50代・ブランク5年半の求職者が、地方の大手企業にて「スーパー人材」と呼ばれるほどの大活躍。
“GOOD AGENT AWARD 2020”金賞
マッケン・キャリアコンサルタンツ株式会社 橘幸恵氏 溝口健二氏
「ブランク5年半」「50代」の候補者を、なぜ首都圏外の大企業に紹介できたのか。そこには、2人のコンサルタントの「何とかしてあげたい!」という気持ちと、戦略的で粘り強い交渉があった。Aさんはいま、スーパー人材として想定以上の活躍を見せている。
「家族想いのAさんを何とかしてあげたい!」
橘氏が初めて会ったとき、50代前半のAさんは、前職を辞めてから5年半ほど経っていた。「Aさんが前職を退職したのは、ひとえにご家族のためでした。奥様だけでは、親御さんの介護とお子さんたちの面倒を見きれなかったのです。家族崩壊は絶対に嫌だ、それなら貧乏を選ぶ、というのがAさんの決断でした」(橘氏)。Aさんが5年半、家族第一で派遣社員やアルバイトをしながら暮らした結果、介護は以前よりも落ち着き、お子さんたちは義務教育を終える時期が近づいていた。「ふたたび正社員として働く時期が来たのではないか」と考えたAさんは、いくつかの求人サイトに登録したが、届くオファーはタクシードライバーや清掃員などの案件だけ。悩んでいた頃に出会ったのが、橘氏だった。
初回面談のとき、橘氏は必ず、候補者のプライベートのことまで時間をかけてヒアリングする。人柄をしっかり理解するためだ。「Aさんは家族想いで真面目な方でした。しかも、5年前に離職するまでは、大企業で働く専門性の高いエンジニアで、知財のプロフェッショナルでもありました。50代で5年半のブランクがあり、なおかつ首都圏外に住み、地元での就職を希望されていましたが、それでも可能性はある、と感じました。実は、私自身も一度退職してから仕事復帰までにブランクがあり、Aさんの復帰を応援したい気持ちがありました。『Aさんを何とかしてあげたい!』と、私は企業担当の溝口に相談したのです」(橘氏)。
事業部長がAさんの職歴とポテンシャルを理解してくれた
最初は、橘氏が転職サイト上でAさんに声をかけたのだった。Aさんのスキルと希望勤務地が、B社の知財スペシャリスト募集の条件に適合していたからだ。しかし、B社案件は書類が通過しなかった。5年半のブランクと年齢がネックになったからだ。橘氏は諦めなかった。企業担当の溝口氏と橘氏が、次に求人リストから見出したのが、Aさんの地元の大企業・C社の専門エンジニア募集だった。Aさんの以前の仕事に近い職種で、スキルのズレは多少あったが入社後に十分キャッチアップできそうだった。しかし、人事部には、やはり書類を通せないと言われてしまう。2人は頭を抱えた。
しかし、溝口氏は粘った。「私は大手情報機器メーカーの総務・人事関係の管理職として、多くのベテラン社員の転職・離職を見てきましたから、50代の転職はどの方でも苦労することを知っていました。だからこそ、粘り強さが大切なのです」。溝口氏は、専門エンジニア募集の配属先部門の事業部長に直接相談することにした。なぜなら、事業部長は以前、Aさんが新卒入社で入った会社で働いており、Aさんの職歴を深く理解してもらえる可能性があったからだ。事業部長に相談したところ、「Aさんが新卒で入った部署は当時のスター部署です。あそこに配属されたのなら、ポテンシャルや能力は間違いなく高いでしょう」とAさんに好印象を持った。ここから状況は一気に好転し、数度の面接を経てスムーズに内定が出た。
「エンジニアスキル×知財スキル」で希望年収までアップ
しかし、溝口氏と橘氏は、内定後の提示年収金額を見て愕然とした。Aさんの希望年収とかけ離れていたからだ。Aさんは「この年収では家族を養えないので、断らざるを得ません」と言った。諦めきれない溝口氏は、ふたたび事業部長に相談した。事業部長は、部門に新風を吹き込む存在としてAさんの入社を希望しており、人事部の方々と直接かけあってくださった。交渉材料は、Aさんの知財スキルである。エンジニア部門に知財ノウハウを持った人材がいると、特許出願などの際に格段にスムーズになるのだ。想定通り、「エンジニアスキル×知財スキル」で希望年収までアップし、AさんはC社への入社を決めた。
入社後、Aさんは、なんと海外工場の立ち上げを任された。幅広い経験とスキル、高いモチベーション、信頼できる人柄が高く評価されたのだ。また、知財部門とのハブとしても欠かせない存在になっている。「スーパー人材」として大活躍しているのだ。
溝口氏と橘氏は、今後もシニア世代の活躍フィールドを広げるコンサルティングに力を入れていきたい、と語る。「日本には、Aさんのような優秀な50代・60代の多くが、転職できずに悩んでいます。そうした方々の可能性を見出して転職のチャンスを増やすのが、私たちの存在意義だと考えています」。
転職者・企業へのメッセージ
【転職者の方へ】
私たちは、シニア世代の方も応募できる求人案件を持っています。遠慮せずにお声がけください。まずは面談でしっかりとお話ししましょう。
【企業様へ】
難易度の高い求人を依頼されるお客様が増えています。私たちに紹介実績があるからです。悩んでいる企業の方、ぜひお声がけください。
【プロフィール】
マッケン・キャリアコンサルタンツ株式会社 橘幸恵氏 溝口健二氏
溝口健二氏(右)/執行役員。大手情報機器メーカーで生産技術系エンジニアを10年ほど経験した後、労働組合の執行委員長などを歴任。最後に総務・人事関係の管理職に就く。2016年より現職。特にシニア世代の転職支援に力を入れている。
橘幸恵氏(左)/執行役員。大手食品メーカーで総合職・営業職を経験した後、夫の転勤により退社し、しばらく子育てに専念。2017年より現職。北関東および長野県の製造業を中心に担当。長続きするマッチングを常に目指している。
金賞受賞者
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