転職による知識・スキル不足
未経験業種への転職では、周囲のメンバーが口にする、その業界や職種特有の言葉がわからないことも少なくありません。
既に知識やスキル不足を感じている中で、「会議で積極的に発言できない…」などと不安を募らせてしまう転職者もいます。
社風に対する戸惑い
社風は、企業規模や成り立ち、経営者の考えなどによって異なります。
転職活動時にしっかり企業研究をしていても、入ってみて初めて知ることも多いでしょう。
独自の社内用語やドレスコード、上司との距離の近さなどさまざまな場面で社風が表れるため、その都度「馴染めない」と感じてしまうかもしれません。
新しい職場や仕事に早く慣れるための対処法は?
新しい環境に慣れない期間があるのは仕方ないとしても、できるだけ早く馴染むためにはどんな対処法があるのでしょう。
昨今は、「新しい職場に馴染めない・慣れない」のは転職者個人の“スキルや能力などの問題”ではなく、転職先企業の組織・風土の中でどう関係性を構築していくかという“関係性の問題”である、という考え方も出てきています。
リクルートが2023年3月に行った「転職者に聞いた転職後実態調査(転職後半年~1年の方対象)」では、転職後にいきいきと働く鍵として、以下の4つが重要であることがわかりました。
・周囲からの期待はあるか ・上司からの業務支援を受けられているか ・同僚が転職者の持ち味を理解してくれるか ・協働実感があるか |
そこで、個人と企業がどう対話を重ねてアクションに移すか、という観点で対処法を考えていきましょう。
疑問が湧いたら遠慮せず質問!上司や同僚とのコミュニケーションを積極的に図る
中途入社者に対しては、「経験者だから教えなくてもわかるだろう」「自分なりのやり方があるかもしれない」といった考えから、十分な情報共有が行われない場合があります。
そのため、周囲からの業務支援を受けるには、まずは自分から周りへコミュニケーションを図ることが欠かせません。
例えば、業界用語・社内用語やその組織特有のルールは、その環境で既に働いている人にとっては慣れているため、未経験者が分かりづらいと単に想像できていないと考えられます。
遠慮せずに、一つひとつ確認していきましょう。
特に上司であれば、チーム全体が常に健全に動いていくことを望んでいます。
疑問が生じたらすぐに質問し、どんなサポートが必要なのかを積極的に伝えること。これが、適切な業務支援を受けることにつながります。
前職との“比較”をやめて、新たな仕事の進め方を試していく
コミュニケーションが少しずつ取れるようになれば、個々の仕事に向き合う余裕も出てきます。
次は、郷に入っては郷に従え、のマインドで、慣れない仕事の進め方にも前向きに取り組んでみましょう。
その際、前職のやり方や成功体験に固執していると、周囲に自分の持ち味を知ってもらうチャンスや協働実感はなかなか得られません。
そこで必要になってくるのは、やはりコミュニケーションです。
近しいメンバーに「この現場ならではの効率よく進めるコツ」や「使えるツール」などを聞いて、実践してみましょう。
その結果、やはりもっと良い方法があると感じたなら、周囲のためでもあると思って提案していきましょう。
不慣れな企業カルチャーにも自ら歩み寄ってみる
周囲に倣い、社風に自分を合わせていく工夫も必要です。
例えば、以下のようなことが挙げられます。
・役職の呼び方や社内用語を積極的に使ってみる ・メンバー間でよく上る話題に関心を持ち少しでも反応してみる ・珍しいなと感じたカルチャー(例:とことん個人主義、自由主義、豊富な表彰制度、活発なチャット文化など)に関して誕生の経緯・背景を知る |
こうした工夫を重ねていくと、周囲は「あなたの振る舞いが変わってきた」ことに気づきます。
前向き・積極的に馴染もうと努力していることが伝わっていけば、あなたに対する期待の高まりにも繋がるでしょう。
慣れるまで我慢できない…再び転職を検討する場合は?
ここまで慣れるためにできる方法を考えてきましたが、中には「一定期間を経てもなお馴染めない」「この環境に馴染める気がしない」という方もいるでしょう。
そこで、あらためて転職を考える場合に注意したいポイントも考えていきます。
感情だけに任せて退職をしない
再び転職を考えるとしても、「慣れないから辛い!もう辞めたい!」などと、感情に任せて退職という判断はしないほうがいいでしょう。
退職してからの転職活動では、経済面の不安がありますし、短期間での離職はこれからの転職活動にも影響が出るかもしれません。
いったん冷静になり、客観的に「退職をしたいと思う具体的な理由」を分析してみましょう。
改めて自己分析を行う
馴染めずに辞めるということは、前回の転職活動で企業研究が足りなかったり、自己分析が浅かったりなど何らかの要因があると考えられます。
そこで、前回の転職活動を振り返り、結果的にミスマッチが生じた要因を明確にすることが大切です。
避けたいのは、「今の会社に馴染めなくて嫌だから、とにかく転職できる先を探そう」と先走ってしまうこと。その結果、再び自分に合わない転職先を選ぶことになりかねません。
ミスマッチを経験したからこそ、今回の転職活動で重視したいことを整理し、優先順位を考えていくといいでしょう。
現職への不満や批判を口にしない
「馴染めなかった・慣れなかった」方の場合、採用面接で退職理由・転職理由を回答する際に、現職への不満や批判が出てしまうことが少なくありません。
しかし、企業側の視点からすると「単に○○さんの適応力・順応性に課題があるのでは?」「コミュニケーション力やコミュニケーションの取り方に何か課題があったのでは?」などと懸念を持たれてしまう可能性もあります。
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