【転職支援のプロに聞く】「自分の強み」や「キャリア戦略」について考えたい人におすすめ本7選
リモートワーク化が進み、自分時間が増えている人は多いでしょう。この機会を利用して、自分の将来に役立ちそうな本を読んでみませんか?
自分の強みやキャリア、働き方に対する考え方だけでなく、生き方のヒントも得られそうな本を、『転職成功ノウハウ』や『転職相談室』でアドバイザーを務めるSeguros 代表の粟野友樹氏が推薦します。
目次
「いつでも転職できる」を武器にする 市場価値に左右されない「自分軸」の作り方
著者:松本利明 出版社:KADOKAWA
こんな人におすすめ
・転職活動中の人
・これから転職活動をしようと考えている人
ざっくり概要
自分の市場価値、やりがい、報酬など、多くの求職者が抱える疑問に対するアドバイスをはじめ、自分軸に合った転職市場の見極め方、ポータブル含めたスキルの身につけ方などをわかりやすく紹介。
「好きなタイミングで欲しい値段で自分を売れる」「自分が好きなことで稼げる市場と仕事がわかる」「出世に限らず世の中で認められる」など、転職力を身につけるためのポイントがわかります。
おすすめポイント・活用方法
本書で提示されているのは、自分の持ち味を発揮できる場(転職先)を探すフレームワークとして、「事業のライフサイクル(導入=創業、成長、安定、衰退・再展開)から判断する」という斬新な考え方。
その観点で整理・分析すると、俯瞰的かつ体系的に自己分析することができるので、自分の持ち味の捉え方やPRの方法、選ぶ転職先が変わってくるかもしれません。
一般的な転職支援アドバイスでは、「求職者の業界・企業・職種の経験スキル」を中心に、自分の持ち味や強みを考えますが、この本に紹介されている「事業のライフサイクルから、個人が持ち味を発揮できる場所を見つける」というフレームワークは、とても実践的。転職を支援している私にも参考になりました。
本当の仕事 自分に嘘をつかない生き方・働き方
著者:榎本英剛 出版社:日本能率協会マネジメントセンター
こんな人におすすめ
・今の仕事や生活に違和感を持ちながらも、「仕事も人生も現実はこんなもの(我慢するもの)だ」と考えている人
・「それでも何かしら意義を持って生きたい」と考えている人
ざっくり概要
アメリカに留学してコーチングを学び、日本にコーアクティブコーチング(コーチとクライアントが協働するコーチング)を広めた榎本英剛氏の著書です。
「生計を立てるための手段」「やりたくないことをやる」「既存の職業に自分を合わせる」「同時に1つしか持てない」という、日本人に多く見られる“4つのめがね”(仕事の見方)を紹介しながら、純粋意欲(論理では説明できないが、とにかくやりたいこと)や存在意義を見つめることで、仕事の捉え方や取り組み姿勢が変わることを丁寧に語りかけています。
おすすめポイント・活用方法
実は、私自身が「仕事がつまらない」という気持ちを押し殺して働いていた30代半ばに、著者のセミナーに参加した経験があります。まさに本書に出てくる“4つのめがね”で仕事を見ている自分にショックを受け、自分自身の純粋意欲や存在意義を探り、見つめることができました。
ロジカル・シンキング (Best solution)
著者:照屋華子、岡田恵子 出版社:東洋経済新報社
こんな人におすすめ
・面接や書類作成で伝えたいことが端的に伝えられず、苦労している転職活動中の人
・仕事や普段の生活で、他者に依頼したいことや教えてほしいポイントがうまく伝わらず、ストレスを感じている人
ざっくり概要
著者の2人は、大手戦略コンサルティングファームのコミュニケーションスペシャリスト。コンサルタントが作成した提案書等の内容が、「ロジカルかどうか(=クライアントの立場からわかりやすいか、説得力があるか)」をチェックする専門家です。その業務で培われたロジカル・シンキング/コミュニケーションの技法が、実用的・体系的に説明されています。
おすすめポイント・活用方法
私が本書を手に取ったきっかけは、会社員時代、社長に「君の話は論理性に欠ける。この本を読みなさい」と紹介されたこと。当時、自分としては要点を絞って話しているつもりでしたが、本書内でダメな事例として紹介されている「自分しか見えない病」だったこと、課題(テーマ)設定が社長の求めるものではなかったことがわかり、大いに反省しました。
