山登り型・川下り型のキャリアの歩み方とは?

キャリアの歩み方としての「山登り型」「川下り型」の概要と特徴、それぞれが抱えがちなリスクと大切にすると良いことを組織人事コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。
これからのキャリア形成について悩んでいる場合は、1つの指針として活用してみてください。
目次
「山登り型」「川下り型」とは、キャリアの進む方向やスタイルに関する比喩的な表現
キャリア形成の手法には、「山登り型」と「川下り型」があると言われています。
これらは、キャリアの進む方向やスタイルに関する一般的な比喩的な表現です。
目標とする山に登るように、キャリア目標となるキャリアビジョンやキャリアプランを明確に設定し、その目標に向かって計画的に経験を積み、スキルを磨いて、キャリアの歩みを進めていくことを指す。 |
川下りをするように、ある程度は進みたい方向性を持ちながらも、刻々と変化する状況や未知の局面に柔軟に対応してスキルを積む機会としながらキャリアを構築していくことを指す。 |
なお、これらはどちらのタイプの方がより良いキャリアを築けるというものではありません。
人によってはタイミングによってタイプが変わることもあるでしょうし、山登り型と川下り型を混合したハイブリッド型などの人もいるでしょう。
山登り型のキャリアとは?特徴と大切にすると良いこと
山登り型キャリアの特徴
山登り型のキャリア形成は、計画に則って物事を進めている安心感や達成感を得やすいのが特徴です。
的確な道筋をたてて計画通りに実行ができれば、短期間で効率的に目標を実現することもできるかもしれません。
また、目標に対して、一つひとつ成果や結果を積み重ねていくことになるので、人によってはモチベーション高く主体的に仕事に取り組みやすいかもしれません。
山登り型キャリアが抱えがちなリスクと大切にすると良いこと
山登り型のキャリア形成では、目標設定が適切ではない場合や、当初の目標が目指すべきゴールとして適さなくなった場合にどう対処するかが重要になります。
実現性が低い目標や、“エベレスト級”の高すぎる目標、自分の適性と合わない目標、AIやテクノロジーの進化などにより代替可能な仕事も増えているので時代の流れに合っていない目標などを掲げてしまうと、かけた時間や労力に対して得られる成果が少なくなり、精神的なダメージを抱えてしまうかもしれません。
多くの場合、社会人経験年数が長くなればなるほど、当初の計画時点よりも変動要因が増えます。
経験・スキル、実績、立場・ポジション、プライベートの状況などによって、キャリアは多様になっていくため、登っていくにつれて目標を修正する勇気も必要でしょう。
また最初に掲げた山(目標)を登るための方法や計画に固執しすぎないことも重要です。
山の登り方には複数の選択肢があることを認識しておきましょう。
時には前に進まずに、立ち止まって力を蓄えることが必要なタイミングや、一度スタート地点に戻って登り返す必要がある時もあるでしょう。
早めに軌道修正をするためには、目標達成のための道筋に、小さな細分化した目標地点やチェックポイントを設けて見直すタイミングを作ると良いでしょう。
他には、環境の変化や心境の変化、ライフステージの変化に合わせて、周囲のアドバイスなども折り込みながら進めていくことも、キャリアの可能性・選択肢を制限しないコツと言えるでしょう。
<キャリア構築の具体的なポイント>
- 明確で実現可能なキャリア目標を設定する
- 当初に決めた目標にこだわりすぎない
- 状況の変化や周囲の要望にも目を向ける柔軟性を意識してもつ
- キャリアの成功に必要なスキルや資格を積極的に習得する
- 組織内外の人間関係を築いて信頼を得て、昇進や新たな機会を掴む
- 組織のビジョンや方針を理解し、自身の行動や目標をそれに合わせる
- リーダーシップや問題解決のスキルを磨いて上位ポジションを得るチャンスを広げる
- 上司や同僚からのフィードバックを真摯に受け入れ、改善に努める
- 新しいトレンドや技術を取り入れ、持続的な学びをする
川下り型のキャリアとは?特徴と大切にすると良いこと
川下り型キャリアの特徴
川下り型のキャリアは、偶然の出会いや縁、与えられた仕事に真摯に取り組むことで、思いがけないスキルや経験を得られることが特徴です。
その特徴上、環境や役割が変化することにストレスを感じず、新しい挑戦にも積極的に取り組む柔軟性を持てる人に向いているとも言えるでしょう。
川下り型キャリアが抱えがちなリスクと大切にすると良いこと
川下りであっても、一定程度は進みたい方向性を持つことが大切です。
周囲や環境にただ流されて、なんとなく対応するだけになり、与えられた仕事で成果を出せないようでは、有益かつ望む経験・スキルやキャリアは身につかないかもしれません。
また、川下りにも様々な分岐があるはずなので、その分岐点に立った時に、自分が歩みたいキャリアの方向性や大事にしたいことを軸に判断することが大切です。
それができない場合は、ただ流されてしまったという後悔が募るかもしれません。
一方で、想定外の状況であっても前向きにチャンスだと捉えて楽しむ姿勢も大切です。
変化に対して開かれたオープンマインドを持ち、その場のベストを尽くして成果を出すことが、川下り型がキャリア構築をするためのコツとも言えるでしょう。
そして時には、歩みたい方向性により近づくために、部署異動を希望したり、転職をしたりなど、自ら働きかけていくことも必要です。
<キャリア構築の具体的なポイント>
- 環境や役割が変化する中で、新しい挑戦にも積極的に取り組む柔軟性をもつ
- 偶然の出会いや縁を大切にする
- 新しいプロジェクトや役割、チームへの参加など、機会を逃さずに受け入れる
- 自分の進むべき方向やキャリアの目標を明確にし、それに向かって自ら進んでいく
- 異なるプロジェクトや部署で働くためのコミュニケーションスキルを高める
- 新しいことに挑戦するリスクを適切に管理する
- 様々な経験を通じて継続的に学び、成長し続ける姿勢を持つ
- 他のプロジェクトや部署での経験を通じて、自分の強みや専門性を広げる
- 様々な場で異なる人たちとコネクションを築いて新しい機会や情報の入手源とする
山登り型・川下り型に関わらず、キャリア形成で大切なこと
山登り型でも川下り型でも、キャリアの歩み方は1本道ではありません。
そのため、それぞれの分岐点に立った時に、「自分が大切にしたい価値観」をしっかりと持ち、自らの進む方向を定めていくことが大切です。
また、価値観が変わることも忘れないようにしましょう。
山を登っている途中、川を下っている途中で、その都度見えてくる景色が変わるように、キャリアの歩みを進めるごとに目線が変わることもあるでしょう。
山を登り終えた先や、川を下り切った後になって後悔することがないように、自身の価値観の変化を注視し、その変化を疎かにしないことが大切です。
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