転職におすすめの業界・職種とは?キャリアアドバイザーからのアドバイス
転職を検討している際に、「自分におすすめの業界や職種を知りたい」と考えたことはありませんか?
この記事では、転職の目的として多くの人が挙げる「収入アップ」「安定」「働きやすい環境」「知識・スキルの習得」の4つを軸に、おすすめの業界と職種について、組織人事コンサルティングSegurosの粟野さんに話を聞きました。
目次
「転職したい!」あなたの目的は?
キャリアアドバイザーとして、「おすすめの業界・職種を教えてください」という質問を受けることがあります。しかし、万人に共通するおすすめの業界・職種はない、といわざるを得ません。
理由としては、個々人の価値観や志向性、また置かれている状況によって転職の方向性が変わってくるからです。
本記事では、その中でも転職支援の場面でよく挙げられる4つの転職の目的、
(1)収入アップ
(2)安定性(将来性)
(3)働きやすい環境
(4)知識・スキルの習得
に絞った上で、おすすめ業界・職種の一例や探し方を説明していきます。
(1)「収入アップ」を目指したい場合におすすめの業界・職種は?
収入アップを実現させる方法としてまずあるのが、基本給が高い業界に転職するということです。例えば、業界的に収益性が高い場合には、基本給が高くなる傾向があります。業界でいえば、大手商社やコンサルティング業界、金融業界などが考えられるでしょう。
インセンティブが大きい不動産業界や保険業界なども、目標の達成率次第で収入アップが見込めると思います。もちろんインセンティブの割合が大きい分基本的な給与(ベースの給与)の割合は低いので成績に大きく左右されることは考慮する必要があります。
総じて規模が大きい、市場シェアが高い企業は高収入の傾向にあるので、これまでの経験を活かして、同じ業界内でより大手の企業に転職する方法も考えられます。実際、専門商社から総合商社に、あるいはIT業界の2次請け企業から1次請け企業 に転職して、年収アップを実現させた事例があります。
また、考え方としておすすめしたいのは、「市場成長が期待できる領域へ転職する」ということです。
例えば、現在も成長著しいIT業界・Web業界にはそうした「市場成長が期待できる=人材ニーズが高くなる」領域が豊富です。
人材ニーズの高い職種の例としては、Webサービスやアプリ等の開発等を行うWebエンジニア、ビックデータの運用や分析を行うデータサイエンティスト、SaaS(サース:Software as a Service)に代表されるようなサブスクリプション型ビジネスの広がりにより新しい職種として増えているカスタマーサクセスなど、が考えられます。
アドバイスまとめ
- 「基本給が高い」「インセンティブの割合が大きい」「市場成長が期待でき人材ニーズが高い」といった業界は収入アップにつながりやすい。
- 基本給が比較的高い業界としては、大手商社やコンサルティング業界、金融業界などが挙げられる。
- インセンティブの割合が比較的大きな業界としては、不動産業界や保険業界などが挙げられる。
- 市場成長が期待でき、人材ニーズが比較的高い業界としては、IT・Web業界などが挙げられる。Webエンジニアなどに加え、これまでになかった新しい職種も増えている。
- 業界ではないが「規模が大きく市場シェアが高い企業」も高収入の傾向があるので、同じ業界内でより大手の企業に転職することで収入アップを目指す方法も考えられる。
(2)「安定性」を求める場合におすすめの業界・職種は?
安定を求める人からは、「安定が期待できたから今の企業に就職したものの、昨今の激しい変化を見ていると将来が不安」などの声が聞かれます。
ここで「安定」の意味するものについて掘り下げてみると、大きく2つに分けられます。
(B) 他企業・他業界でも通用するスキルを身につけることで得られる安定
一般的に「安定」という言葉を聞くと、(A)のように「長期雇用を維持してきた企業」をイメージする方が多いのではないでしょうか。知名度がある、大手である、老舗である…等の企業は相対的に安定しているように感じられるのかもしれません。
しかし、そういった企業が必ずしも安定しているかというとそうとも言えません。10年前には安定した企業であると認識されていた企業が、現在苦境に立たされているといったニュースはよく聞くのではないでしょうか。
また、企業自体は安定していても、終身雇用を半ば保証(これまでも決して保証をしていたわけではないのですが)していたような状況はもはやなくなりつつあります。
その意味では、(B)のような、他企業でも活かせるスキルを身につけることが、中長期的な視点から考えた場合に「安定」して働き続けられると言えるでしょう。
例えば、IT・Web業界での経験スキル。同じ営業スキルでも、IT・Web業界での経験を踏まえると、今後活躍できる場の選択肢が広がると言えるでしょう。理由は、テクノロジーを用いて新規事業や業務改善をすることが今後どの業界でも必然的に増えてくると想定されるためです。営業という職種でも活躍できる場が広がるだけではなく、他の職種(例えばITコンサルやマーケティング、カスタマーサクセス職など)への展開も可能となりそうです。
こうした市場のニーズが高まる領域での経験スキルは、展開の幅が広がるので、結果的に「安定」へとつながっていくと言えるでしょう。
アドバイスまとめ
- これまで安定的な業績により長期の雇用を維持してきた企業でも、今後も「安定している」とは言いきれない
- 「他企業・他業界でも通用するスキルを身につける」のも安定につながると考えてみては
- 市場ニーズが高まる領域(例えばIT・Web業界)での経験スキルは、他企業・他職種への展開の幅も広い(=他企業・他業界でも通用しやすい)
(3)「働きやすい環境」を求める場合におすすめの業界・職種は?
