地元にUターン転職したいが、希望に合う求人が見つかりません【転職相談室】
地元にUターンして転職したいものの、求人数が少なく、希望に合う求人が見つからないというご相談に、キャリア形成のプロフェッショナルとして、組織人事コンサルティングSegurosの粟野氏がお答えします。
目次
地元にUターンしたいものの、給与・やりがいの観点で希望に合う求人が見つかりません。どうしたらいいでしょうか?(Sさん/29歳/男性/Webディレクター)
福岡県から東京の大学に進学し、そのまま東京で就職。現在は、Web制作会社でWebディレクターとして働いています。
いずれは地元に戻ろうと考えていたこともあり、最近子どもが生まれたことをきっかけに、地元にUターン転職したいと思っています。
ただ、東京に比べて求人数が圧倒的に少なく、給与・仕事のやりがいなど、希望に合う求人がなく、転職活動が進みません。
どう対策すればいいでしょうか?
Uターンの目的を再整理してみよう
Uターンを希望される方で多い理由は大きく3つ挙げられます。
- 「ふるさと(出身地)で暮らしたいと思ったから」
- 「家族や親せきが近くにいるところで暮らしたいから」
- 「気候や自然環境に恵まれたところで暮らしたいと思ったから」
※総務省調査結果概要資料1/平成 29 年 11 月 7 日~12 月 5 日実施 過疎関係市町村移住者への調査結果より(https://www.soumu.go.jp/main_content/000534784.pdf)
中でも一番の理由は、自分が生まれ育ち、家族や親せきが多いところで子どもを育てたいから、でしょうか。
ただ、福岡県の中でも実家の地域は中心地から離れるため、インターネットで探しても、希望に合う求人が見つかりません。
転職エージェントにも登録して求人を探してもらっていますが、あまりないようです。
周囲の理解状況を確認してみよう
求人以前にまず、確認しておきたいのが、家族の理解を得ているか、という点です。
東京で生活をしていた人が地方に移住する際、生活インフラや習慣が変化し、ライフスタイルに大きな影響を与えます。
ご自身が生まれ育った環境とはいえ、東京での生活に慣れていると、改めて気になる部分も出てくるものです。
特にパートナーの方は、文化や風習が異なる不慣れな地域で生活していく場合、少なからず不安を抱えるものです。
丁寧に相談することをおすすめします。
また、妻はフリーランスで仕事をしているので、場所を選ばず仕事を続けることができ、彼女の仕事については、そこまで心配していないようです。
ただ、私に良い条件の仕事が見つからないと生活が不安定になってしまうので、二人ともそこだけが気になっています。
ただ、一時的な帰省と長期的に地方で暮らすのとでは、まったく状況が異なります。
可能であれば、住む場所やその周辺環境、保育園や小学校の様子まで地元の友人や親せきに確認して情報を得て、具体的なイメージを家族で共有しておいた方が安心ですよ。
また、ご両親も、同居なのか近くに住むのか、ご実家から少し距離のある中心部に住むのかによって心構えが変わるのではないでしょうか。
子育てのサポートへの意思確認や、ご両親が介護になった場合にどうするかなど、事前にシュミレーションして理解を得ておくことが大切です。
現状の転職活動状況を確認してみよう
ハローワークも含めて、全国の求人を探せるサイトはありますが、地方企業ではインターネットを使った求人よりも、地域情報誌や地元紙、折り込みチラシなどに求人を掲載する方がまだまだ多いものです。
東京でインターネット上に上がってくるのを待つだけでなく、地元で一定期間過ごし、地域で必要とされる仕事を理解していくと、ご自身の経験の活かし方も見えてくるのではないでしょうか。
地元の同級生の中には、地域の様々な企業や経営者に豊富な人脈を持つ方もいるでしょうから、地元の友人・知人に相談して、ご自身の経験を活かせる求人がないか相談してみるのもおすすめです。
他の選択肢はないかを確認してみよう
親族がいるご自身が生まれ育った環境で子育てをしたいから、Uターンして転職しようということですが、今の会社でリモートワークが可能であれば、生活拠点を地元に変えて、今の仕事を続けるということも考えられます。
働き方が多様化している現在でしたら、理解を示してくれる可能性もあります。
また、Uターン希望のエリアではWebディレクターの仕事が少ないようですが、東京では比較的多くの求人があります。
昨今、エンジニアを中心に完全リモートワークの求人が増えているため、東京にある完全リモートワークの企業へ転職してから、生活拠点を福岡の地元へ移すという方法もあります。
そうすれば、仕事も生活も一気に変えるより、精神的にもコスト的にも、負担が少なくて済みそうです。
ご実家までは車で1時間ほどかかるとしても、企業が多い福岡市であれば、東京と生活インフラも似ており、一緒に住むご家族も安心できるかもしれません。
車がないと生活できない実家の方にいきなり行くよりは、生活ギャップを感じにくいのでしょうか。
移住のタイミングはよく相談された方がいいでしょうね。
例えば、福岡市で希望に合う求人があった場合も、可能であれば副業として、東京にいながら仕事させてもらい、本当に自分に合う職場かどうか確認してみる、という方法もあります。
また、Webディレクターであればフリーランスや、今までの経験を活かして起業するという方法もありますので、本当にUターン転職だけしかないのか、今一度視野を広げて考えてみるとよいのではないでしょうか。
それでもUターン転職をするなら
例えば、東京の有効求人数(パート除く)が159,864件(2021年3月)のときに、福岡県の有効求人数(パート除く)は61,123件で、東京の約38%です。
絶対数が少ない中で求人を探していくわけですから、企業規模や給与、業種、職種、福利厚生など、今までと同じ条件を希望していたら、見つかりません。
Sさんの場合、子育て環境や親族の近くに住むことがUターンの目的だというお話ですから、それ以外の給与や、例えば扱う案件の規模などご自身がやりがいと感じる条件は、場合によっては今の基準よりも下げざるを得ないのが現状です。
ただ、給与に関しては、もし実家で親と同居するのであれば、生活コストを下げることができるかもしれませんし、東京とは物価も異なります。
やりがいに関しては、例えば大きな案件は減ったとしても、地元密着の案件に携われるなど、別のやりがいも見つかるかもしれません。
ネガティブな面だけではなく、地方ならではの良さにも目を向けつつ、将来設計を見通して、優先順位を考えてみましょう。
※「都道府県(受理地)別 雇用形態別 有効求人数(実数)https://www.soumu.go.jp/main_content/000534784.pdf」
親と同居は考えていなかったのですが、そうしたパターンも検討した方がよさそうですね。
先にお伝えしたように、インターネットの情報だけではなく、地域情報誌や友人知人・親せきを頼って情報を収集していきましょう。
地元の求人は地元で生活してこそ見えてきます。東京で転職活動をするよりは、時間も労力もかかることを踏まえて、長い目で転職活動を考えておくとよいでしょう。
もし、地元で働きたいと思える会社があれば、求人を出していなくても、訪問してみるのも一つの方法です。
直接話すことで新たな道が開ける可能性も十分あります。
改めて、家族と相談し、将来設計を整理していきたいと思います。
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