カジュアル面談でも志望動機は必要?適切な伝え方例・NG例

カジュアル面談では、企業ごとのカジュアル面談に対する位置づけや採用活動の状況、参加者の関心度などによって志望動機の必要性が変わってきます。
対応の仕方によっては印象に差の出る場面といえるため、参加までに企業の情報や自身の状況を整理しておきましょう。
本記事では、ケースごとの考え方と伝え方の例を組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏が解説します。
カジュアル面談ではどの程度まで志望度を言葉にするべきか迷っている方は、参考にしてください。
目次
カジュアル面談でも志望動機は必要?|判断基準と考え方のポイント
「カジュアル面談で志望動機は必要か」については、「ケースバイケース(少なくとも「参加理由」は必要)」といえます。
明快な回答にならないのは、主に以下3つの事情が人によって異なるためです。
- カジュアル面談に至る経緯(企業からのオファーか、自分からの希望か)
- 企業に対するあなた(面談参加者)の興味・関心度、志望動機の有無
- あなた(面談参加者)が現在置かれている状況
判断基準と考え方のポイント<チャートあり>
そこで、カジュアル面談における志望動機について「参加者はどのようなケースでどのように考えればいいか」をマトリクス図にしました。おおよその目安にしてください。

まず、カジュアル面談に至る経緯は、主に以下の2つです。
▶企業側からのスカウト・リファラル → 転職サイトや社員紹介などを通じて、「まず話だけでもしてみませんか?」と声がかかるケース。志望動機や入社意志が固まっていない段階でもOKとされる。 ▶応募者がカジュアル面談を希望した場合 → 求職者がいきなり選考に進むのではなく、事前に企業の情報を知りたいと申し出るケース。企業によっては、エントリー前の面談を受け付ける。 |
これに加え、以下のような状況次第で志望・関心度の温度感、そして伝え方は異なってくる、というのが基本的な考え方になります。
- 知名度の高い企業かどうか
- 企業たっての希望による強いアプローチ
- 現職が忙しくて準備する余裕がない
- 実質的に選考の一環として実施される など
カジュアル面談ではやんわり志望度・関心度を確認されることも
カジュアル面談はあくまで“情報交換の場”とされています。
企業側も「この場をきっかけに関心を深めてもらえれば」と考え、本番の面接のように志望動機を直接尋ねてくるケースはほとんどないでしょう。
とはいえ、「なぜこの面談に参加したのか」「当社のどういった点に興味を持って来たのか」など、“志望理由のヒント”は知りたいというのが企業側の本音でもあります。
以下のような間接的な聞き方で、それとなく確認するケースが見られます。
「どこで弊社のことを知っていただいたのですか?」
→ 企業との接点をたどる中で、どこに関心を持ったかを探ろうとする意図
「今回、面談に参加しようと思ったきっかけはありますか?」
→ 参加理由を尋ねることで、関心の有無や温度感を確認しようとする意図
「今日はどんな話が聞けたらうれしいですか?」
→ 応募者が聞きたいテーマを通じて、関心のある分野や志望動機の“きっかけ”を探ろうとする意図
志望動機の温度感別・伝え方の例とNG例
ここでは、カジュアル面談に向けて、志望・関心のレベルに応じた伝え方とNG例を紹介します。
【興味は薄いがとりあえず話を聞いてみたい】最低限のリスペクトを伝える
「企業からの誘いがあったから参加してみる」というレベルの場合でも、「なぜ面談に来たか」については丁寧に伝えましょう。
以下のようなメッセージにすると、相手へ敬意を示すことができます。
▼例文①
「今の時点で具体的な転職先を絞り込んでいるわけではないのですが、御社の事業内容やスタンスに触れる中で、もう少し深く知りたいと思うようになりました。実際に働く方の声を伺って、今後の選択肢として具体的に考えられるかを判断したいと考えています。」
▼例文②
「まだ転職活動を始めたばかりで、自分に合う企業像を探っている段階なのですが、御社の○○という取り組みが、自分が大切にしている“△△”という価値観と重なる部分があると感じました。自分の方向性とどれだけ一致しているかを見極めたくて、今日はお話を聞かせていただきたいと思っています。」
