法人営業の志望動機で説得力を出す書き方|例文と採用担当者が見るポイントを解説

この記事でわかること
- 自身の経験と応募先の仕事内容をどう結びつけるかが志望動機の差になる
- 採用担当者が評価する法人営業のスキルと、志望動機に何をどう書けばよいかがわかる
- 営業タイプ別の営業経験者向け例文3つ・営業未経験者向け例文1つを参考にアピールのポイントがわかる
法人営業の志望動機は、「貴社の商品に魅力を感じた」「より多くの顧客にサービスを届けたい」などだけで留まってしまうと、入社後に法人営業としてどういった貢献ができるのかが伝わりにくくなります。本記事では、採用担当者が評価するスキル、4つの要素での組み立て方、法人営業経験者向け・法人営業未経験者向けの例文を解説します。志望動機作成の参考にしてください。
組織人事コンサルティング 株式会社YAGAI 代表取締役CEO
目次
法人営業の志望動機を書く前に確認しておきたいこと
法人営業は、企業を顧客として取引を進める仕事(BtoB)で、新規顧客の開拓を中心とする営業、既存顧客を中心に担当する営業などに分けられます。それぞれ1日の動き方と求められるスキルが異なるため、志望動機を書く前に、求人情報で営業スタイルを確認しておきましょう。
新規開拓営業
これまで取引のない企業へアプローチし、課題のヒアリングと提案から新規契約につなげます。求人情報では、架電、訪問、問い合わせ・資料請求などの反響対応のどの方法が中心か、担当する企業規模と業界、件数目標(新規架電数、新規商談数、新規受注数)や商談化率などの評価指標を確認します。
ルート営業
既存の取引先を定期的に訪問し、利用状況・取引状況の確認、追加受注、契約更新、他部署への展開を担います。求人情報では、担当社数、訪問頻度、既存と新規の比率、契約更新率が成果指標に含まれるかを見ておきましょう。
提案営業
新規開拓やルート営業と異なり、顧客の経営課題や業務上の問題を深掘りし、自社サービスを使った解決策を企画・提案することが主な役割です。ルート営業と兼務する募集もありますが、提案における裁量権と関わる部署の範囲が広い点が特徴です。求人情報や面接では、提案における裁量権や関係部署の範囲、売上・受注額・受注率などのどの指標で評価されるのかも確認しましょう。
採用担当者が評価する法人営業のスキル・適性
法人営業では営業経験に加え、顧客のニーズ把握・提案・関係者調整など応募先の営業スタイルに合った経験と強みが見られ、次の5つのスキルが共通して評価されやすい傾向にあります。
顧客の課題を引き出すヒアリング力
顧客自身も課題を整理しきれていない場合があります。顧客の要望だけでなく、背景や目的、予算、導入時期などを確認し、ニーズを整理する力が求められます。仮説を持って臨む場合も、顧客の反応に合わせて柔軟に調整することが大切です。事前の業界リサーチをもとに商談に臨み、ヒアリング内容に応じて提案内容を調整した経験があれば伝えましょう。
解決策を筋道立てて示す提案力
法人営業では、商品・サービスの特徴を伝えるだけでなく、顧客のニーズや利用目的を把握し、それに合った提案を行うことが重要です。費用や導入時の負担も含めて、なぜその案が合うのかを順序立てて説明できるかが問われます。
複数の関係者を巻き込む調整力
法人の取引は、担当者の合意だけでは決まらないケースもあります。決裁者や関係部署の関心を踏まえ、社内の承認プロセス(稟議)を想定して情報をそろえる動きが評価されます。
顧客と長く信頼を築く関係構築力
法人取引は継続的な取引や長期的な関係構築が重要になるケースも多くあります。目先の売上だけを追うのではなく、顧客の伴走者として誠実に向き合い続ける姿勢が求められます。定期的なフォローを通じて導入後の不安を解消したり、新たな要望をいち早く把握したりすることで、継続的な取引や紹介につながることもあります。
業界と顧客を深く知る情報収集力
自社商品への理解にとどまらず、顧客が置かれている業界のトレンドや競合の動きまでを把握する力です。 顧客の業界動向や課題を理解した上で提案できると、説得力が増します。日ごろから最新情報を収集し、一歩先を見据えた情報提供ができると、商品を売る営業ではなく信頼できる相談相手として見てもらいやすくなります。
法人営業の志望動機の書き方|4つの要素で組み立てる
法人営業の志望動機の書き方のポイントは、次の4つです。履歴書の志望動機欄は文字数が限られるため、4つの要素を盛り込みながら簡潔にまとめましょう。
転職理由・目指したいことを整理する
「なぜ転職するのか」と「法人営業としてどうなりたいか」を整理します。待遇や環境を変えたいという理由は転職のきっかけになりますが、それだけでは志望動機としての説得力が弱くなります。顧客の課題解決に深く関わりたい、提案を通じて企業の成長に貢献したいなど、応募先でどのように貢献したいか、どのようなキャリアを築きたいかという前向きな目的を軸にまとめましょう。
なぜその企業を選んだかを明確にする
