第二新卒の転職理由・退職理由|本音も交えた上手い答え方&NG例文

第二新卒が転職理由や退職理由を嘘ではなく本音を交えて上手く答える方法を例文で解説。
企業の確認ポイントを元にしたNG回答例や、採用時に期待されること、転職市場価値など、第二新卒の転職成功に向けて組織人事コンサルティングSeguroの粟野友樹さんがアドバイスします。
目次
第二新卒とは
第二新卒に明確な定義はなく、企業によって定義や解釈が異なるため、「社会人何年目までが当てはまるのか」は一概には言えません。
それぞれの企業の中で第二新卒の定義がある場合には、その定義によります。
この記事では、学校(高校、専門学校、短大、高専、大学、大学院)卒業後、おおむね3年以内で、職務経歴がある人を第二新卒として解説いたします。
退職理由とは
退職理由とは、会社を辞める理由のこと。「転職をしたい背景や動機」とも言えるでしょう。
第二新卒の場合、退職理由の本音としては不満などもあるかもしれませんが、転職活動の選考では、現職批判になりすぎないようにしましょう。
転職理由とは
転職理由とは、転職をする理由のこと。退職理由である転職をしたい背景や動機に加えて、「転職によって実現したいこと」を伝えるのが一般的です。
第二新卒が転職理由を答えるときに理想的な配分は、退職理由2割:転職によって実現したいこと8割です。

第二新卒の転職理由・退職理由で企業が確認しているポイント
企業が転職理由や退職理由を面接で聞くのは、応募者が「自社に定着する可能性」と「入社後に活躍する可能性」の2つをみるためです。
1. 自社に定着する可能性
企業は、転職理由や退職理由に含まれる「転職をする背景や動機など」をもとに、応募者が入社後に同じ理由で早期に再転職してしまわないか、定着する可能性がどのくらいあるかを判断しようとしています。
例えば、転職によって実現したいことが、自社の組織風土や労働条件、キャリアパスなどとマッチして、応募者の希望を満たせる場合には、自社に定着して継続的に働く可能性が高いと考える企業は多いでしょう。
2. 入社後に活躍する可能性
企業は転職理由に含まれる「転職によって実現したいこと」をもとに、応募者が入社後に活躍する可能性を判断しようとしています。
例えば、転職によって実現したいことが、仕事内容や期待すること、自社で用意できるキャリアパスなどにマッチしていれば、入社後に意欲的に働けて、なおかつ活躍する可能性も高いと考える企業は多いでしょう。
第二新卒がやってはいけない転職理由・退職理由の答え方(NG例文)
第二新卒だからこそ避けたい転職理由や退職理由の答え方があります。
ここでは、4つのNGパターンを例文と合わせて解説しています。
転職理由・退職理由のNG例1. 前職・現職批判
・古臭い組織 ・時代遅れな社風 ・事業や商品サービスに魅力がない ・経営戦略がない ・賃金が低い など |
<前職批判がよくない理由>
第二新卒の場合は、現職で任されている仕事や役割は基礎的なものも多いでしょう。
経営陣などと比較すると、仕事で見えている範囲は限定的かもしれません。
そういったことを考慮せずに、転職理由や退職理由で第三者や評論家のように「前職・現職のだめだと思うところ」を列挙するのは避けましょう。
採用担当者は、以下のような感想を抱きかねません。
「批判ばかりだけど、この応募者は何か改善のアクションをしたのだろうか」 「経営陣以上に、優れた経営戦略を立てられる自信・根拠はどこにあるのだろうか」 「視野が狭く、入社しても不満ばかり抱えてしまうかもしれない」 |
転職理由・退職理由のNG例2. ネガティブな回答
・仕事で成果を挙げられない ・組織や人に馴染めない ・仕事自体に興味を持てない ・働く上での目標がない |
<ネガティブな回答がよくない理由>
現職に強くミスマッチを感じた結果、仕事に対するモチベーションがどうしても湧かないという状況は珍しくありません。
しかし、「自社に定着するか」「入社後に活躍するか」を推察しようとしている転職理由や退職理由で、ネガティブな感情をそのまま伝えるのは、あまり相応しくないでしょう。