現在も、転職支援した求職者が面接で苦戦している姿を目にすると、「相手不在で、自分の言いたいことを話していることが原因ではないか」と感じることが少なくありません。
本書を読めば、転職活動の書類や面接で伝えるべきメッセージは、自分の経験スキルや強み(自分が伝えたいこと)ではなく、「企業側が期待している課題、期待する反応、答えである」ということが理解できるでしょう。
第1章を読むだけでもかなり参考になります。一部活用しながら話す内容や書く内容を整理し直すと、その成果を実感できるに違いありません。
超「個」の教科書 – 風間サッカーノート
著者:風間八宏 出版社:双葉社
こんな人におすすめ
・組織の中で自分の力を発揮できていないと感じ、自分の個力を発揮できる場を求めている人
・思考停止状態を脱して刺激を受け、異なる観点から仕事を捉えたいと考えている人
・一般的な組織マネジメント手法に行き詰まりを感じているマネージャー
ざっくり概要
著者は、Jリーグ・名古屋グランパスの監督としても、またテレビ解説者としても、独自の観点を持つことで有名な風間八宏氏です。サッカーというスポーツの実践を通じて得た「個の能力を引き出し、伸びしろのある組織にしていく」ための49のノウハウが紹介されています。
おすすめポイント・活用方法
注目したのは、その内容が組織ありきの凡庸な観点ではなく、徹底して“個の能力”にフォーカスしていること。個人と組織の関係をシンプルに捉えやすい「サッカー」という題材を通じて、個人が持つ仕事やキャリアに対する観点を変えてくれます。
もともとは、私がサッカーをしている息子との共通言語をつくろうと手にした本でしたが、読んでみると、サッカーという範疇を超えて、仕事や組織に関する固定概念を転換してくれるヒントがたくさんありました。
NINE LIES ABOUT WORK 仕事に関する9つの嘘
著者:マーカス・バッキンガム、アシュリー・グッドール 出版社:サンマーク出版
こんな人におすすめ
・自分の強みを活かしたい人
・自分の強みを活かせる場を見つけたい/つくりたい人
・今の環境で感じている何らかの違和感から転職を考えていて、その違和感が9つの嘘に染まった環境に当てはまる人
ざっくり概要
ストレングスファインダー(オンラインの才能診断ツール)で多くの人が知る『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう』(日本でも発行100万部!)の共著者であるマーカス・バッキンガム氏の最新書。
企業文化、目標、オールラウンダー、ポテンシャル人材など、一般の多くの人や企業が「重要(本当)だ」と考えている9つの概念が、「実は全くの的外れ(ウソ)である」と論破している痛快な書籍です。
巻頭の「厄介なのは、何かを知らないということではない。確かに知っていると思い込んでいることが、実は全くの的外れだということだ」という言葉に続き、仕事に関して既成概念化されていることを一つひとつ壊していきます。そして、巻末付録の前にはきちんと“ホント”がまとめられています。
おすすめポイント・活用方法
本書の根底にあるのは、個々人にポテンシャル(正確にはモメンタム=その人なりの強さ、速度、方向性で成長する)や強みがあり、それをチームとして最大限活かすようにすることがリーダーであるという考えです。
それぞれに他人にはない強みがあること、そして、それを活かす場を見つける/つくることができるというメッセージには、個人に対する温かく力強い眼差しが感じられます。
日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学
著者:小熊英二 出版社:講談社
こんな人におすすめ
・雇用や働くということに関して、現状追認ではなく何らかの改善をしていきたい経営者や人事担当者
・人材ビジネスに携わる人
・一般の労働者・雇用者の立場にある人
ざっくり概要
著者は、社会学者の小熊英二氏。雇用、教育、社会保障、政治、アイデンティティ、ライフスタイルまでを規定している「社会のしくみ」を検証し、日本社会の暗黙のルールとなっている「慣習の束」を明らかにしています。
