転職理由が「職場環境が合わなかった」では印象が悪いでしょうか?【転職相談室】

人間関係や労働環境、社風などの職場環境が自分に合わず転職を決意したものの、転職の理由をそのまま伝えるのは印象が悪くなりそう…と考えている相談者。
環境のせいで転職することをポジティブに伝えるにはどうしたらいいのか、組織人事コンサルティングSeguros代表コンサルタント・粟野友樹氏がアドバイスします。
目次
職場環境が合わず転職したいのですが、面接等でそのまま伝えると印象が悪くなってしまうでしょうか?(Kさん/26歳/営業)

<相談内容>
現職は新しいことにチャレンジしにくい環境で、モチベーションが上がりません。例えば先日も、営業として顧客との信頼構築や売上拡大に役立つと思い、会社に“顧客のコミュニティづくり”という新しい提案をしたのですが、受け入れてもらえませんでした。この先もこうした挑戦は難しいでしょう。そこで、将来のキャリアを考え、転職活動を始めたところですが、転職理由をそのまま伝えると印象が悪くなりそうで心配です。どのように工夫すればいいでしょうか?
誤解を招かないためにも、うまく伝える工夫を
▶アドバイザー
新しいことにチャレンジするために転職したいけど、転職理由についてどう伝えればいいかお悩み中、ということですね。
▶相談者
はい、そうです。職場環境のせいで転職するなんて、ネガティブな理由だと思われてしまうんじゃないかと。
▶アドバイザー
職場環境を理由に転職する人は、実は少なくありません。
Kさんのように、新しいことに挑戦できないという理由以外にも、上司や同僚と合わないなどの人間関係、残業が多いことやリモートワークが許されないといった労働環境に対する不満なども、職場環境に起因します。
とはいえ、ネガティブな退職理由をそのまま転職理由として伝えると印象が悪くなってしまいますので、それは避けたほうがいいですね。
職場に対する不満をストレートに伝えてしまうと、「不満だらけの人」「物事が思い通りにならないと、気に入らないことを愚痴って周囲に悪影響を与えそう」「転職してもまた同じ不満を抱いて、すぐに辞めてしまいそう」などと誤解されてしまう可能性がありますから。
▶相談者
やはりそうですか。では、どうしたらいいのでしょう?
退職理由は不満を目立たせないよう事実ベースで伝えること
▶アドバイザー
退職理由そのものはネガティブでも、転職理由としてまとめる際はポジティブに変換していきましょう。
まず、退職理由の部分は、不満を2割程度に抑えておくイメージです。
▶相談者
多少は混じえてもいい、ということでしょうか?
▶アドバイザー
100%ポジティブなのも、嘘っぽくて見透かされてしまいますし、「不満がないのなら、今の職場に留まればいいのに」と思われかねません。
最も重要なポイントは、事実ベースで伝えることです。
そうすれば、不満点が客観的に伝わるので、ネガティブな印象を持たれずに済みます。
▶相談者
事実ベースにするには、どのような工夫をすればいいでしょうか?
▶アドバイザー
自分が提案した“やりたかったこと”を、数字などを盛り込んで、できるだけ端的かつ具体的に伝えるのです。
STAR(Situation、Task、Action、Result)フレームを使ってまとめるといいと思います。
S:どのような状況で(Situation) T:どのような課題があり(Task) A:どのような行動をして(Action) R:どのような成果が出たのか(Result) |
Kさんの顧客のコミュニティづくりの提案であれば、「顧客との取引継続状況を分析し、顧客との良好は関係性を構築できていないことに課題があると考え、いくつかの考えの中から顧客のコミュニティづくりという方法を選んだ。顧客コミュニティづくりにかかるコストや工数はこれぐらいで、1~3年で得られる成果はこのような想定だった」というふうに、「状況 → 課題 → アクション → 結果予測」のフレームでまとめるんです。
▶相談者
なるほど。そうすれば事実ベースで伝わりますね。
▶アドバイザー
加えて、提案に対する会社の反応と結果も整理しておきましょう。まとめる際のポイントは2つ。
1つは、感情的になって、会社や上司への批判や不満を前面に出さないこと。
もう1つは、自ら取った行動に対し、不足部分への見解など、反省点を交えること。
「会社の考えも理解できる」という客観的な立場を示してください。
▶相談者
わかりました。自分の考えが至らなかった点についても、しっかり見直しておきます。
転職理由は目標や意欲の高さを具体的に伝え、ポジティブな印象に
▶相談者
退職理由を伝えるポイントはわかりました。では、転職理由に上手くつなげるポイントについても教えてください。
▶アドバイザー
転職理由としてポジティブに伝えるには、
- 自分の反省点や力不足も踏まえつつ、年次や経験値などに影響されずに、新しいことを実現できる場を求めている
- 御社で力をつけながら、提案を実際のサービスの形にしていく経験を積みたい
など、今後目指したいことや意欲の高さを見せることです。
▶相談者
志望動機としても、「新しいことに挑戦したいから」と、正直に伝えていいのでしょうか?
▶アドバイザー
志望動機の場合は、転職理由と紐付けつつも「応募先企業を選んだ理由」をしっかり伝える必要があります。
例えば、その企業では社内コンテストから事業化している事例が複数ある、若手でもグループ会社の経営に近いところに出向などのキャリアパスがあるなど、「新しいことに挑戦したい」という自分の思いを実現できるカルチャーがあることに魅力を感じている、と伝えるといいでしょう。
▶相談者
なるほど、志望動機が転職理由だけで終わらないよう気をつけます。ほかに、意識しておいたほうがいいことはありますか?
▶アドバイザー
面接官は、「あなた自身が『ほかの人からどう見られているか』を理解しているか」を見ています。
そのことを意識しながら臨むと、退職理由を含めた転職理由を述べる際にも客観的な対応ができると思います。
▶相談者
わかりました。企業側の意図もしっかり頭に入れながら、伝え方の工夫をしていきます。
ところで、転職サイトや企業のホームページなどで事前にリサーチはしますが、若手に新しいチャレンジをさせてくれる企業風土かどうかについて、面接であらためて質問しても構いませんか?
▶アドバイザー
問題ありません。また同じ不満を抱かないためにも、聞いておいたほうがいいでしょう。
▶相談者
わかりました。的確なアドバイスのお陰で、自分の転職理由をポジティブに変換することができそうです。本当にありがとうございました。
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