商材、顧客層、営業体制、企業規模や社風などを調べ、ひかれた点や共感した部分を明確にしましょう。その企業ならではの理由を書くことで、企業への理解度も伝わり、他の応募者との差になります。同じ業界の法人営業でも、担当する企業規模や商材、営業スタイルは会社によって異なります。「法人営業であればどこでもいい」というように見える内容だと企業研究不足の印象になるため、求人情報や採用ページに書かれている内容を参考に、自分の経験と結びつけて書きましょう。
経験を「場面・行動・結果」の形でまとめる
「提案が得意です」「お客様と関係を築いてきました」という伝え方では、実際に何ができるのかが伝わりません。「どんな場面で、何を実施し、どう変わったか」の流れでまとめると、経験の中身が伝わります。法人営業の経験がない場合も、接客・販売・カスタマーサポートなどで、相手の要望を聞き取り、提案や対応につなげた経験を示しましょう。売上目標の達成率、対応件数、担当顧客数などを添えると、経験の規模や成果が伝わりやすくなります。
これまでの経験を活かせる業務と今後広げたい業務を分けて伝える
自身の経験と応募先の担当業務を照らし合わせ、今のスキルや強みで貢献できることを書きましょう。あわせて、将来担いたい業務や目指したい姿もひと言添えると、採用担当者が入職後の成長をイメージしやすくなります。
法人営業は、新規開拓営業かルート営業か、また提案型営業としてどこまで関わるのかで、求められる動きが変わります。「なぜその企業か」と「経験を活かせる業務」は、応募先が新規開拓・既存顧客対応・提案活動のどこを重視しているかに合わせて書き分けましょう。
法人営業の志望動機のNG例と対策
以下のような書き方は、採用担当者に「志望動機が薄い」と受け取られる可能性があります。
| 「提案力があります」「粘り強さが強みです」など、どの顧客に何をしたか裏付けのない自己評価だけで終わっている。 |
💡対策
採用担当者は、実際の仕事でどのように行動してきたかを見ています。たとえば、顧客の課題をどう聞き取り、どのように提案を見直し、受注・継続・追加提案につなげたのかなどを具体的に示しましょう。
| 「貴社の商品を広めたい」など、商品の良さを伝えること自体が目的になっている。 |
💡対策
法人営業は商品を売るだけでなく、顧客の課題を把握し、解決につながる提案を行う仕事です。どの顧客にどのような価値を提供したいかを軸に書き直しましょう。
| 「法人営業として成長したい」「提案営業に挑戦したい」など、職種への関心だけで応募先を選んだ理由が書かれていない。 |
💡対策
職種への関心は志望動機の出発点ですが、それだけでは「なぜこの会社か」が採用担当者に伝わりません。商材・顧客層・営業体制など、求人情報や採用ページから「この会社だから」と言える理由を1つ見つけ、自分の経験と結びつけて書きましょう。
| 「インセンティブが高い」「土日休みだから」など、待遇・勤務条件が志望理由の中心になっている。 |
💡対策
待遇は応募先を選ぶきっかけの一つですが、志望動機の中心に置くと貢献意欲が伝わりません。顧客の課題解決と、法人営業として積み上げたい成果を軸に書き直しましょう。
法人営業の志望動機例文
法人営業の志望動機の例文として、営業タイプ別の法人営業経験者向け3例と、個人向け販売・営業から法人営業へ挑戦する法人営業未経験者の1例を紹介します。経験や応募先の特徴に合わせて活用してください。
【経験者】新規開拓の経験を活かして転職する
| 貴社が中堅企業向けに業務改善サービスを広げている点に共感し、新規開拓の法人営業を志望いたしました。現在はIT企業でSaaSの新規開拓を3年間担当し、中小企業への架電と訪問から月10件前後の商談を創出してきました。商談前には業界別の課題仮説を準備し、ヒアリング内容に応じて提案内容を調整してきました。年間では15件の新規受注につなげました。貴社ではより規模の大きい企業への提案に挑戦し、初回商談の質を高め、受注につながる提案を行い業績向上に貢献したいと考えています。 |
「月10件の商談創出」という数字で業務量を示し、架電・訪問から商談につなげるまでの行動量が伝わります。「業界別の課題仮説を準備し、ヒアリング内容に応じて提案を調整した」というプロセスは、商品説明にとどまらない提案型の営業スタイルを示しており、採用担当者が入社後の動き方をイメージしやすくなります。より規模の大きい企業への挑戦を志望理由にすることで、転職の目的が前向きに伝わります。
【経験者】ルート営業での既存顧客対応の経験を活かして転職する
| 法人営業として40社を担当し、四半期ごとの定期訪問を行ってまいりました。単なる御用聞きにならず、契約更新の3ヶ月前から利用状況を分析し、解約リスクを先読みした提案を徹底いたしました。導入効果の不透明さから更新を迷われていた顧客には、独自の「効果測定レポート」を作成・提案し、課題を早期解決いたしました。結果、担当期の契約更新率は前年比10%増の95%を達成いたしました。貴社でも課題を先回りして捉え、貢献いたします。 |
