転職時に感じるストレスと上手に付き合う方法
転職では、活動準備や選考対策に時間や労力がかかるだけでなく、なかなか内定先が決まらないことによる不安など、肉体的にも精神的にも疲れてしまう方は多いのではないでしょうか。また転職後も、新しい環境になじめない、人間関係にも気を遣うなど、知らぬ間にストレスを抱えてしまうシーンは多々あります。
今回は、転職中・転職後に感じるストレスと上手に付き合う方法について紹介していきます。
プロフィール
丸山久美子(まるやま・くみこ)
認知行動療法士、まるっと空気を掴むMC、展示会専門接客トレーナー
人前で話せるようになりたい!という夢のため、自らの極度の緊張しいな性格を分析しながらMCとして活動し3000回以上のイベントへ出演。認知行動療法を体得。接客や営業などに関わるビジネスパーソンの育成トレーナーとしても活動している。著書に『上手にあがりを隠して人前で堂々と話す法』(同文舘出版)
・Twitter @maruyamakumiko
「ストレス」とは?
ショックな出来事や予期せぬ出来事が起こる、初めて行く場所や慣れない土地へ行くなど、何からの変化があると、私たちはストレスを感じます。
例えば、予期せぬ出来事が起きた時、胸がドキドキしてきたり、体が震えたりします。
これらは、予期せぬ出来事=危険から身を守るための防衛反応です。脳にしっかり血液を届けて危険回避の方法を考えられるようにしているのがドキドキの正体だったり、緊張して血管が収縮することで下がってしまう体温を維持するために体が震えていたりします。このように、私たちの体はストレスに負けるものか!と必死に頑張ってくれているのです。
では、ストレスを解消する方法はあるのでしょうか?
私は「ない」と思っています。
「えーっ! じゃあ読む意味ないじゃん!」と思いました?でも、ちょっと待って!
理由と解決方法を用意したので、もう少し読んでみてください。
先ほど伝えたように、ストレスというのは身を守るための防衛反応です。もし、不安や緊張から体を守ってくれている状態が無くなってしまったら…どうなるのか想像もつきません。
私たちは、日々生きていれば何かしらのストレスを抱えています。消そう、なくそうと努力しても、誰かが何かをしてきたり、予期せぬ出来事が起こったり、新しいストレスの原因はすぐにやってきます。その度に防衛して復活して、ストレス状態を繰り返しながら生きているのです。
きっと皆さんはストレスを感じる度に「解消したいのにできない!」と悩んできたと思います。それは正しいのです。生きていれば誰でもストレスはある。あなたにも、私にも。
問題は、そのストレスをどう捉えて、どう付き合っていくかなのです。解消しよう!とすると苦しくなります。だってできないことだから。それよりも、ストレスと上手く付き合う方法を身につけて、ストレスに強い自分を目指すのはいかがでしょうか?
ストレスに強い自分を作るためには、日常のケアと物事の捉え方がポイントになります。
ストレスのメカニズムとオススメのケア方法
まずは、ストレスのメカニズムから把握していきましょう。
ストレスのメカニズムを知る
ストレスとは、刺激による防衛反応のことです。
例えば、転職で面接に落ちて落ち込んだ場合はこのようになります。
防衛反応:面接に落ちた瞬間から味わうマイナスな感情から心身を守る反応
ストレスが体に与える影響
ストレスは、どのように私たちの体に影響を及ぼすのでしょうか。
想像してみてください。例えば、何かショックな出来事が起こったとしましょう。その瞬間は動揺し、酷く落ち込みます。しかし、しばらく経つと「いつまでもこうしてちゃダメだ」と思えるようになります。そして、落ち込んでいた時間をとり戻すかのように頑張って動きます。残業したり、手伝いをしたり、精力的に頑張ります。しかし、こんなことはありませんか?頑張って動いていたのに、ある日突然やる気が無くなる。休みたくなる。何も手につかなくなる。悲しくなる。気分が落ち込む…。
このようにストレスは、発生した瞬間だけでなく、長期間に渡って私たちに影響を与えています。その期間は、人や内容によって大きく異なります。早い人は数分、数時間で進んでいきますし、何年もかけて影響し続ける場合もあります。
ものすごくわかりやすく表すと「ショック→復活→頑張る→疲れる」の順で構成されています。
実は、この頑張っている時期が要注意!精力的に活動していて、ストレスを自覚しにくく、肉体的に負担のかかるようなスケジュールでも対応できてしまいます。しかし、私たちの体はそんなに頑丈ではありません。そのまま突っ走っていると、体はヘトヘトに疲れ、やがて心までもが疲れてしまうのです。
だからこそ、日常的にケアを行う必要があります。まず、体を疲れさせない事。「疲れてきたな~」と感じてからでは遅いのです。その時点では、すでに体は疲れています。ストレスに強い人は、疲れを感じる前にケアをしています。では、どのようなケアが効果的か具体的に紹介していきましょう。
オススメのケア方法
ストレスに強い人は、日常的にできることで体をケアしています。
例えば、入浴。シャワーで済ませず、あたたかい湯船にゆっくり浸かり、1日動いた体をほぐします。
ヨガやストレッチ、簡単な体操も人気です。ラジオ体操を、朝と昼など複数回おこなう企業もあるそうですが、就業中にPCに向かって凝り固まった筋肉をほぐすのにはもってこいですね!
