転職時に配偶者・パートナーの理解を得るためにはどうすればいい?
転職によって勤務時間や勤務地、給与や福利厚生が変われば、生活全般にさまざまな影響が表れます。
配偶者・パートナーがいる方は、生活をともにする上で、転職に理解を得ることが大切です。
相談の仕方や転職活動の進め方について組織人事コンサルタントの粟野友樹さんに聞きました。
転職の意思決定に配偶者・パートナーの影響は大きい?伝えるときのタイミングは?
株式会社リクルートが行った「入社を決めるにあたって誰から影響を受けたか」というアンケートによると、「配偶者・パートナーがいる回答者(595人)」のうち、64%が「入社の意思決定にあたって、“配偶者”の影響が最も高い」と回答しました(※)。
※参考:転職エージェントサービス『リクルートエージェント』の登録者中、転職を決めた1201名へのアンケート 2018年6月実施 https://www.recruit.co.jp/newsroom/recruitcareer/news/pressrelease/2018/180626-01/
これは、“配属される職場の職場長・責任者”の影響と答える人(47.4%)を大きく上回る結果となり、転職を決意するにあたり、配偶者の意見を参考にしている人が多いことがうかがえます。
配偶者・パートナーが転職の意思決定に及ぼす影響は大きいので、転職を考えたい場合は、考え始めたタイミングで伝え、「転職したいのはなぜか」という考えを共有することが大切です。
転職活動を始めた後も進捗を報告したり、内定承諾前に条件面を含め確認したりと、定期的な会話をしておくことが、納得感のある転職につながります。
転職を配偶者・パートナーに反対された場合はどうすればいい?
では、配偶者・パートナーに転職を反対されたら、どのようにコミュニケーションをとっていくといいのでしょう。
配偶者・パートナーが反対する理由を深掘りして整理する
配偶者・パートナーが転職に反対する主な理由の一つに、「変化への抵抗感」が挙げられます。
例えば、勤務地が変わり生活のリズムが崩れることや新たな異動や転勤の可能性、収入減や今ある福利厚生がなくなることへの懸念…。こうした、さまざまな不安が転職への抵抗感につながり、転職のリスクばかり見てしまっている可能性があります。
そこで転職活動を始める前に、相手がどんな不安を感じているのかを一つひとつ深掘りして整理し、それらを解消できるような情報を集めていきましょう。
仕事内容や働き方、福利厚生の中身や残業時間など、求人情報や採用ホームページなどで事前にわかる情報があれば、できるだけ細かく共有するとよいです。
想定されるリスクと対策を具体的に説明する
転職活動を行う際、「そもそもなぜ転職を考えたのか」、「今のタイミングで転職することでどんなキャリアにつながるのか」を具体的に説明し、転職のメリットを共有したら、今度は転職のリスクにどう対応していくのか、具体的な考えやプランを伝えることが重要です。
例えば、大手企業からベンチャーやスタートアップに挑戦する場合、収入減や福利厚生がなくなるなど条件が悪くなることも少なくありません。
それらを理解した上で、「転職することで一時的に年収が○○に下がるけれど、IPO(上場)を目指す成長フェーズでこの事業に関われるチャンスはそうない。〇年目には、年収を○○に上げられるよう、企業側とも選考段階で交渉したい」など、先を見据えた考えを具体的に説明できると、配偶者・パートナーの不安も少し和らぐかもしれません。
ほかにも、勤務地や勤務時間帯が変わることで、生活リズムが変わる場合は、事前に日々のシミュレーションをしておくことをおすすめします。
子どもがいる家庭であれば、保育施設や学校、習い事などの送り迎えなどをどう分担するかという問題が出てくるかもしれません。
その場合、「今まで子どもの保育園の送り迎えを半分ずつでやってきたけれど、転職することで毎朝の迎えが難しくなりそう…。今後はこんな風に分担を変えられるだろうか」など、相手の負担を考えた上で、転職後にどう動こうとしているのかもあらかじめ説明しておくといいでしょう。
配偶者・パートナーの意見を受けて条件や転職のタイミングを見直す
転職活動中に、配偶者・パートナーからの反対意見を受けてみると、「確かにそうかもしれない」と思うポイントもあるかもしれません。
その際は、素直に意見を受け止め、転職理由を見直したり、転職タイミングを再検討したりするのも一つの方法です。