採用担当者は、以下のような感想を抱きかねません。
「本音だとしても、相手に与える印象を考えられておらず、面接の場にそぐわない回答だな」 「ビジネス場面でも、ネガティブなコミュニケーションをとる人かもしれない」 「入社しても、働く意欲や組織に馴染もうとする意識が低いままかもしれない」 |
転職理由・退職理由のNG例3. 自分を過大評価しすぎ
・自分ならもっと責任のある役割や大きなプロジェクトを担当できるはずだ ・自分の企画案のほうが同僚よりも優れているのに採用されない ・自分よりも成果の低い先輩の給与が高くて不満だ |
<過大評価がよくない理由>
第二新卒の場合、経験を積んできた先輩を差し置いて責任ある役割や大きな案件を任されたり、企画案を採用されたりすることは多くないでしょう。
自分に自信があり、意欲的なのは良いことですが、客観的データや根拠もなく「自分にはもっと大きな仕事ができるはずだ」と転職理由や退職理由で伝えるのは避けましょう。
採用担当者は、以下のような感想を抱きかねません。
「自意識過剰で謙虚に仕事に向き合うことが難しい人かもしれない」 「客観的な自己評価が苦手な人なのかもしれない」 「自己中心的な考えで、周囲と円滑な関係性を構築して協働するのが難しいかもしれない」 |
転職理由・退職理由のNG例4. 仕事よりもプライベートを重視しすぎた理由を話してしまう
・必ず定時で帰りたい ・プライベートな時間を確保するためにリモートワークだけで働きたい ・推し活のために有給休暇を頻繁に取りたい |
<プライベートの重視しすぎがよくない理由>
転職活動の本音として、残業時間、休日休暇、リモートワークなどの労働環境・条件を重視するのはもちろん問題ありません。
ただし、入社後の成長を期待して採用されることの多い第二新卒の採用面接でプライベートを重視しすぎた回答をすると、働く意欲や成長意欲が低いことを懸念されかねないので避けましょう。
採用担当者は、以下のような感想を抱きかねません。
「プライベートの充実だけが目的ならば、自社ではなく別の企業でもいいのではないか」 「プライベートの優先度が高すぎて、入社後にしっかり働いてくれるか心配だ」 「どんなときもプライベートを優先して、成長に必要な努力をしてくれないかもしれない」 |
第二新卒ならではの転職理由・退職理由の答え方のポイント
第二新卒を採用する場合、多くの企業は、応募者のポテンシャルや入社後の成長などに期待をしています。
そのため、転職理由や退職理由を伝える際も、「成長意欲」「向上心」「柔軟性」「新しい事柄への挑戦意欲」などを盛り込むように意識すると良いでしょう。
第二新卒が本音も交えて転職理由・退職理由を企業に魅力的に伝える回答例文
社会人として比較的早い段階で転職を決意している第二新卒の場合、現職でミスマッチを感じて不満を抱えている人もいるでしょう。
ここでは、伝え方を工夫することで、ネガティブな本音を、企業にも納得されるような転職理由・退職理由にするポイントと例文を紹介します。
本音「やりたい仕事ではない」
仕事全般を否定するのではなく、仕事をする上で自分の希望とはどのようにずれているかに焦点を絞りましょう。
その上で、自己分析を踏まえて「自分の強みを活かして働くことで、組織に貢献したい」などと前向きな意欲を転職理由・退職理由で伝えると良いでしょう。
私の強みは、ヒアリング力です。 営業をする際も、ヒアリングによって顧客と信頼関係を築いた上で課題を設定し、それに応じた提案をすることを心掛けてきました。 しかし、現職の営業方針が変化し、現在は個社への丁寧なヒアリングに基づく提案よりも、同じ提案をどの顧客にも行い提案数を増やすことが求められています。 コンサルティング営業を主力とする御社であれば、自分の強みを活かした上で顧客にも自社組織にも貢献ができると考え、転職を希望しています。 |
本音「会社や同僚と合わない」
どんな企業に転職したとしても、合わない上司や同僚はいるかもしれません。