働きやすい環境については、業界や職種よりも、個々の企業の制度や風土に着目しましょう。というのも、例えば働きやすさの目安の1つ「残業が少ない」かどうかは企業に依存するものであり、同じ業界・職種だからといって当てはまるとは限らないからです。
まずは「自分にとって働きやすい環境に必要な要素は何か」を見極め、残業時間や休日、福利厚生、転勤の有無、ノルマの有無、勤務スタイル、服装、産休・育休制度などの実態を個別に調べていくとよいでしょう。企業のHPや求人募集要項に掲載されている項目がヒントになります。
一つの参考例として、女性にとって働きやすい環境について調べたい場合は、厚生労働省の『女性の活躍躍進企業データベース』にアクセスしてみてください。登録企業の育休取得率、月平均残業時間、年次有給休暇取得率などを検索できますし、女性の活躍を推進している企業が厚生労働大臣から受ける「えるぼし」認定企業なども調べることができます。
また、リモートワーク(在宅勤務)などの勤務スタイル、カジュアルな服装や上司とのフラットな関係などを働きやすさに期待するのであれば、ITやWeb関連企業やスタートアップ企業が柔軟なスタイルを取り入れている可能性が高く、おすすめです。
アドバイスまとめ
- 働きやすさに関しては、業界や職種ではなく、個々の企業の制度や風土に着目しよう
- 自分にとって「働きやすさ」につながる要素は何かを考えた上で、自分にあった制度や風土を見極めること
(4)「知識・スキルの習得」を目指したい場合におすすめの業界・職種は?
まずは「どんな知識・スキルを身につけたいか」について考えてみてください。大事なのは、「自分の志向に合わせること」です。
もし一定のビジネス経験やスキルがあり、それを活かしたい場合は、ベンチャー企業で業務の担当領域を広げてスキルアップを目指すのも1つの手です。
あるいは、「ベースのスキルをしっかり身につけたい」のであれば、大企業を選ぶのもよいでしょう。理由としては、そこに備わる充実した教育制度や、整った評価・等級制度などのおかげで、ベーススキルを体系的に学ぶチャンスがあるからです。
経済産業省が2016年に発表した『IT人材最新動向と将来推計に関する調査結果』によると、マクロな規模でのIT人材は2019年をピークに人材供給が減少傾向となり、不足数が拡大するとのこと。そういうわけで、WebエンジニアやデータサイエンティストなどのIT関連の職種は、この先も人材需要が比較的高いといえそうです。
IT業界・Web業界であれば、エンジニア職のみならず、営業職やコンサルタントにも人材ニーズはあります。すでに身につけた営業スキルや洞察力を活かしながら、成長分野の先駆者になることも可能でしょう。
また、FinTechをはじめ、Education(教育)とTechnology(テクノロジー)を組み合わせたEdTech(エドテック)、Insurance(保険)とTechnology(テクノロジー)を組み合わせたInsurTech(インシュアテック)など、これまで培ってきた知識やスキルとテクノロジーを組み合わせた新しい分野に転職することで、新たな知識やスキルを得られるチャンスが広がります。
ただ、前述の通り、市場の流行りを前提にスキル習得を考えてしまうと、向き不向きの問題に直面してしまう可能性があります。まずは「自分がどういうスキルを、どういう形で身につけたいか」について、きちんと考えることが重要です。
アドバイスまとめ
- どんな知識・スキルを身につけたいかを整理した上で、自分の志向にあった業界・職種を選ぶこと
まとめ
今回は、一例としておすすめの業界や職種を紹介しましたが、業界にも浮き沈みがあるので、“絶対”ではありません。また、将来的にはAIにとって代わられる職種が出てくるかもしれません。
大切なのは、自分の転職目的をしっかりと深堀りすること。
他人からの“おすすめ”だけにとらわれずに、その転職で自分の目的は達成できるのかを客観的に判断するようにしましょう。
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