例えば、転職理由が、「この数ヶ月間、自分の業績が伸び悩み、上司からの評価が下がっている」など一時的なものであれば、そもそも本当に転職すべきかを考え直してもいいでしょう。
なぜなら、「転職したい」と焦るあまり、転職することが目的になってしまうと、比較検討をせずに内定が出たところをすぐに選んでしまう等のリスクもあるからです。
また、配偶者・パートナーによっては、「携わっている仕事が繁忙期真っただ中」「介護や子どもの受験や進学で、生活リズムが変わると対応できない」など、さまざまな事情により、直近の転職は困る、というタイミングの問題もあります。
その場合は半年後、1年後に改めて転職活動を始めるなど、配偶者・パートナーの状況を含めたベストな時期を検討する必要があるかもしれません。
転職で配偶者・パートナーの理解を得るためのコツ
配偶者・パートナーがしっかり納得した上で転職することは、これからの長いキャリアを考えても重要なポイントです。そのためには、
- 情報や進捗状況を共有しながら転職活動をする
- 転職後の生活を細かくシミュレーションする
の2点を心がけるといいでしょう。
①情報や進捗状況を共有しながら転職活動する
転職活動開始後にどんな企業に応募したのか、どれくらい選考が進んでいるのか、などの進捗状況をこまめに共有するだけで配偶者・パートナーの不安は軽減します。
もしも求人情報や採用ホームページには載っていない情報などあれば、選考段階で質問してクリアしておくと理想的です。
例えば、残業時間や福利厚生、教育制度や子育てや介護をしている社員のワークスタイルなど、転職後の働き方をイメージする上で必要な情報は整理し、質問しましょう。
その際、企業側には「家族が〇〇について懸念しているので、教えていただけますか」と素直に聞いてみるのもよいでしょう。
もしも面接の場では聞きづらい内容だったり、面接後に気になる疑問点などが出てきたりした場合は、後日、担当者に質問メールを送るなどしてみましょう。
最近は、企業によって配偶者・パートナーと一緒に会社のイベントや面接に参加できるケースもあります。
とくにベンチャーやスタートアップなどの小規模の企業であれば柔軟に対応してくれる可能性の高いので、オフィス見学や一緒に面談の場を設けてもらうなど、提案してみるとよいでしょう。
転職活動の前後に情報や進捗状況を共有していたものの、配偶者・パートナーへの情報提供が十分ではない、または検討するための時間を与えていない、等の理由により、配偶者・パートナーから最後の場面で転職を反対されるケースも考えられます。
そうならないためにも、転職活動を行う際は、転職希望先の企業情報や条件、転職することのメリット・デメリットの説明を事前に行い、「それでも自分は仕事内容で○○社が良いと考えている」など、自分の意思をはっきりと伝えた上で、配偶者・パートナー側にも検討できる情報や時間的余裕を提供することを心がけましょう。
②転職後の生活を細かくシミュレーションする
転職によりライフスタイルがどう変わるかは、転職する前の段階でできるだけ詳しくシミュレーションしておくことが大切です。
なぜなら、転職後の生活を事前に想定しておくことで、急な変化にも落ち着いて対応できる可能性が高まるからです。
その際、給与などの収入面に限らず、福利厚生の有無も細かく見るのがポイント。
休暇制度や家賃補助、テレワークの可否などを検討し、「収入は上がるけれど、今まであった家賃補助分を引くとマイナスになる」など、収支全体で考えることが大事です。
まとめ
転職活動において、どんなに情報を集めてシミュレーションしても、実際に転職してみなければ分からないこともたくさんあります。
配偶者・パートナーの全ての不安や懸念がすべてクリアになることはないので、できるだけ説明等はしながら、最後は「自分は転職で○○を実現したい。だから、仮に○○という状況になったとしても、自分が何とかするから信じて欲しい」と覚悟や意志、責任感を持って言えるかどうかがカギとなります。
もしも配偶者・パートナーに反対されて転職の決意が揺らぐ際は、「仮に失敗しても、こうやって対応していけばよいのでは?」など、中長期的な視点で考えられているか、その先のメリットを考えられているかを振り返ってみましょう。
そして、配偶者・パートナーの理解を得た後も、情報の進捗共有はこまめに行い、会話を重ねていくことを心がけてください。
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