不確実性が高い時代の転職先の選び方やキャリア形成の考え方とは

「不確実性が高い時代」という言葉を聞いたことはありませんか? 変化が激しく見通しの立てにくい、現在のような状態を「VUCA」と呼んでいます。では、不確実性が高いVUCAの時代において、キャリア形成や転職はどのように考えればいいのでしょうか。
そこで今回は、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏に取材し、「不確実性の高い時代」の転職先の選び方やキャリア戦略について解説していただきました。
「不確実性が高い時代」とは
「不確実性(VUCA)」という言葉が注目されています。
VUCAとは、「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字を取って、物事や環境が複雑性を増し、変動性が高いために予測困難になる状態を意味します。
インターネットの登場により、通信ができれば世界のどこからでも情報のやり取りが可能になりました。
コロナウイルスの流行は多くの国で混乱や悲しみを生み出しましたが、オンラインという新たな習慣が根づくきっかけにもなりました。
このように、技術革新や環境変化によって、ライフスタイルや価値観が変わり続けています。
ビジネスも同様に、日本では同じ企業で定年まで働くという「終身雇用」と呼ばれる働き方・制度が一般的でしたが、現在は複数回の転職をする人が増え、パラレルワークやフリーランスなど多様な働き方をする人も増えています。
変動性が高く予測困難な時代において、「大手企業に入社すれば安心」「会社が設定したキャリアを歩む」といった考え方から、自ら企業や仕事を選び、キャリアを切り拓くことが重要視されるようになりました。
不確実性の高い時代に求められるスキルを把握し、自分なりのキャリア戦略を考えてみましょう。
「不確実性が高い時代」に求められるスキル
不確実性の高い時代に求められるのはどのようなスキルでしょうか。
代表的なスキルを3つご紹介します。
臨機応変な対応力
インターネットやITの進化によって、業務内容やスピードが大きく変わりました。
「請求業務」を例にすると、以前は印刷して押印した請求書を郵送し、請求書が届いた企業は金融機関で振込手続きを行うことが一般的でした。
しかし現在では、請求書は電子化され、オンラインで入金処理を行う企業が一般的です。
不確実性の高い時代では、こうした変化にいち早く対応し、仕事の進め方を変えて改善を図るスキルが重視されます。
変化を恐れて過去のやり方に固執していると、新たな経験・スキルが身につかず成長が伴わなくなるでしょう。
自ら行動を起こす主体性
自ら行動を起こす主体性も重要です。
先の見通しが立たないからと言って様子を伺って指示を待っている間に、置かれている立場や環境はどんどん変わっていきます。
変化に対して自ら行動を起こし、気づきや発見を得て成果を掴み取る姿勢がないと、ビジネスシーンで活躍する機会が減ってしまいます。
積極的に起こした行動や得られた成果は、経験や実績として身につくため、人材としての市場価値も高まるでしょう。
変化を面白がる好奇心
先が見えないことを悲観的に感じる方もいるかもしれませんが、何が起こるか分からないからこそ刺激的で面白いとも言えます。
新たな変化に対して「面白い」と思える好奇心があると、不確実性の高い時代を前向きに捉えることができるでしょう。
好奇心があると、従来の常識を覆す新たなルールや技術が登場した時も、抵抗感なく受け入れることができます。
新たなビジネスアイデアを思いついたり仕事の進め方を変えて生産性を高めたりして、成果を出すことができるでしょう。
不確実性の高さに対応するには「自律的なキャリア形成」が必要
不確実性が高く変化する経済社会に対応するために、一人ひとりの自律的なキャリア形成が必要とされています。
厚生労働省が発表した「平成30年版 労働経済の分析 -働き方の多様化に応じた人材育成の在り方について-」(※1)の資料でも、自らキャリア形成を考える人が増加しているという結果が出ています。
(※1)出典:厚生労働省「平成30年版 労働経済の分析 -働き方の多様化に応じた人材育成の在り方について-」>第II部 働き方の多様化に応じた人材育成の在り方について(PDF, P263, 第2-(4)-16 図)
ただし、株式会社リクルートの調査(※2)では、「自分のキャリア」について満足している人は26.5%、「キャリア自律できていると思う」人は、18.3%と多くはありません。
キャリア自律について、「何をしたらいいか分からない」「自分の強み・持ち味・市場価値が分からない」「行動に移せない」「キャリアの選択肢が分からない」という課題を抱える人が多数派のようです(P14)。
(※2)出典:株式会社リクルート「キャリア自律・キャリアオーナーシップの実態・課題・処方箋(PDF, P12)」
先に紹介した厚生労働省の資料(※3)では、自らキャリア形成を考えるためには、「キャリアコンサルティングが有効」として紹介されています。
キャリアコンサルティングを受けることによって、「将来のことがはっきりした(40.0%)」と答えた人が一番多く、「就職できた」「仕事を変わった、転職した」「職業能力がアップした」「自分の問題が解決した」など、ポジティブな変化が見られることが分かっています(第2-(4)-16 図)。
(※3)出典:厚生労働省「平成30年版 労働経済の分析 -働き方の多様化に応じた人材育成の在り方について-」>第II部 働き方の多様化に応じた人材育成の在り方について(PDF, P263, 第2-(4)-16 図)
もし自社にキャリアコンサルティングの制度がなく、キャリアについて相談したい場合は、転職エージェントを活用するという方法があります。
不確実性の高い時代において、定期的なキャリアの振り返りと方向性の見直しが重要です。
無料で相談でき、オンラインの面談も可能なので、キャリアや将来に不安や悩みを抱えている場合は、転職エージェントに問い合わせてみましょう。
不確実性が高い時代の転職先の選び方
不確実性の高い時代において、自律的なキャリア形成のためにキャリアコンサルティングが有効とご説明しましたが、転職先はどのように選べばいいのでしょうか。
株式会社リクルートの調査(※)では、キャリア自律ができていると感じている人の職場の特徴として、「能力開発を加味した業務の割当てがある」「生活や将来のことを腹を割って話せる」いう回答が多くなっています。
(※)出典:株式会社リクルート「キャリア自律・キャリアオーナーシップの実態・課題・処方箋(PDF)」
転職先を見極める際は、上司と定期的な対話の場がある「セルフ・キャリアドック」を導入するなど、キャリアを相談できる機会や制度があるかどうかを確認しましょう。
また、本人の成長やスキルアップを考慮して業務を任せたり、自ら希望して異動やプロジェクト参加ができたりするかどうかも重要です。
副業や兼業を認めている企業であれば、社外で経験・スキルや視野の幅を広げることができるかもしれません。
従業員の成長や自律的なキャリア形成を実現しようとしている企業を見極めましょう。
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