【興味・関心がある】共感ポイント+質問で構成する
少なくとも企業の公式サイトなどは一読しておきたいもの。その上で、企業の考え方や取り組みに共感している場合は言葉にして伝えましょう。
さらに「聞きたいこと」を加えると、面談が一方通行にならず自然に会話が広がります。
▼例文①
「御社の企業理念の中でも、○○という部分に共感しました。実際に働いている方がどのようにその考え方を実践されているのか、具体的なケースをお伺いできますか?」
▼例文②
「○○の取り組みに共感し、詳しくお話を聞きたいと思いました。特に□□の部分について、現場ではどのように進めているのか興味があります。コンセプトや今後の展望など、ぜひお聞かせください。」
【志望度が高い】具体的な動機+キャリア軸で話す
志望度が高い場合は、自分のキャリアと企業の方向性がどのように重なるかについて、言語化しておきましょう。
本番への準備にもなりますし、ここで志望動機をある程度形にして伝えることで、担当者に本気度や熱意を汲み取ってもらえます。
選考に進む場合は、お互い良い感触を得られるはずです。
▼例文①
「これまで○○の業務に携わる中で、□□のような経験を重ねてきました。今後はこの分野で専門性を深めたいと考えており、その方向性が御社の取り組みと重なると感じています。」
▼例文②
「これまで○○のスキルを活かして△△領域の課題解決に取り組んできました。御社が□□の分野でAI分析を活用した取り組みを進めている点に惹かれており、自分の経験をどう活かせるかお話を伺えればと思っています。」
▼例文③
「△△の経験を通じて○○領域に関心を持ちました。御社の□□という方針に強く惹かれ、今後はこの分野で専門性を深めていきたいと考えています。」
カジュアル面談でやりがちなNG表現例
カジュアル面談とはいえ、企業の担当者も時間を割いて対応するものです。
あまりにも受け身な態度や無関心さが見えると、「この人はなぜ参加したんだろう?」とマイナスの意味で疑問を持たれてしまいます。
形式がカジュアルでも、“ビジネスの場”であることは変わりません。
面談の参加理由などを尋ねられた際に、以下のように答えるのはNGです。
▼NG例
「何となく面談の案内が来たので…」
「特に参加理由はないです」
「とりあえずどんな会社か聞いてから考えようかと…」
「【とりあえず話を聞いてみたい】最低限のリスペクトを伝える」で述べたように、できるだけ丁寧に伝えましょう。
前向きな印象を残しておいて損はありません。
カジュアル面談のための志望動機準備リスト
カジュアル面談でも、ある程度の志望動機は伝えたい、と考えている場合は、以下を参考に準備を進めてください。
「会話のきっかけになる」「自己紹介の一環として伝えられる」などのメリットにつながります。
企業の特徴をざっくり把握しておく
まずは、企業の事業内容やサービス、規模感などをざっくりと押さえておきましょう。
公式サイトや採用ページにひと通り目を通し、「何をしている会社なのか」「どこに力を入れているのか」を理解しておくと、面談の中で話を広げやすくなります。
そのうえで、共感できるポイントや興味を持てることを1つでも見つけておくのがコツです。
企業理念やサービスの方向性、働き方のスタンスなど、「いいな」と思った部分をメモしておけば、面談で自然に興味を伝えるきっかけになります。
自分のキャリア観とどう重なるかをゆるく整理しておく
まだ志望度が高くなくても、「将来はこんな働き方がしたい」「今の経験を活かせるフィールドを探している」といった方向性を意識しておくと、企業との接点を見つけやすくなります。
「こういう部分が気になっています」と伝えられるだけで、十分ポジティブな印象につながります。
自己紹介から自然に話を広げられるようにしておく
面談では、まず、企業側の担当者が自己紹介や担当業務などの説明をします。
その後、面談参加者の自己紹介に入る、というのが基本的な流れになります。
自分が自己紹介をする際は、企業への関心をさりげなく織り交ぜられると、自然に伝わります。
▼例
「○○(氏名)と申します。本日は貴重なお時間を頂き、誠にありがとうございます。前職では○○(経歴の説明)に取り組んでいたのですが、最近は□□にも関心があり、御社の△△という取り組みを拝見して、ぜひお話を伺いたいと思いました。」