「40社担当・四半期訪問」という担当規模を示した上で、契約更新前の課題に対して自ら改善策を講じたエピソードを盛り込んでいます。受け身の対応ではなく、課題を先読みして動いた経験を示すことで、御用聞き営業との差別化になります。契約更新率という成果指標と結びつけることで、改善の効果が採用担当者に伝わりやすくなります。
【経験者】提案営業の経験を活かして転職する
| 扱うサービスを変えて新しい課題解決に挑戦したいと考え、貴社の製造業向け業務改善ソリューションの提案営業を志望いたしました。前職ではSaaSの提案営業として既存顧客50社を担当し、課題のヒアリングから年間30件の提案を行い、うち10件の受注につなげました。複数部署が関わる案件では、各部門の要望や懸念点を確認し、顧客企業内の稟議や比較検討に必要な情報を整理し、提案資料に反映してきました。貴社が製造現場の業務効率化を支援するソリューションを展開している点に魅力を感じており、顧客の課題に合わせた提案を行い、導入後の継続的な活用まで支援することを通じて、貴社の業績に貢献をしたいと考えております。 |
「50社担当・年間30件提案・10件受注」という数字で提案活動の規模と成果を示しています。商材を変える理由を前向きに説明することで、転職目的の説得力が増します。複数部署が関わる案件で稟議を想定して情報を整理した経験は、提案営業特有の関係者調整力をアピールできる点として採用担当者に評価されやすいです。
【法人営業未経験・BtoC】接客のヒアリング力を活かして転職する
| 個人向け販売で培ったヒアリング力を、顧客企業の課題解決に活かしたいと考え、貴社の法人営業を志望いたしました。アパレル店舗では3年間、来店客の用途や予算を確認し、ニーズに合う商品を提案して月間売上目標を◯%で達成してきました。貴社が中小企業の業務課題に独自のサービスで応えている点に共感し、新規開拓営業として顧客企業の課題に向き合いたいと考えています。入社後は新規リストへの架電・訪問から商談を創出し、ヒアリングを通じた提案で新規受注に貢献したいと考えています。 |
未経験から法人営業へ転職する場合、「これまでの顧客対応経験がどう法人営業に活きるか」を明確につなげることが最大のポイントです。接客・販売・カスタマーサポートなど職種は異なっても、顧客のニーズをヒアリングし提案につなげた経験は法人営業の課題ヒアリングと結びつけられます。売上目標や対応件数など数字で実績を示すことで、成果を意識して動いてきたことが伝わります。入社後の貢献を「新規受注」など具体的な成果で示すと、貢献意欲が採用担当者に伝わりやすくなります。
法人営業への転職でよくある質問
求人情報で営業タイプが明確に記載されていない場合はどう書けばよいですか
求人情報で募集の中心になっているタイプに合わせるのが基本です。新規と既存の比率、担当社数、評価指標を見て、自分の経験が重なる側を選びます。どちらも担う募集では、まず経験を活かしやすい業務を中心に書き、もう一方は今後広げたい業務として示すとよいでしょう。
個人営業(BtoC)から法人営業へ転職する場合、アピールすべきことは何ですか
BtoCで培ったヒアリング力や提案経験は、法人営業でも十分アピールになります。個人と企業では意思決定の構造が異なるため、「顧客企業内の複数の関係者や決裁プロセスを踏まえた提案力を身につけたい」「企業の課題解決に関わりたい」という前向きな理由を軸にしましょう。また、担当したい営業タイプ(新規開拓・ルート・提案)を明示すると、採用担当者が入社後の活躍をイメージしやすくなります。
営業成績を売上・受注件数で書けない場合はどうすればよいですか
社内規定やNDAで具体的な数字を出せない場合、チーム全体の数字しかなく個人数字が示しにくい場合でも、訪問件数・商談数・担当企業の規模や業界など、担当範囲の事実は示せます。数字を出しにくい場合は、顧客の課題をどうヒアリングし、提案をどう組み立てたかのプロセスを書きましょう。失注した経験であっても、断られた理由をどう整理し次回の提案に活かしたかを示すことで、営業としての行動や工夫が伝わります。前後の変化が伝わることが大切です。
まとめ
法人営業の志望動機は、新規開拓か既存顧客対応か、また提案活動にどこまで関わるのかを求人情報で確認し、応募先が求める経験・スキルと自分の経験の接点を4つの要素で組み立てます。法人営業は商品を売るのではなく、顧客の課題を解決する仕事です。「貴社の商品が素晴らしいから広めたい」という内容では、どの課題にどう向き合いたいかが採用担当者に伝わりません。その会社を選んだ理由と、入社後にどのような営業活動で貢献したいかを具体的に示しましょう。
営業職の志望動機を考える際は、次の記事も参考になります。
営業の仕事は顧客や扱う商材によって異なるので、他の職種の例を見たい人は、志望動機・志望理由の書き方で確認できます。
組織人事コンサルティング 株式会社YAGAI 代表取締役CEO
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、転職支援や企業の採用支援、人材育成・組織開発など幅広く人事領域のコンサルティング業務に従事している。


