転職サイトのレコメンドに頼らず、自分に合った求人を探す方法を教えてください【転職相談室】

転職サイトや転職エージェントから、興味を感じられない求人のレコメンドばかり届くことに疑問を抱いていませんか？

「自力で探すほうがいいのでは…」と迷っている若手社会人に、組織人事コンサルティングSeguros代表コンサルタント・粟野友樹氏がアドバイスします。

アドバイザー 粟野友樹

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。

プロフィール詳細

転職サイトなどのレコメンドでは、応募したいと思う求人が見当たりません。自分に合った求人を自分で探したいのですが、どうすればいいでしょうか？（Kさん/24歳/営業職）

相談者

【相談内容】
転職活動中です。転職サイトや転職エージェントに登録しているものの、役立っているとは思えません。なぜなら、レコメンドが数多く並ぶばかりで、応募したいと思う求人が見当たらないからです。転職サイトや転職エージェントを利用するメリットは理解しているつもりですが、正直「自分で探したい」という気持ちが強まっています。いい方法があれば知りたいです。（Kさん/24歳/営業職）

レコメンド機能を正しく使えているかチェックする

▶相談者
とにかくたくさんの求人が送られてきて困っているんですが、レコメンド機能はどのように求人を選んでいるんですか？

▶アドバイザー
一般的な転職サイトでは、ご自身が設定した希望条件に合う求人のほか、利用者の検索の傾向をAIで分析して条件に合う求人を優先して表示しています。

また、過去に応募した企業があれば、その条件に似た求人も表示されていると思います。

▶相談者
だから、自分が入力した希望条件とは異なるような求人も混在しているんですね。転職エージェントの場合も同様ですか？

▶アドバイザー
転職エージェントの場合は、キャリアアドバイザーが面談で聞き取った内容を入力し、その条件に合った求人が送信されてくるので、ほぼ同じと言っていいでしょう。

自動送信なので、確かに多くの求人情報が届くかもしれません。

▶相談者
仕事が忙しいので、すべてに目を通す時間がとれません。

▶アドバイザー
Kさんの状況は理解できます。確かにたくさんの求人の中から検索するのは時間がかかりますが、このようなプッシュメールがないと、自分に合っている求人を見逃してしまう確率が高まるのではないでしょうか。

▶相談者
それは確かにそうですが…。

▶アドバイザー
それでは、レコメンド機能の精度を上げる工夫をしてみませんか？

▶相談者
どうすればいいのか、是非教えてください。

希望条件を見直す

▶アドバイザー
まずは、希望条件を見直してみましょう。例えば、営業職を希望する場合、法人向け営業なのか、個人向け営業なのか、代理店営業なのか、提案型の営業なのかなど、条件をより具体的に設定すると精度が上がります。

同じ職種でも、もっと深掘りして設定するのです。

▶相談者
なるほど。それならすぐにできそうです。

▶アドバイザー
業界も同様です。例えば、エンタメ業界で探す場合、それだけでは範囲が広すぎるので、ゲーム、テレビ、音楽、映画など、事業を具体的に設定するといいでしょう。

▶相談者
わかりました。

▶アドバイザー
転職サイトによっては、いくつかのパターンを登録できるサイトもあります。

▶相談者
どういうことですか？

▶アドバイザー
例えば勤務地を、パターンAでは東京、パターンBでは東京と大阪など、個別に設定できる機能です。年収なら、300万～600万円、600万円以上など2パターンを設定しておくと、選別しやすくなります。

▶相談者
そういう機能もあるんですね。

入力情報が正確かどうかを見直す

▶アドバイザー
登録時に、希望年収や勤務地、アピールポイント、取得資格、職務経歴などについて、チェックボックス形式やテキスト形式で回答したと思います。その質問に、正確に回答しているかどうかも見直しが必要です。

レコメンド機能は、その情報にも基づいています。もしも、過去に3社在籍したのに1社の情報しか記載していない、持っている資格をすべて記載していないなど、登録すべき情報が入力されていないと、レコメンドの精度が落ちても仕方ありません。自分の情報は、すべて正確に入力しましょう。

▶相談者
わかりました。念のため見直してみます。

希望条件が変化していないか、定期的に見直す

▶アドバイザー
それから、転職活動中に希望条件が変化したのに、そのままにしている人が少なくありません。これでは、自分の希望に合った求人が届くことは期待できません。面倒かもしれませんが、希望条件を定期的にアップデートすることはかなり重要です。