小熊氏の著書は膨大な論文や資料を基に書かれているので、全体を理解するのは容易ではありませんが、断片的な理解であっても、今ある社会のしくみの成り立ちを紐解いて知ることで、たくさんのことを考えさせられます。
おすすめポイント・活用方法
メディアなどから発信されることを無自覚に信じることは、結果的に、従来の社会のしくみを強化・再生産していくことになります。ですが、こうした社会のしくみの成り立ちや経緯を私たち一人ひとりが認識すれば、従来のしくみ以外の発想や改善変更策が生まれることにつながるかもしれません。
終身雇用、新卒一括採用、学歴重視、非正規社員の増加など、当たり前のように受け入れていることの成り立ちや事実を知って、答えはないながらも、それぞれのメリット・デメリットを考える。それによって、個人の行動が変わっていくことに期待しています。
『 日本製 』
著者:三浦春馬 出版社:ワニブックス
こんな人におすすめ
・自分の仕事や人生に力強さや自信を持ちたいと願っている人
・地元や故郷、縁のある場所などで生活すること、働くことに興味を持っている人
ざっくり概要
2020年7月に亡くなられた俳優の三浦春馬氏が、約4年間かけて日本全国47都道府県の「メイド・イン・ジャパン=日本製」を訪問し、体験したという、月刊誌『プラスアクト』の連載企画を書籍化したもの。
「未来」と「継承」をテーマに、伝統工芸や伝統芸能だけでなく、農業・漁業・畜産、広島の原爆語り部、トヨタ自動車やJAXAといった多様な「メイド・イン・ジャパン」を紹介しています。
おすすめポイント・活用方法
派手さはなくても、地に足をつけ、強い思いを持って血が通う仕事や生き方をしている素敵な人たちが、日本の津々浦々にたくさんいること、「こういう仕事や生き方もできるんだ」ということを教わりました。
また、「自分の仕事や人生に真摯に向き合うことは、他者の仕事や生き方に尊敬のまなざしを持つことである」ということにも気づかされました。
三浦春馬氏が、何事にも尊敬の念を持ってフラットに接していることが伝わり、清々しく幸せな気持ちになれます。各地を訪問した後の本書コラムには、俳優という仕事への学びや気づきについて数多く書かれていて、彼の真面目な人柄が偲ばれます。人気俳優の本だからということではなく、一人の人として、一人の職業人として学ぶことが多い1冊です。
読者へのメッセージ
今回は、「働くことや生きることに対する視点・観点を変える」ためのヒントとなるような書籍を選びました。
どのような類の本であれ、読めば何かしらの学びにはなりますが、“読むだけ”では日々働く中で劇的な変化や即効性はなかなか感じられないと思います。
しかし、非常に多くの時間を投じることになる「働く」という営みの中では、読むことで得た気づきや感動をエネルギーにして何らかの行動変化を起こせば、数年後には重要かつ良い変化が生じることもあるかもしれないのです。
例えば、「目の前の仕事をするにしても、心の持ちようや取り組み方を変えてみる」ことで学びが増えたり、「中長期でキャリアを考えるとき、従来と違う切り口で考えてみる」ことで選択肢が広がったり、「書籍で得た学びや考えを周囲に言い続けてみる」ことで思わぬ人とつながりキャリア上のチャンスが得られたり、などです。
本記事で紹介する書籍が、個々人が自分に正直に、自分に合ったキャリアひいては人生を歩まれる上で、「考え、行動する」きっかけになればと考えています。
- タグ:
こちらの記事も読まれています
新着記事
- 2025年6月24日履歴書の「学歴・職歴欄」の書き方│ケース別見本・Q&Aあり
- 2025年5月23日やりたい仕事がない。やりたい仕事の見つけ方と転職する場合の注意点
- 2025年3月27日応募書類が自動で作成できる!リクナビNEXTの「レジュメ」機能とは?
- 2025年3月14日転職活動で役立つ!無料の自己分析ツール厳選5種を紹介
- 2024年12月17日第二新卒の転職理由・退職理由|本音も交えた上手い答え方&NG例文
- 2024年12月3日盛り上がらず淡々と終わった面接は、不合格?それとも合格?
- 2024年11月29日コンサル業界の面接特徴|企業のチェック観点と答え方、準備・対策のコツ
- 2024年11月27日自分に合う「ニッチな企業」「隠れた優良企業」の探し方