マネジメントに不満があります。転職した方がいいですか?【転職相談室】

上司のマネジメントや評価に不満を抱いて転職を検討する方は少なくありません。ただし、上司は変わることがあるので、本当に転職するか悩ましいところです。
今回は、「マネジメントに不満があります。転職した方がいいですか?」という相談に対して、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏がお答えします。
目次
マネジメントに不満があります。転職した方がいいですか?(Jさん/28歳/営業)

【相談内容】
マネジメントに不満があります。上司は自分より上の人たちばかり見ていて、現場の声を聞いてもらえません。評価にも納得できないので、転職を考えています。
ただ、上司は変わる可能性があるので、転職しても同じような上司のもとに配属されたら意味がありません。また、転職する理由を聞かれた時に、上司に対する不満を言うと印象が悪くなってしまいそうです。
転職した方がいいのか迷っているのですが、どうしたらいいでしょうか。
マネジメントに不満を持って転職を検討するのは珍しいことではない
▶アドバイザー
株式会社リクルートが転職活動中の方に行ったアンケート調査によると、「社内の評価制度」「経営方針やマネジメントのリーダーシップ」「上司や同僚との人間関係」はいずれも上位の不満となっています。マネジメントに不満を持って転職を検討するのは、決して珍しいことではありません。

参考:転職活動者調査 賃金への関心は高まる│株式会社リクルート
ただ、ご相談にもあるように、人間関係の不満は企業を変えても同様のことが起こる可能性があります。また、実際に転職活動をした場合、応募企業から必ず転職理由を聞かれます。「マネジメントに不満がある」と伝えた場合、他責の印象が強くなり、「入社後に管理職と良好な関係を築けるのだろうか?」という懸念をされる可能性があります。
そのため、よほど強いストレスを感じているわけでなければ、転職で実現したいことを明らかにしてから転職活動を始めた方が良さそうです。
▶相談者
分かりました。もし自分が採用担当者だったとしても、面接で上司の悪口を言われるのは気分のいいものではありません。また、嫌いな上司のために自分が転職をするのも癪に障るので、自分にとって確実にプラスになる転職をしたいと思っています。
不満の背景にあるのは、「顧客のニーズを商品・サービスに反映させたい」という思い
▶アドバイザー
マネジメントへの不満は、入社されてからずっと感じているのでしょうか?
▶相談者
以前からトップダウンの企業だとは思っていたのですが、入社して数年はまだ経験が浅かったのと、クライアントサポートの部門にいたので、個人目標ではなくチーム目標を設定されていたため、マネジメントや評価に不満を覚えることはありませんでした。
ただ、4年前に営業に異動になり、個人での売り上げ目標を重視されるようになって、次第に不満を覚えるようになりました。まず、毎月目標を達成して実績を残しても、待遇にほとんど反映されません。さらに、顧客の要望を聞いて商品の改善を申し出ても、上司は部長や商品企画部門の顔色をうかがってばかりで、一向に話が進まないのです。
▶アドバイザー
なるほど。以前は目標を設定されないクライアントサポートだったので、評価への不満を感じにくかったんですね。
▶相談者
はい。クライアントサポートで顧客の声を聞いていたので、営業であればもっと具体的に要望を事業に届けてより良い商品にできると考え、異動願を出しました。現職はハードウェアを扱っているので、顧客やマーケットのニーズを汲み取らない姿勢では、競合他社に追い抜かれていくばかりです。
こうした危機感も含めて上司に訴えたのですが、以前は業界大手だった成功体験もあって、全然聞いてもらえません。
▶アドバイザー
本当は、顧客の声に耳を傾けて商品改善を行い、営業として売り上げに貢献したいんですね。
▶相談者
そうです。営業として、顧客が不満を感じるような商品は売りたくないものです。顧客に向き合っている営業だからこそ、満足していただく商品を提供したいと考えています。
▶アドバイザー
転職理由が明らかになってきました。トップダウンではなく各組織が協力して、顧客のニーズに合わせて商品・サービスづくりをする職場がマッチしそうです。他に、転職先に求めることはありますか?
▶相談者
「実績が待遇に反映しない」という話をしましたが、優先順位で言うとあまり高くはないかもしれません。待遇を上げたいというよりは、営業としての要望を商品・サービスに反映して、より良い商品を顧客に提案したい気持ちが強いです。
▶アドバイザー
分かりました。では、今明らかになった「転職で実現したいこと」を軸に、現職を続けながら興味のある業界・企業に応募してみてはいかがでしょうか。
営業がどこまで商品・サービスにコミットできるか、トップダウンの傾向が強い企業かどうかは、求人やホームページではなかなか判断ができません。面接で現場の責任者や経営層と話をしてみて、自分に合っているか確認することが重要です。
自分に合っている企業がなかなか見つからなかったとしても、退職の意思を伝えなければ、現職で働きながらじっくり探すことができます。
ご自身とマッチする企業から内定が出たら、条件などを現職と比較して、本当に転職するかどうか考えましょう。
▶相談者
なるほど。いい企業が見つかってから転職を判断すればいいのですね。
顧客のニーズを商品・サービスに反映しやすいのが「BtoBの無形商材」
▶相談者
営業の仕事は多いので、興味のある企業を見つけるのが大変そうですが、探し方にコツはありますか?
▶アドバイザー
営業として顧客のニーズを探って、商品・サービスにダイレクトに反映したいのであれば、BtoCよりもBtoBのサービスの方がマッチしているかもしれません。
BtoCの場合は個人が対象になるためニーズが多様化する傾向がありますが、法人であれば対象が限られるため社内にニーズを伝えやすくなります。企業によっては、商品企画が営業同行するケースもあるでしょう。
また、商材の数や内容が限られている有形商材よりも、営業がある程度カスタマイズできる無形商材の方が、顧客のニーズに対応しやすくなります。
▶相談者
BtoBの無形商材とは、具体的に言うとどのようなものでしょうか?
▶アドバイザー
IT・Web、コンサルティング、人材、金融、広告などが挙げられます。顧客のニーズを探り、マッチするシステムを提案したり、解決策を考えたり、人材をアサインしたりしますが、いずれも定型の商品・サービスではないので営業のヒアリング力や課題解決力、提案力などが求められます。
▶相談者
興味がわいてきました。現職はハードウェアが商品なので、なかなか営業の声が反映されませんでしたが、無形商材なら営業側で柔軟な対応ができそうです。もともと、ITの力で顧客の課題を解決したくて現職を選んだという背景があります。ITでも無形商材を扱う企業であれば、やりがいを感じながら働くことができそうです。
▶アドバイザー
ITの場合は、定型化した商品・サービスに見えても、顧客のニーズに合わせてアップデートを繰り返したり、カスタマイズをしていたりする企業もあります。
また、主にSaaS領域において、「カスタマーサクセス」という職種が求められるようになりました。従来のカスタマーサポートとは異なり、商品・サービスを受注した顧客を積極的に支援する役割を担います。
クライアントサポートと営業経験をお持ちなので、カスタマーサクセスも視野に入れるのも選択肢のひとつです。
▶相談者
なるほど、ITだと色んな選択肢がありそうですね。自分に合った企業をじっくりと探してみたいと思います。アドバイスありがとうございました!
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