▶相談者
言われてみると、数カ月前に登録してから見直していませんでした。すぐにアップデートします。

設定を見直す

▶アドバイザー
併せて、レコメンド機能の設定も見直してみてください。機能によって、「新着求人」や運営側が特集する「注目セレクト」「営業職特集」など、さまざまなメールが届きます。

設定がデフォルトのままだと、あらゆるメールが届くことになるので、設定を見直して不要な情報は配信をストップするなどしましょう。

▶相談者
そこまでは気づきませんでした。早速、確認しておきます。ところで、転職エージェントで同様の状況に陥った場合はどうすればいいですか？

▶アドバイザー
転職エージェントの場合は、キャリアアドバイザーに連絡して、変更した希望条件を伝えたり、「〇〇の求人メールはストップしてほしい」と要望を伝えたりするといいでしょう。

転職軸がぶれていないか見直す

▶アドバイザー
これは基本的なことですが、転職軸がぶれていないかも見直してください。というのも、転職活動を続けているうちに、本来の転職軸を忘れて企業の知名度に心が動いてしまう人が少なくないからです。

転職軸がぶれてしまうと、中小ベンチャーなどの“自分に本当に合った求人”を見逃してしまうかもしれません。

▶相談者
わかりました。

求人を自分で探すには

▶相談者
レコメンド機能の精度を上げる方法を教えていただいたので、早速試してみます。それでも自分で探したいと思ったら、どんな方法で探せばいいですか？

▶アドバイザー
大きく分けて、

などの方法が考えられます。

▶相談者
SNSも活用できるんですね。情報源がいろいろあるのは助かります。

▶アドバイザー
ただし、情報によっては、すでに募集が終わっているのに掲載されたままになっていることもあります。また、自力で探すとなると、転職エージェントなどが持っている非公開求人の情報にリーチできないため、選択肢が狭まってしまいがちです。

ある程度限られた情報の中で判断することになりますし、応募した後の返事が遅い場合などにも自分で対処しなければならないというデメリットがあることも知っておきましょう。

▶相談者
うーん、自力で探すのもかなり大変そうですね。

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※ 厚生労働省「人材サービス総合サイト」における有料職業紹介事業者のうち無期雇用および4ヶ月以上の有期雇用の合計人数（2023年度実績を自社集計）2024年5月時点

レコメンド機能以外の転職サービスを活用する方法も

▶アドバイザー
それなら、Sさんが不満に感じているレコメンド機能は利用しないで、それ以外の転職サービスを利用しながら自分でも探すのはどうでしょう？

▶相談者
併用するということですね。どんなサービスを使ったらいいでしょうか？

▶アドバイザー
例えば、「気になるリスト」（※）は活用していますか？送られてきた求人の中で興味のある求人や、自分で検索して興味を持った求人をリストに入れて、複数を比較することができる機能です。

※リクナビNEXTの機能。名称は異なるものの、多くの求人サイトで類似の機能が見られる。

▶相談者
リストがどんどん増えてしまって、使いこなせていません。

▶アドバイザー
求人を自分で選り分けていくと、どうしても知名度の高い企業や大手企業ばかりリストに入れてしまいがちですが、Kさんはいかがですか？

▶相談者
確かに、知っている企業があるとブックマーク感覚で次々とリストに入れていました。

▶アドバイザー
知名度が高くて関心を持つことと、やりたい仕事であることは別の話です。気軽に気になるリストを増やしていくと、メールの通知も増えて煩わしくなってしまいます。

この機会に一度リストを見直し、不要なリストは削除するといいでしょう。この機能が不要であれば、メール配信設定をオフにしておきましょう。

▶相談者
わかりました。早速、気になるリストを精査してみます。

▶アドバイザー
それと、転職サイトのスカウトメールは、利用価値が高いと思います。これは、応募要件を満たしている求職者に企業の採用担当者が直接送るメールなので、自分の経験やスキルに合致した求人に出会える確率が高いと言えます。

▶相談者
自動配信ではないスカウトメールなら、届く数が限定されるので良さそうですね。

▶アドバイザー
転職サイトには、例えばリクナビNEXTなら、自分の強みや適性を診断してくれる「グッドポイント診断」などのツールもありますし、転職エージェントでは職務経歴書の作成アドバイスなどをもらえます。求人情報以外にも便利なサービスがあるので、活用するといいでしょう。

▶相談者
はい、そうします。

▶アドバイザー
転職サイトや転職エージェントを利用しているのは採用意欲の高い企業と考えられますので、うまく活用して自分にマッチする求人を見つけてほしいと思います。

▶相談者
はい。まずは自分に合った求人に絞り込めるよう、レコメンド機能の精度を上げることから始めます。勉強になるアドバイスをありがとうございました。