転職理由や退職理由では「上司や同僚と性格や相性が合わない」と個人に焦点をあてるのではなく、仕事にフォーカスして伝えましょう。
「仕事を進める上での方針や考え方が合わない」などと言い換えた上で、「方針が合っている組織で力を発揮したい」と伝えた方が、採用担当者も納得しやすいはずです。
現職での仕事の進め方は「とにかくやってみる」ことが求められ、事前の分析や仮説立て、行動の振り返りや効果検証などはあまり重視されない傾向にあります。 行動量や行動力はもちろん大切だと理解していますが、今後も社会人として長く働き成長していくために、分析力や仮説検証力なども磨きたいと考えています。 データ分析にも力を入れている御社であれば、組織方針と個人目標が合致しているので自己成長と組織貢献の両方を目指すことができると考え、転職を希望しています。 |
本音「給与が低い・年収を上げたい」
給与の低さではなく、評価制度に紐づく自身のモチベーションにフォーカスをあてて退職理由や転職理由を答えましょう。
仕事の成果だけではなく在籍期間なども考慮する給与規定の企業の場合、社会人歴が短いと思うように年収が上がっていかないことあるでしょう。
「実力主義や成果主義の企業で働いて切磋琢磨したい」と意欲を伝えるのがおすすめです。
現職は年功序列の社風で、営業によるインセンティブなどもないため、社内での競争意識が比較的薄く、成果に応じた評価がされづらい環境です。 私は、目標に向かって試行錯誤したり、周囲との競争によって成長したりすることにやりがいを感じるため、実力主義の環境で働きたいと考え転職を決意しました。 成果を重視し、切磋琢磨する社風の御社で働き、組織にも貢献したいと考えています。 |
本音「働き方を変えたい」
例えば、転勤や夜勤などを避けたいと考えた場合は転職を考えたきっかけとして応募企業に率直に伝えても比較的、納得感を得やすいでしょう。
ただし、働き方に対して不満があると伝えるのではなく、働き方を変えたあとに実現したい目標と一緒に伝えるとより良いでしょう。
現職では、1~2年毎の比較的短い期間で定期的に転勤があります。 さまざまな環境で働けるという利点もありますが、顧客に対して短期的なサポートしかできない現状を変えたいと思い転職を決めました。 今後はこの地域に腰を据えて働くことで、顧客に対する中長期な支援を行いたいと考えています。 |
第二新卒の転職市場と活動のポイント
現職活動を考えている第二新卒の方に向けて、第二新卒の転職市場と、転職活動のポイントを解説します。
【第二新卒の転職市場】求人が多いため転職しやすく、希望も実現しやすい傾向。
リクルートエージェントの調査「Z世代(26 歳以下)の就業意識や転職動向」によると、「第二新卒歓迎と記載がある求人」の推移は、5年間で約5.5倍増となっています。
第二新卒での転職は求人が多く、希望の転職を実現しやすい傾向にあると言えるでしょう。

※出典:株式会社リクルート「Z 世代(26 歳以下)の就業意識や転職動向」より
【転職活動のポイント】現職への不満(退職理由)だけで転職せず、今後の目標(転職理由)をしっかり考えることが重要
近年、第二新卒歓迎の求人は増加傾向で転職しやすい環境だからこそ、転職活動では現職への不満だけではなく、転職して叶えたいことや目標にも目を向けるようにしましょう。
不満解消だけの転職ではミスマッチが生じる可能性があるため、退職理由だけではなく、転職理由をしっかり考えることが重要です。
特に、はじめての転職では判断軸が定まらず、年収や福祉厚生などのわかりやすい労働条件を重視しがちになるかもしれません。
しかし、条件面だけで企業を選ぶのではなく、社風やキャリアパスとの合致度なども検討しましょう。
場合によっては、現職で経験・スキルアップする方が、数年後には希望のキャリアを実現できるかもしれません。
時間が経てば解消できる不満もあるでしょう。その場合は、転職するかどうかを一度立ち止まって考えてみることも大切です。
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