「転職して人生を変えたい」転職で起きる変化をプロが解説

転職で変えられること、それぞれどんな変化が起こり得るのかを、組織人事コンサルタントで転職支援のプロである粟野友樹さんが解説します。
「転職して人生を変えたい」と考えている人は、転職によって変わることを具体的にイメージして、自分なりの転職成功に繋げましょう。
目次
「転職して人生を変えたい」と思った時は、転職で何が変えられるか、どう変わりそうかを具体的にイメージしよう
転職活動を始める際、「転職して人生を変えたい!」と考える人は少なくありません。中には、複数回の転職を経て、少しずつ理想の働き方、生き方に近づいているという人もいるでしょう。
一方で、初めて転職活動をしている人の中には、「漠然と“今”とは違う人生を望んでいるけれど、具体的に転職でどんなことが変わるのか、どう変わるかまではイメージできない」という人も少なくありません。
転職を、仕事やプライベートを含めた「人生が変わるきっかけ」にしたい場合は、人生をどう変化させたいのか、そのためにはどんな会社に入ると良いのかを具体的にイメージしてみましょう。
転職活動中に、転職によって変わること、起こり得る変化を具体的にイメージしておくと、自分なりの「転職成功」に繋げやすく、転職後のギャップも少なくなるのでオススメです。
転職で変えられる4つの要素
転職によって変えられる要素・変わる要素は大きく分けて、次の4つがあります。
- 人間関係や組織内での役割(イメージ)、社風
- 仕事の進め方や成果の出し方
- 仕事で得られるもの(経験・スキル、やりがい、給与、役職など)
- 働く環境やプライベート
転職によって起こり得る変化
転職によって変えられる4つの要素について、それぞれどんな変化が起こり得るのかを紹介していきます。これらの変化は、どう変化するのが良い/悪いということはなく、どのような変化が個々人に合う/合わないといったイメージをつけることが大切です。
1.人間関係や組織内での役割(イメージ)、社風の変化
変化の例
- 【人間関係】ドライ ↔︎ 家族的でウェット
- 【役割】自分の成長を求められる ↔︎ 後輩を教育・育成することを求められる
- 【組織体制】フラット型自律自走型の組織(DAO)※ ↔︎ 階層ピラミッド型の組織
- 【社風】新しい挑戦とそれに伴う失敗に寛容 ↔︎ ミスやロスのない安定性を評価する年齢に関係なく抜擢 ↔︎ 年功序列
※DAO(Decentralized Autonomous Organization)は日本語にすると「分散型自律組織」となり、従来のマネジャーがいて、リーダーがいて、メンバーがいる階層ビラミッド型の組織体制とは異なり、明確な管理者がおらず、組織メンバーの投票などによって組織の意識決定が進んでいくのが特徴と言われている。
まず、転職によって必ず変わると言っても良いのが人間関係です。否が応でも新しい人間関係をゼロから築くことになるため、これまで得ていた信頼関係や、他人から見た自分の評価、組織内での役割と言ったものも全て手放して、新しく構築する必要があります。
それが面倒で嫌だと思う人もいれば、「人間関係リセット症候群」という言葉があるように、新しく自己ブランディングをやり直せることが嬉しいと思う人もいるでしょう。
また、組織を構成する人や体制が変われば、社風も変わります。同僚のプライベートには必要以上に立ち入らないON/OFFがハッキリしていて、人間関係がドライな会社もあれば、飲み会やイベントなどが多く、仕事以外でも同僚同士のコミュニケーションが濃密な会社もあるでしょう。
また、年功序列の会社でこれまでの事例や先輩をロールモデルとして成長していくことに安心感を覚える人もいれば、若い組織で自らが若手の教育・育成などやりたい、年齢に関係なく仕事を任せてもらいたいという人もいるでしょう。
自分はどんな組織で、どんな役割を担いたいかイメージをつけておくと良いでしょう。
2.仕事の進め方や成果の出し方の変化
変化の例
- 【根回し】事前に根回しを各方面にして進める ↔︎ トップダウンで進める
- 【スピード】リサーチやデータ分析し慎重に進める ↔︎トライアル&エラー型
- 【情報公開】透明性が高く平等に公開する ↔︎ 管理職など一部に限定する
- 【評価基準】量や行動量を重視する ↔︎ 質や成果を重視
- 【仕事の割り振り】組織や業務の細分化 ↔︎ プロジェクト型
- 【報告形態】対面での報告・書類提出が必要 ↔︎ チャットツールなどオンラインで完結
組織を構成する人と社風が変わると、仕事の進め方や成果の出し方なども変化します。この項目はどう変化するのが良い/悪い ということはなく、「自分にとって働きやすいのは何か」ということを意識することが大切です。
例えば、情報公開の仕方は「透明性が高く平等に公開する」のが良いのではないかと考えがちですが、マネジャーや役員として働く場合には、なんでも平等に公開するよりは、情報によっては自分のポジションまでで留めておける方が、メンバーによって伝え方を変えることができるのでマネジメントしやすいというケースもあるかもしれません。
