【ヒト】で紡ぐ事業承継 ~従業員を守れる2代目社長を求めて~ “GOOD AGENT AWARD 2019” 金賞
株式会社プロフェッショナルバンク 福井 諒氏
福井諒氏は人材エージェントになってもうすぐ2年。すでに30名ほどのエグゼクティブ、プロ経営者といった人材と企業のマッチングに貢献。企業や求職者と信頼を構築するための徹底した努力がその活躍を支えている。
さらなる成長のための事業承継者を探す
日本で大きな課題となりつつある、オーナー企業の事業承継問題。中小企業庁によると、今後10年の間に70歳を超える中小企業の経営者は245万人に達し、その半数は後継者が決まっていないと言われている。そこに必要とされているのが、「プロ経営者」となれる人材だ。
オーナー社長が20年かけて大きく成長させた南関東の不動産会社A社もまさにそういったフェーズにあった。社員数は約200名。会社の業績はそのエリアでもトップクラスであり、関連事業も幅広く手掛ける。社員のモチベーションも高く、生産性は同業他社と比べても抜きん出る優良企業だ。福井氏が携わった2018年夏当時、A社はワンマン経営からの脱却を図り、さらなる事業拡大を目指していた。オーナー社長の年齢は50代前半とまだまだ若いが、これからのさらなる成長を推進するためには、次世代の新しいトップが必要と考えていた。しかし、社内にはそういった人材がまだ育っていない。
そこでA社のステークホルダーを通じて、CEO、CFOを含む経営人材の打診が福井氏のもとにきた。「社長が次のトップとなる人材に最も望んでいたのは、200人の社員を守りぬける素養をもった人物であること。人材確保が難しいエリアなだけに、正当な評価で社員のモチベーションを守り、社員がこの会社でがんばりたいと思える環境づくりを社長は重視していました」
社長経験のないエグゼクティブをポテンシャルで推薦
福井氏が「事業会社経験×コンサルティング経験×大中小の企業規模の経験」のスキルセットでかつ、複数の会社を束ねることができる人材を探す中、出会ったのがBさん。コンサルティング企業を経て、某大手IT企業で約10年間役員を務めた経験を持つ。そして、「いつかは企業のトップとして経営の舵をきってみたい」とその機会を探していた。
福井氏はBさんとの対話を進める中で、ビジネススキルだけでなく、A社の社長が求める“人柄”の部分でもBさんが申し分ない人物であることを確信する。「Bさんは初対面の人には少し堅く、一見こわもてに見えます。ですが家族の話をするとき、とても柔らかい表情でお話しをされるのです。中小企業というのは、いってみればファミリー体制。社長となる方が従業員を自分の子供のように思えるかどうかを見極めることも大切です。どれだけ人に愛情をもてるか、という部分はご家族のお話しで推し量るようにしています」
Bさんはこれまで社長経験はない。しかし豊富なビジネス経験や子会社の役員経験、新しい働き方にも精通していることから、A社もポテンシャルに期待を寄せ、BさんをCEOとして迎え入れることになった。
徹底的な情報収集と求人ありきで話をしない姿勢
福井氏がこの案件に出会ったのは人材エージェントに転職してまだ1年もたっていないころ。「最初はエグゼクティブの方と面接をすることに臆病で、いつも上司に相談に乗ってもらっていました。でも求職者はこちらがプロだと思って相談してくださっています。入って数か月の新米を理由に、『ここまでの情報提供しかできませんでした』とは絶対にしたくない。ですから勉強や情報収集は真剣にやってきました」 A社の案件も渡された資料は徹底的に読み込み、社長に会う際は資料から読み取れない条件をしっかりと聞いた。一度紹介した人物が合わなかった場合にはフィードバックの内容を考え抜き、新しい提案に反映させた。A社の案件には他社も動いていたが、最終的にはCEO、CFOなど5名の経営人材すべて福井氏が紹介することとなった。
実はBさんは当初は社長経験がないことに対する不安を抱えていた。そのときにも福井氏は徹底的に話し合った。「今は中小企業の人材確保が難しいエリアなだけに、事業承継が社会的課題。これからも後継者不足は続いていくでしょう。世の中としてプロ経営者が必要であり、さらに次のプロ経営者を育成していく役割も求められていることをBさんにお話しさせていただきました」その話を聞き、Bさんは社長経験がなくても、ポテンシャルがあれば経営を任せてくれる企業があり、経営者としての手腕を磨けるということに気づき、A社に行く決め手となった。
「求職者とお話しをするときにはその人にとって一番よい道は何かをいつも考え、求人ありきの話をしないことを心掛けています。Bさんにも『嘘偽りのない情報と、求人をベースとしないことが福井さんのアドバイスを素直に受け止められた理由だ』とおっしゃっていただけたのがうれしかったです」
転職者・企業へのメッセージ
【転職者の方へ】
中小企業におけるプロ経営者がこれからの日本に必要であることを感じています。求人ありきではなく、もっとも望ましいキャリアステップを一緒に考えていきたいと思います。
【企業様へ】
過去ではなく企業の現在と未来、そして候補者とのシナジーを生むことができるかどうかを判断できることが大切です。事業承継、プロ経営者マッチングのプロとして企業の発展をお手伝いします。
【プロフィール】
株式会社プロフェッショナルバンク 福井 諒氏
大学卒業後、某飲料メーカー入社。営業職に配属され、400人の新入社員の中から新人賞に選ばれる。2017年12月、㈱プロフェッショナルバンクに転職。経営人材紹介事業部に配属。中小企業の事業承継者不足の課題に取り組み、「プロ経営者」の転職マーケットとのマッチングに力を注いでいる。
金賞受賞者
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