納得いくまで突破口を探し続け、ようやくたどり着いた「フリーランス」の可能性　“GOOD AGENT AWARD 2019” 金賞

2019年11月6日公開最終更新日：2022年6月9日

株式会社リクルートキャリア　古田将章氏

「エネルギー業界の変革」に向けて、キャリアコンサルタントとしてできるお手伝いがしたい。その熱意が、大手エネルギー企業における「フリーランスの活用」という市場創出の可能性を見出した。

執行役員の一言から突破口を見出し採用成功
新規事業の推進だけでなくカルチャー変革にも期待
フリーランスの突破力が古い体質を変える起爆剤に

執行役員の一言から突破口を見出し採用成功

2018年4月からハイキャリア領域のコンサルタントを担当する古田氏。入社5年目の彼にとっては未知の世界だった。自分に何ができるのかを自問自答し続けた結果、「時代を読む」という先輩からの助言に背中を押され、エネルギー業界への注力を決心。セミナー、書籍、著名人、ニュース等で情報を蓄積し、自らの知見をメディアで発信もする。そんな彼が挑んだのが本件。

エリアに特化した大手エネルギー企業であるA社は「新たな価値の創出」をミッションに、事業開発の部署を新設。しかし企業はリスクの最小化を重視、変革スピードは遅い。だからこそA社のカルチャー変革を実現できる人材を紹介したいと、採用要件を提示。熱意が伝わり、「スピード感を持って事業推進できるウェブ系企業の事業開発責任者」という、古田氏の定義通りの人材を紹介し、内定。ここまでは順調だったが、A社規定で、正社員ではなく契約社員での採用だったため、結果は内定辞退。A社の事業推進停滞を危惧し、“本気度”を疑った古田氏。納得がいかず、SNSを使って執行役員に直接アプローチし続け、なんとか面会を取り付けた。

「執行役員からは『人事は聖域なのでどうしようもない』と。しかし『自社にいない人材を招くため、フリーランスと契約している』という新たな情報を入手。『契約社員ではだめだ。正社員でなければ！』と思いこんでいた私でしたが、そこに突破口が見えた気がしました」

変えられない企業の雇用形態に切り込むのではなく、契約社員という雇用形態を許容する人材を探す。フリーランスというポジションの人材はうってつけだと、古田氏は思った。

新規事業の推進だけでなくカルチャー変革にも期待

実は古田氏は、キャリアカーバー等でプロフィールを見かけ、気になる人物がいた。ウェブ系企業で事業部長を経験したキャリアを持つBさんで、個人事業主として複数企業のプロジェクトに関与している。収入も安定しており、転職が喫緊の課題ではない様子。そんな彼に、古田氏は真正面から「データベースに登録している理由や、働く目的」を聞いた。するとBさんは、「私の人生の目的は、身の周りの人を幸せにすること」であると。そのために“自らの抽斗の数”を増やしたいと考え、“機会があるなら”という思いで登録していたのだ。

「『A社のような重厚かつ伝統的な企業の新規事業に携わることは、間違いなく抽斗を増やす経験となるのでは』――私のその思いにBさんは耳を傾けてくれました」

A社では、既にフリーランスを受け入れている実績がある。しかもBさんは、A社が新規事業として計画するアプリ開発に必要なスキルも、マネジメント経験も、事業推進に必要なスピード感も持っている。

「BさんがA社に入社することで、新規事業推進だけでなく、カルチャー変革の面でも大きく寄与できると確信しました」

契約社員としてA社への入社がまとまりかけた頃、Bさんは、「うちの共同経営者としてIPOを手伝ってほしい」という引き止めにあった。一瞬、心が揺らいだBさんだったが、そこに古田氏は疑問を持つ。

「これまで関わってきたなじみの畑に次の種を蒔く――その選択が、あなたの抽斗を増やすことになるでしょうか……？」

その言葉を熟慮し、自分のキャリアを再検討したBさんは、A社への入社を決意。

「自分が感じた違和感に蓋をせず、伝えたいことがあれば“真正面からぶつかってみること”が大事です」