カジュアル面談で参加理由や志望動機をうまく伝えたい<会話フレーズ&例文集>
ここでは、カジュアル面談に使える自然なフレーズを5パターンご紹介します。
■フレーズ例①:「お声がけいただいて、実際にどんな会社か知りたくなりました」
企業側:「今回、当社からのスカウトという形でお声がけさせていただきましたが、面談にお越しいただいた理由などがあれば教えていただけますか?」
応答例:
⇒「お声がけいただいて、初めてしっかりと御社の公式サイトを拝見したのですが、自分にとっては新しい領域だったので、 “どんな会社なんだろう”と純粋に知りたくなりました。」
⇒「今回の面談がなければ御社には出会えなかったかもしれないので、まずは情報収集を広くさせていただきたいと考え参加しました。こうして直接お話できるのはありがたいです。」
■フレーズ例②:「“まだ正解がわからない”からこそ、話を聞きたいと思いました」
企業側:「転職活動のご状況について、差支えがなければ教えていただけますか?」
応答例:
⇒「今まさに自分の方向性を整理しているところでして。御社のような企業のお話を聞きながら、自分に合う働き方を考えていきたいと思っています。」
⇒「この先のキャリアで何を優先すべきか、自分の中でもまだ正解がわからないでいます。ただ、御社の取り組みや働き方を見たときに“こういう選択肢もあるのか”と視野が広がった感覚がありまして。自分の軸を見直すヒントを得られたらと思って今日は参加させていただきました。」
■フレーズ例③:「自分のキャリアと重なる部分があると感じていて…」
企業側:「カジュアル面談をご希望いただけた理由があれば教えていただけますか?」
応答例:
⇒「前職で取り組んでいたテーマと、御社のプロジェクトに近いものを感じたんです。経験を活かせそうだと思って、詳しく聞いてみたいと思いました。」
⇒「これまでデータ分析を軸にキャリアを積んできたのですが、御社が進めている“生活者視点での分析活用”というアプローチが、自分のスタンスと重なる部分があると感じていて。実際にどんなプロジェクトがあるのか伺えたら嬉しいです。」
■フレーズ例④:「“この会社を志望する自分”をイメージできるか確かめたかった」
企業側:「今回の面談には、どういったことを期待いただけていますか?」
応答例:
⇒「インターネットや転職エージェントからの情報だけでなく、実際の雰囲気も知った上で判断したいと思って来ました。お話を聞いて、自分にとってフィットするか見極めたいです。」
⇒「御社の考え方や事業に関心があるのは間違いないんですが、“本当にこの会社で働く自分がイメージできるか”を確かめるためにも、まずはカジュアルにお話を伺いたくて参加しました。」
■フレーズ例⑤:「“この環境に飛び込んでみたいかも”と思った自分がいたんです」
企業側:「他にも数多くの魅力的な会社がある中で、当社にご興味お持ちいただきカジュアル面談に参加いただいた理由を聞かせていただけますか?」
応答例:
⇒「いろいろ企業を見てきましたが、御社のようなスピード感ある環境に惹かれる自分がいました。今の自分に必要な刺激かもしれないと感じています。」
⇒「実は最初は情報収集の一環くらいに考えていたんですが、御社のプロジェクト事例や社員インタビューを見ているうちに、“この環境に飛び込んでみたいかも”と思った自分がいて。まだ検討中ではありますが、その気持ちが本物かどうか確かめたくて、今日はお話を伺いに来ました。」
■フレーズ例⑥:「今までの仕事と違うけど、(良い意味で)気になっている点がありまして…」
企業側:「業界(または職種)は未経験とのことですが、どういったきっかけでご興味を持たれたんですか?」
応答例:
⇒「これまでとは違う分野なんですが、御社の取り組みを知ったときに、“理由ははっきりしないけど、なぜか気になってしまう”という直感がありまして。それがずっと引っかかっていたので、一度お話を伺ってみたいと思いました。」
⇒「異業界からのチャレンジにはなりますが、御社の公式サイトに書かれていた“〇〇”という文言に目が止まりました。自分の強みをどう活かせるかはまだ具体的にイメージしきれていないのですが、その点詳しくお話を伺えれば思っています。」
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