3.仕事で得られるもの(経験・スキル、やりがい、給与、役職など)の変化
変化の例
- 【規模・認知度】to Cビジネスで消費者に広く認知される仕事をする ↔︎ to Bビジネスで知名度は低いが規模が大きな仕事をする
- 【キャリアパス】専門を特化したキャリア ↔︎ 多様なキャリアパス
- 【昇進の仕方】一足飛びに管理職に抜擢↔︎ コツコツと段階を追って管理職になる
- 【仕事の方向性】 既存事業をスケールさせる ↔︎ 新規事業を立ち上げる
- 【報酬】外的報酬が充実 ↔︎ 内的報酬が充実
仕事で得られるものも、転職によって変わりやすい要素の1つです。この項目についても、何が良い/悪いということはありません。
例えば、「昇進の仕方」は、若いうちに一足飛びに理職に抜擢されるような華やかな昇進を望む人も多いかもしれません。ですが、人によってはコツコツと段階的に昇進をしながらビジネスを体系立て学んだ方が、その後の管理職としてパフォーマンスを発揮しやすいかもしれません。
また、成果をあげた際の「報酬」として、昇給、昇進、秘書の付随、個室オフィスの付与など、外から与えられる報酬があることがモチベーションに繋がる人もいれば、全社員の前で表彰されることで精神的なやりがいや満足感を感じることがモチベーションに繋がる人もいるでしょう。
4.働く環境やプライベートの変化
変化の例
- 【働く場所】固定の拠点 ↔︎ サテライトオフィスの利用可 ↔︎ ワーケンションOK
- 【働く時間】定時型勤務 ↔︎ フレックス勤務 ↔︎ 時差出勤
- 【収入の軸】副業禁止 ↔︎ 副業OK
- 【キャリア支援】留学制度、資格取得支援
- 【プライベートに活かせる制度】推し休暇、アニバーサリー休暇、ワールドカップ時差出勤など
働く環境の変化は、プライベートの変化にもつながりやすい要素です。
例えば、プライベートに活かせる制度として、好きなアーティストや俳優のライブや演劇の鑑賞、引退や結婚などによるショックを癒すために使える有給休暇(推し休暇)がある企業もあります。
他にも、家族の誕生日や結婚記念日などに使えるアニバーサリー休暇や、深夜のスポーツ観戦後に使える「ワールドカップ時差出勤」など、ユニークな制度を導入している企業もあります。
転職することで、「思いっきり趣味を楽しみたい」「もっと家族との時間を作りたい」などと考えている場合には、これらの制度に注目してみるのも良いでしょう。
良い変化ばかりではない中で、どうしたら「転職成功」させられるか
自分にとって好ましい変化を把握する
「転職をして人生を変えるきっかけにしたい」と考えている場合は、まずは転職で変わることと、自分にとって好ましい変化はどんなものかを把握しましょう。そして、選考を通して「この会社に入社した後は、どんな変化が起きそうか」具体的にイメージをつけていくと良いでしょう。
同じ変化であっても「転職して良かった」と感じるか、「前の方が良かった」と感じるかは、人それぞれです。何が良い、悪いという評価基準はないため、あくまで自分がどう感じるかということが重要です。
転職後は、新しい組織に馴染むための努力も必要
「転職すれば全てが好転する」と考えるのではなく、「転職後に、多少のやりづらさがあるのは当然だ」と捉えておくことも大切です。
転職後は、何かしら「やりづらいな。ここは前職の方が良かったな」と感じることが出てくるかもしれません。しかし、新しい環境でギャップを感じて働きづらく感じるのは自然なことですし、そう感じるのは転職直後の一時期だけというケースも多いです。
もしも転職して「イメージと違った」と感じた場合も、「合わないからすぐに転職しよう」と短絡的に考えないようにしましょう。短期間で転職を多数繰り返してしまうと、その後のキャリア形成にも影響しかねません。
新しい環境に合わせていく柔軟性と適応性も大切にしてみてください。組織に馴染もうとしている姿勢を見せることで、周囲からの協力や援助が得られるかもしれませんし、会社として大切にしている考え方や背景に気がついて新しいやり方を自然と尊重できるようになるかもしれません。
「今回の転職では〇〇を解決できたらOK」という転職の軸を決めておく
選考中にどんなに入社後のイメージを具体的につけていても、最終的にどう変化するのかは、実際に入社してみないと分かりません。
例えば、「働く場所の自由度を求めてリモートワークが可能な会社に入社したけれど、組織内でのコミュニケーションが減って人間関係がドライに感じられて物足りない…」といったこともあるかもしれません。
全ての希望を完璧に満たせる自分にとって都合の良い会社には、なかなか出会えないものです。100点満点の転職を目指すのではなく、「今回の転職では〇〇を解決できたらOK」という転職の軸を決めておくことをオススメします。
そうすることで、入社後に何かしらのギャップを感じた際にも「△△は前職の方が良かったけれど、最も変えたかった〇〇は解決したから、暫くはこの会社で頑張ろう」などと、気持ちを前向きに整理しやすくなります。
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