転職後のイメージギャップを防ぐため、企業のネガティブな面も知る方法を教えてください【転職相談室】
どんな企業にもポジティブな面とネガティブな面があります。転職後のイメージギャップを避けるためにも、自分にとってネガティブな情報は事前に収集しておきたい、と思う人もいることでしょう。
自分でできるリサーチ方法について、組織人事コンサルティングSegurosの粟野さんに話を聞きました。
目次
転職後の理想と現実のギャップを防ぐためにも、企業のネガティブな面を含めてリサーチしたいです。どのような方法があるでしょうか?(Uさん/26歳/IT系営業)

転職を検討していて、入社後に失望しないためにも、企業のマイナスな面も知った上で応募先を絞っていきたいと考えています。一般的な企業研究では見えてこないネガティブな情報は、どのように調べればいいのか教えてください。
「自分にとってのネガティブとは何か」をまず明らかに
相談者
転職先を決める前に、応募先企業のネガティブな情報を知っておきたいと思うのですが、心配しすぎですか?
アドバイザー
そんなことはありません。転職後のギャップを防ぐには有効な手段です。実際、内定を受けるかどうかの意思決定をするタイミングでネガティブな情報をリサーチする人は珍しくありません。
相談者
こうした情報は、どのように調べるのが適切なのでしょう?
アドバイザー
情報を調べる前に、まずは「自分にとって何がネガティブなのか」を明らかにする必要があります。なぜなら、ほかの人には気にならないこと、妥協できることでも、Uさんにとってはマイナスなことかもしれないからです。
相談者
確かにそうですね。現在の職場は残業が多いので、転職先の残業時間の実態は気になります。あとは、結婚や出産を経ても長く勤めていきたいと考えているので、離職率も知っておきたいですね。
大きく分けて、インターネットで調べる方法と人に聞く方法がある
企業のネガティブな情報を調べるには、主に「インターネット」または「人」を介しての方法が考えられます。
インターネットで調べる方法
アドバイザー
手軽なのはインターネットを利用する方法です。
相談者
検索エンジンを使って調べるということですか?
アドバイザー
そうです。例えば、検索エンジンに「〇〇社 残業時間」と入力すると、検索結果の中にさまざまな企業のクチコミが掲載されているプラットフォームがいくつか出てくるはずです。
相談者
そうした企業クチコミサイトをチェックしていくのですね。
■クチコミサイト(企業評価サイト)を利用する
アドバイザー
こうしたクチコミサイトの多くは登録しないと閲覧することができませんが、特にユーザー数の多い大手サイトでは、出身者だけでなく、社員が投稿するケースもあるため、比較的新しく具体的な情報を得るチャンスがあります。
また、年収・残業時間・福利厚生など項目別の評価を掲載するサイトも多いので、企業研究の一貫として参考にするといいでしょう。
ただし、参考にする際には注意したいことがあります。それは、内容について100%真に受けないようにする、ということです。採用に役立つようなクチコミを社員が意識的に書き込んでいるケースもありえますし、退職者が、それこそネガティブな感情を持って誤った情報を書き込んでいるかもしれません。
情報自体が古いことや、契約社員など組織内での立ち位置が正社員とは異なる人が書き込んでいる可能性もあるので、クチコミはあくまで参考情報の1つと捉えましょう。
相談者
確かにそうですね。書かれていることをそのまま鵜呑みにしないよう、気をつけます。
■企業の公式サイトから情報を得られることも
アドバイザー
それから、こうしたクチコミサイトでは、中小企業やスタートアップ企業の情報は見つからないことが多いです。
相談者
大手などの有名企業の情報が中心なのですね。
アドバイザー
はい。ですが、Uさんが知りたいのは、残業時間と離職率の実態でしたね。こうした数字で客観的に示せる情報は、自社の公式サイトでオープンにしている企業も増えつつあるので、併せてチェックしてみてください。
相談者
わかりました。忘れずチェックするようにします。
アドバイザー
ところで、離職率などは企業の成長フェーズで意味合いが変わってきます。
スタートアップ期で従業員が少ないときは1人の退職者が離職率を引き上げる結果になりますし、組織や事業内容が変化していく過程で人材が入れ替わっていくことは、企業としては健全なことともいえます。
ですから、数字だけに捉われず、背景なども考慮し、冷静に判断しましょう。
相談者
はい、気をつけます。
■書籍や厚生労働書のデータも参考に
アドバイザー
ほかにも、書籍やそのデジタル版として市販されている企業情報が掲載されたガイド本には、3年後の定着率や有給休暇の取得率などが掲載されているので、知りたい情報によってはこうした媒体を利用することも有効です。
また、個別企業の情報ではありませんが、厚生労働省が発表している『雇用動向調査』などをチェックして、業界の離職動向を知ることも判断材料として役立つのではないでしょうか。
相談者
なるほど。業界の傾向から見えてくることもありそうですね。
人に聞く方法
■勤めている人や出身者に直接聞いてみる
アドバイザー
もう1つは、その企業に勤めている人や勤務経験のある人から直接話を聞くことです。ただ、この方法は転職先企業に知り合いがいないと難しいですが。
相談者
そうですね。可能な限り、知り合いの知り合いなども辿ってみることにします。
■転職エージェントに相談してみる
アドバイザー
それから、転職エージェントを利用して転職活動をする場合は、エージェントに聞いてみるという方法もあります。
相談者
転職エージェントは、ネガティブな情報も教えてくれるのですか?
アドバイザー
すべてに答えられるわけではありませんが、「同じ疑問を持った求職者が、転職した結果どうだったのか」など、リアルな情報を持っている可能性はあります。また、知りたい内容次第では、Uさんに代わって企業に聞いて情報を集めてくれるはずです。
相談者
個人では企業に聞きにくいことも、転職エージェントならうまく聞き出す術を持っていそうですね。
■面接でも聞き方を工夫すれば答えが得られる
相談者
いまアドバイスをいただいたような手段でも情報が得られなければ、面接の際に率直に聞いてもいいのでしょうか?
アドバイザー
面接官が不快に感じないよう、聞き方を工夫すれば問題ないでしょう。いきなり単刀直入に「御社の平均残業時間はどれぐらいですか?」「御社の離職率はどれぐらいですか?」と切り出すのではなく、自分の意図を伝えた上で聞くのがいいと思います。
相談者
具体的には、どのように聞けばいいのでしょう?
アドバイザー
例えば、
といった聞き方です。
相談者
なるほど。これなら相手も質問の意図を汲んでくれそうですね。
ネガティブ情報が多すぎると感じるなら辞退したほうがいい場合も
アドバイザー
どんな企業も100%自分の希望通りというわけにはいきません。その上で、何か引っかかることがあって不安になり、徹底的に調べてしまうほどなら、そもそもその企業にはUさんにとってネガティブな要素が多すぎるということなのかもしれません。
そのような場合、いったん冷静になって希望条件と照らし合わせつつ、辞退することも視野に入れておくべきでしょう。
相談者
わかりました。とても参考になるお話をありがとうございました。
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