アンラーニングとは?転職時にアンラーニングが必要とされる理由
ビジネスやキャリア形成において、「アンラーニング」という言葉が注目を集めています。では、アンラーニングとは何を指すのでしょうか?
そこで、転職時にアンラーニングが必要とされる理由について、組織人事コンサルティングSegurosの粟野氏に伺いました。
アンラーニングとは?
アンラーニングを直訳すると「学習棄却」。これまで身につけてきた知識やスキルをいったん捨て、新しい知識・スキルを取り入れることを指します。
世界的な感染症拡大や政情不安、急激な技術革新、気候変動など、我々を取り巻く環境は急速に変化しており、不確実で複雑、あいまいさを増しています。そのような環境下では、変化に柔軟に対応するため、アンラーニングで従来の知識や価値観を捨て、自らを変革していく姿勢が求められます。
また、変化が激しい世の中においては、新しい概念や価値観がどんどん生まれ、それに伴い新しい仕事や役割も生まれます。そういう仕事や役割を担う場合にも、アンラーニングが求められます。時代遅れになった知識や価値観をリセットし、常に最新の情報をインプットしていく必要があるからです。
もちろん、転勤や異動などの環境変化や、転職など自ら環境を変える際にもアンラーニングは必要とされます。新しい知識や価値観を積極的に取り入れることで、転職先でも力を発揮しやすくなります。
転職でアンラーニングが必要な理由
アンラーニングは全てのビジネスパーソンに必要とされるものですが、特に転職の際には必須になります。ここでは、転職時にアンラーニングが必要とされる理由について、詳しくご説明します。
転職先で必要な知識・スキルを身につけるため
転職先には、その会社、その仕事で必要とされる知識やスキルがあります。それを取り入れるためには、過去の経験やスキルをいったん脇に置いておく必要があります。
たとえ経験がフルに活かせそうな同業界・同職種への転職であっても、アンラーニングは必要。企業理念や社風、文化、仕事の進め方、社内に蓄積されているノウハウやデータが異なれば、力を発揮するための筋肉も変わるはず。転職先で必要とされるものを、一から身につけようとする姿勢が大切です。
前職に最適化されたマインドを変えるため
これまでの社会人経験を通して染みついた仕事のやり方を、転職先でも貫くのは無理があります。環境が変わればその会社ならではのやり方があり、これまでのやり方を無理に押し通したところで成果は上がりにくいでしょう。
前職で培われた組織や制度、環境に対する「当たり前」の意識も、アンラーニングする必要があります。例えば、制度面が整い、分業化も徹底されている大手企業から、組織が固まっておらず一人で何役もこなす必要があるベンチャー企業に転職する場合、これまでの固定観念に縛られていては「こんな雑務もやらなければならないのか」「こんな制度すら整っていないのか」と不満ばかりが先行してしまうでしょう。
新しい環境でのやり方に1日も早く慣れて組織になじみ、成果を上げるためにも、アンラーニングは重要なのです。
「デキる人」ほど転職時のアンラーニングが重要
転職では社風や人間関係、仕事の進め方や社内のリソースなど全てがリセットされます。過去の知識や経験に捉われてすぎてしまうと、新たな環境に溶け込むことができなくなるかもしれません。
そして、前職で高い成果を上げていた人、成功体験が多く経験が豊富な人であっても、これまでのやり方をなかなか捨て切れず、転職先で苦労することもあります。プライドが邪魔をして新しいやり方を取り入れられず、短期間で辞めることになってしまった…というケースは決して少なくないのです。
そもそも「デキる人」の基準は会社によって異なります。前職で評価されていたポイントが、新しい会社ではあまり評価されない、というケースもあり得ます。もちろん、活かせる経験やスキルは武器にしながらも、新しい環境でのやり方を一から素直に学ぼうとする姿勢を大切にしましょう。
転職先で活躍するための、アンラーニングのポイント
転職先ですぐに成果を上げ、活躍するために必要な、アンラーニングの心構えや姿勢についてご説明します。
上司からフィードバックをもらい、考え方をリフレクション(内省)する
これまでの知識やスキルの何を捨て、何を活かすのか、そして新しく学ぶべきものは何か。新しい環境に合わせて取捨選択する必要があります。その際に役立つのが、転職先の上司や先輩、同僚などからのフィードバックです。
このような例があります。
ある大手企業で長年経理を担当していた人が、ベンチャー企業に転職。前職では役割分担が縦割りで業務範囲が限られていたため、担当業務においてはプロフェッショナルでした。しかし、新しい会社では経理のすべてを手掛けることに。業務範囲が増え、前職でのやり方も通用しないことに日々戸惑い、焦りを感じていました。
ある日、プライドを捨てて上司に「ダメ出ししてもらう」時間を取ってもらうことを依頼。その場で今の自分に足りないものは何か、徹底的にフィードバックを受けました。それを機に、自分の課題が明らかになったことでマインドセットが変わり、仕事への取り組み姿勢も変化。学び続ける原動力にもなったそうです。
このように、入社後しばらく経ったころに「今の自分は活躍できているか。足りない点はどこか」と聞いてみるのは、アンラーニングの精度を上げるのに有効です。自分自身で内省することも必要ですが、一人では気づけない点も多いもの。フィードバックの内容を踏まえて内省したうえで、今後やるべきことを考え実行するといいでしょう。
なお、転職後しばらくは、フィードバックは定期的に受けるのがお勧め。その内容を踏まえて自身をブラッシュアップする姿勢が、成果へとつながります。
新しい情報を得る機会を増やす
ビジネスパーソンが成長するためには、学びが重要。内省と同時に、転職先で必要な情報を自ら取りにいき、独学することも大切です。社内の勉強会やセミナーに参加する、社内で共有されているノウハウやナレッジを見て学ぶ、わからない点は上司や先輩に随時確認してキャッチアップするなど、新しい環境で必要な情報は、自分からどんどん掴みに行きましょう。
先輩の実際の仕事ぶりを見て学ぶことも、アンラーニングのポイント。例えば営業職であれば、成果を上げている先輩の営業に同行させてもらい「この会社ならでは成果が上がるやり方」を体感することで、自分のやり方との違いがつかめ、学ぶべきことが明確になるでしょう。
このように今の会社・仕事に関する情報をできる限り増やせば、取捨選択のポイントがつかめ、より精度の高いアンラーニングが実践できるようになります。
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