ちなみに私はウオーキングをしています。仕事が一区切りついたら、あえて買い出しに行ったり、あえて散歩へ行ったりするようにしています。就業中に時間を作るのが難しい場合は、通勤時や昼休みを利用すると良いでしょう。一駅前で降りて歩くとか、これからの季節なら、桜がきれいな公園まで足をのばしてランチするのも良いかもしれません。
このように、日常的にできることで、かつ長期的に習慣化できるものがオススメです。
頑張って動いているタイミングは、これらのケアを後回しにして一生懸命動いてしまいます。しかし、体はそんなに頑丈ではありません。じわじわと溜まった疲れは、頭痛や肩こり、疲労感などの形で現れます。さらに放置すると心が崩れてしまいます。
体のケアは習慣化!頑張っている時期こそ積極的に取り入れていきましょう。
ストレスに強くなる考え方とは
体のケアの次は、ストレスに強い人になるための考え方へと進みましょう。
ここでは、私が専門とする「認知行動療法」に基づいた考え方を紹介します。
認知行動療法とは、理想の自分になるために現状を見つめ直し、行動を変えていく手法のことです。
ストレスの種類を理解する
認知行動療法では、まずストレスを2つの種類にわけます。
(1)快ストレス:人生を豊かにするストレス
(2)不快ストレス:心身を疲弊させるストレス
「ストレス」と聞くと、一般的には「不快ストレス」を思い浮かべる方が多いと思います。しかし、実は2種類あるのです。例えば、面接で緊張して噛んでしまった場合、「ネタになる!笑いがとれる!」と快ストレスに感じる人もいれば、「ミスをしてしまった…自分はダメな人間だ」と不快ストレスに感じる人もいます。このように、私たちは、受けとり方によって、「人生を豊かにするか」「心身を疲弊させるか」を選んでいます。
勘の良い方はお気づきですね。ストレスに強い人になるためには、快ストレスを増やせば良いのです。
認知行動療法による「不快ストレス」の予防法
では、どのようにすれば、不快ストレスを予防し、快ストレスを増やすことができるのでしょうか。転職後を例に、認知行動療法に基づき解説したいと思います。
転職後にスキルを活かせずイライラ…
この場合「雑用を任された」というのが、ストレスの原因です。
認知行動療法では、まず、ストレスの原因を明確にして「本当はどうしたかったのか?」という視点で自分の理想を把握します。
この場合「社会人として5年目だし、転職もしたのだから、スキルが活きる仕事を任されたい」というのが理想にあたります。
次に、現状を冷静に確認します。
一般的に、入社して3カ月の時期は、会社のメンバーの顔と名前を覚えたり、日々の生活サイクルに体を慣らせたり、職場のルールや文化を把握する時期です。やっと、同僚や上司と普通に話せるようになったのではないでしょうか。
このように、理想と現実を冷静に確認することを<認知>といいます。
認知ができたら、理想を叶えるための<行動>を考えます。
社会人としては5年目ですが、その会社では新人です。でも、この3カ月雑用をしたおかげで社内のルールや文化を把握することができました。
さあ、ここからです。理想を叶えるための行動を考えましょう。
例えば、自分が理想としている仕事のリーダーと仲良くなるための行動を考えるとか。
上司に「こういう仕事をゆくゆくやっていきたいです」と熱意を伝えるとか。
実際にできそうな、無理のない範囲の行動を考えてみましょう。
そして、実行するのです。
このように、理想と現実を冷静に認知して、理想を叶えるための行動をするのが認知行動療法です。「雑用を任された」という出来事に対して受けとめ方を変えるだけで、その後の行動が変わり、理想の未来への近道になるのです。
不快ストレス:イライラしながら仕事に着手した
快ストレス:タイミングを計り上司に熱意を伝える
このように、ストレスに強い人は、受けとめ方を鍛え、快ストレスを増やしています。…まれに無意識でできる人もいますが、私は日々の訓練で身につけました。少しずつコツがわかるようになってきますので、まずはやってみてください。
まとめ
今回は、ストレスに強い自分になるために、ストレスとの上手な付き合い方を紹介しました。
- 日常的に体のケアをする
- 受けとめ方を鍛えて快ストレスを増やす
この2つを意識するだけで、今より格段にストレスと上手に付き合えるようになります。
ぜひ、やってみてください!
WRITER:丸山久美子 EDIT:リクナビNEXT編集部
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