経歴が長すぎて要点を絞れていない職務経歴書を改善【職歴書添削】

社歴が長く、多岐にわたる部署で異なる経験をしてきたIさん。
上手く要点を絞れないという悩みに、組織人事コンサルタントの粟野友樹さんが、全6項目の評価ポイントに沿って、職務経歴書を評価・講評し、改善まで導きます。
目次
【改善前】社歴が長く要点の絞り方がわからない (添削希望者:Iさん)
<Iさんの職務経歴書についての悩み>
- これまでの経歴を振り返るだけで文字量が多い(フォント数は10.5の基本にしている)
- 自分なりに簡略化してもボリュームが多く、A4サイズ2枚以内だと自己PRなどを入れる隙間がない
<Iさんのこれまでのキャリア>
「営業職からスタッフ職まで幅広く経験」
- 1社目(新卒):社歴14年
- 新規開拓の営業(1〜3年目)
- 既存継続の営業(4~9 年目)
- 法務部で契約担当(10~12年目)
- セキュリティ部で個人情報保護などリスク担当(13~14年目)
【転職意向】
1社で長く、かつ様々な部門を経験してきたので、そろそろ別の会社も経験してみたい。色々な職種を経験してきてどれもそれなりにできそうだは思っているが、ひとまずは直近の経歴を活かせるような職種を希望している。
<添削前:Iさんが作成した職務経歴書>


【評価&講評】多岐にわたる経験と長い経歴を持つ場合には、思い切って「書かない」部分も作ることが大切
<アドバイザーからの全体講評>
面白い経歴をお持ちだなと思います。こういったキャリアの人は多くないので、興味を惹かれる採用担当者も多いでしょう。
ただし、Iさんご自身も悩んでいるように、長い社歴に加えて、異なる経験を多数してきているため、きちんと理解をするためには読み込みと推察が必要な状態になってしまっています。
採用担当者の業務状況などによっては、書類の読み込みにあまり時間をかけられないケースもあるでしょう。どんな人が読んでも、あなたの経歴の核をパッとつかめるようにするには、もっと要点を絞る必要があります。
経験年数が長い場合には、直近1〜2年の経験や応募企業との関連がありそうな経験に絞り、そのほかの経験についてはシンプルすぎるくらいに簡略化しても問題はありません。
また、自分がアピールしたい経験については、箇条書きだけではなく具体的なエピソードを交えることで、より印象に残るように仕立てましょう。
<評価基準と結果>
No | チェック項目 | ポイント | 評価 |
---|---|---|---|
基本的なビジネススキルを確認 | |||
1 | 基本項目 | 必要な項目が記載されているか。 | △ |
2 | フォーマット | 見やすい体裁になっているか。誤字脱字はないか | △ |
自社とのマッチ度・定着性を確認 | |||
3 | 業務内容・実績・経験スキル・自己PR・資格・性格 | 具体的な情報が、記載されているか。情報に信憑性や比較性があるか。 | △ |
4 | 第三者に伝わるように端的にまとめられているか。 | △ | |
+αの評価 | |||
5 | 一貫性・テーマ性 | 職務経歴書を読んだだけで、「この人はこういう仕事をする人だな」といった仕事のスタイルや価値観が伝わるか。 | △ |
6 | 読み手への配慮 | 企業が知りたいことを先回りして記載しているか。 例:その企業向けの志望動機、貢献できること、懸念されるであろう点の払拭など。 |
△ |
基本項目とフォーマットについての評価
基本的なビジネススキルを確認する項目(No1、No2)に関しては、これまでやってきた職務内容は網羅されていますが、自己PRが記載されていないので、その中でどこが強みかを企業側の読解力や判断に委ねられてしまっています。
職務経験全てを記載しようとしてメリハリがなく、読みづらくなってしまっているのも問題です。読み込みに時間をかけられないケースでは「サラッと読んでみたけど、なんだかいろいろ経験してきていそうな人だね」という第一印象に留まってしまう可能性も否めません。
業務内容・実績・経験スキル・自己PR・資格・性格などについての評価
企業が、自社とのマッチ度・定着性を確認するために確認している項目(No3、No4)に関しては、担当業務内容を網羅的に記載しているのはOKですが、この中で主にどこに注力をしてきたのかわかりづらくなっています。
強みや得意分野をアピールするためにも、担当したプロジェクトや表彰経験の詳細情報などを入れると良いでしょう。
例えば「全社横断リスクマネジメント推進」では、どういった組織構成でどの立ち位置でどんなことをしたのか、プロジェクト全体の人数規模感等もわかると良いです。
現状のままでは、読み手によっては、「指示された作業だけをやっている人なのかもしれない」と誤解しかねず、少しもったいないと感じました。
一貫性・テーマ性、読み手への配慮についての評価
+αの評価項目関する、一貫性・テーマ性(No5)については、せっかくの多様な経験とスキルがアピールしきれておらず、残念ながらキャリアの一貫性も、仕事で心がけているテーマなども読み取れない状態になってしまっています。
仕事の進め方や人物タイプがわかるように、自己PRを記載したり、実績部分で何を評価されたか、創意工夫は何をしたかなどを追記したりしましょう。
読み手への配慮(No.6)については、本来、さまざまな部署で経験を積んできたことは悪いことではなく、武器にもなることなのですが、異動の背景や仕事への熱意などが書かれていないと、「たらいまわしになっている」と勘ぐられてしまうリスクもあります。
キャリア形成について意思希望などがある場合には、記載しておくと不要な誤解を避けることが可能です。
【改善後】アドバイスをもとに作り直した職務経歴書


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<改善ポイント>
経験が長い場合には、とにかくメリハリをつけることが大切です。経歴を網羅的に羅列するだけでは「色々やっている人」「なんでもできそうな人」という印象に留まってしまいます。
自分が得意なことや、転職後に関わりたいことにフォーカスをして、具体的なエピソードも交えて書くことで、「〇〇が得意な人。この人に〇〇を任せたら間違いないだろう」という読後感になるようにしましょう。
具体的には、職務要約は200~300文字程度に抑えて、応募先として想定される法務・リスクマネジメントの内容をメインにし、営業の部分は概要だけにしましょう。
職務経歴書自体も、編年体式ではなく逆編年体式にして、直近の経歴の方に意識が向くようにすると有効です。
また、経歴が長い場合には、どうしても職務経歴が長くなりがちなので、スペース配分に悩む方も少なくありません。目安として、略歴2割、職務経歴5割、資格・自己PR3割を目指して作成すると良いでしょう。
ベーシックな職務経歴書はA4サイズ1~2枚で、基本のフォントサイズは10.5と言われていますが、書くことが多い場合には、フォントを小さくし、余白を狭めても問題ありません。
(まとめ)経験が長いときの書き方ポイント
- 直近の経験やアピールしたい経験を手厚く書いて、そのほかは概要だけにする
- 必要に応じて逆編年体式のフォーマットを使う
- 読みやすさが損なわれなければ、フォントは10.5よりも多少小さくてもOK、余白を狭めてもOK
- 略歴2割、職務経歴5割、資格・自己PR3割を目安に作成する
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