派遣社員で働いた期間の履歴書の書き方【ケース別見本つき】

派遣社員として働いていた期間を、「履歴書にどのように書けばいいのか分からない」という転職相談は珍しくありません。

そこで本記事では、派遣社員で働いていた職歴を、派遣元・派遣先に分けて記載する方法や退職理由の書き方を、組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏が解説します。

さらに、派遣先が複数あるケースや、複数の派遣元・派遣先を経験したケース、短期・単発、守秘義務があるケースなど、様々なケースごとに履歴書の職歴欄の書き方を、記載例を交えてご紹介します。

派遣社員で働いた期間の履歴書の書き方見本

派遣社員として働いた経験は、「職歴」に該当します。履歴書に記載しないと、場合によってはブランク期間と見なされたり、経歴詐称と誤解されたりする可能性もあります。

履歴書には、派遣社員を含めた全ての経歴を記載するようにしましょう。

そこで、履歴書の書き方の基本ルールと、派遣期間を履歴書に書く際の注意点について解説します。

履歴書の書き方見本と基本ルール

派遣社員の履歴書の書き方は、基本的には社員と同様に勤務を開始した年月と正式社名、退職した年月を記載しますが、派遣元と派遣先に分けて記載するという特徴があります。また、「入社」ではなく、派遣元は「登録」、派遣先は「就業」など、書き方に違いがあるので気をつけましょう。

なお、上記は「登録型派遣」についての書き方になります。

「常用型派遣」の職歴の書き方はこちらへジャンプ

「紹介予定派遣」の職歴の書き方はこちらへジャンプ

派遣期間を職歴欄に記載する際の注意点

派遣期間を履歴書に書く際の注意点について解説します。複数の派遣先や派遣元を経験するケースも少なくないため、応募先企業に正しく伝わるように、分かりやすく記載することが重要です。

【ケース別】派遣期間の職歴欄の書き方とポイント

登録型派遣では、派遣会社に登録後、契約期間（最長3年）つきで派遣先の会社に就業しますが、中には、短期契約で様々な派遣先を経験しているケースもあるでしょう。

そこで、派遣社員として複数の経歴を記載する方法や、常用方派遣・紹介予定派遣の書き方について紹介します。

• 「派遣元は1つだが派遣先が複数」のケース
• 複数の派遣元・派遣先を経験したケース
• 職歴多数などの理由で1行をできるだけシンプルにまとめたい場合
• 守秘義務を伴う派遣先を経験したケース
• 常用型派遣で働いたケース
• 派遣期間中に直接雇用へ切り替わったケース（紹介予定派遣含む）

「派遣元は1つだが派遣先が複数」のケース

派遣元が一貫して同じで、派遣先企業が複数にわたるケースです。

職歴欄には派遣元を記載したあと、派遣先をまとめて列挙すると見やすくなります。

年	月	職歴
20XX	XX	株式会社A（派遣元）に登録
20XX	XX	株式会社B（派遣先）にて事務スタッフとして就業（20XX年X月まで）
20XX	XX	株式会社C（派遣先）にて営業事務として就業（20XX年X月まで）
20XX	XX	株式会社D（派遣先）にて経理アシスタントとして就業（20XX年X月まで）
20XX	XX	株式会社E（派遣先）にて営業事務として就業（20XX年X月まで）
20XX	XX	派遣期間満了につき退職

年	月	職歴
20XX	XX	株式会社A（派遣元）に登録
20XX	XX	株式会社B（派遣先）にて事務スタッフとして就業（20XX年X月まで）
20XX	XX	株式会社C（派遣先）にて営業事務とし就業
		現在に至る

複数の派遣元・派遣先を経験したケース

派遣元が異なる場合は、それぞれの会社で登録・退職日を明記し、派遣先も補足します。

勤務期間が短くても省略せず、簡潔に記載しましょう。

年	月	職歴
20XX	XX	株式会社A（派遣元）に登録
20XX	XX	B株式会社に一般事務として就業（20XX年X月まで）
20XX	XX	C株式会社に営業事務として就業（20XX年X月まで）
20XX	XX	派遣期間満了につき退職
20XX	XX	株式会社D（派遣元）に登録
20XX	XX	E株式会社に一般事務として就業
		現在に至る

職歴が多く、できるだけシンプルにまとめたい場合

「1〜2カ月程度の短期派遣や単発の仕事が多い」「派遣社員と正社員の職歴を合わせて複数に及ぶ」などのケースでは、派遣元と派遣先を1行でまとめて構いません。

履歴書では煩雑にならないようシンプルにまとめ、詳しい職務内容については職務経歴書でアピールしてください。

年	月	職歴
20XX	XX	株式会社A（派遣元）よりB株式会社（派遣先）に事務スタッフとして就業
20XX	XX	派遣期間満了につき退職
20XX	XX	株式会社C（派遣元）よりD株式会社（派遣先）に事務スタッフとして就業
20XX	XX	派遣期間満了につき退職
20XX	XX	株式会社E　入社（正社員）　営業部に配属　営業事務として従事
20XX	XX	一身上の都合により退職
20XX	XX	株式会社F　入社（正社員）　営業部に配属　営業事務として従事
		現在に至る

守秘義務を伴う派遣先を経験したケース

業務上の守秘義務により派遣先企業名や業務内容を公開できない場合は、企業名として「某衣料品メーカー」「某IT企業」などと、業界・職種が分かる程度に記載します。

併せて、「業務内容は守秘義務の関係で記載できません」などと補足します。

面接でも詳細を話せない場合は、その旨を丁寧に伝えましょう。

不明な点がある場合は、派遣元に確認してから記載してください。

年	月	職歴
20XX	XX	株式会社A（派遣元）に登録
		某衣料品メーカーに営業アシスタントとして就業
		業務内容は守秘義務の関係で記載できません
20XX	XX	派遣期間満了につき退職

常用型派遣の場合

常用型派遣とは、派遣会社に正社員または契約社員として入社し、派遣先で就業する働き方です。

基本的には「入社日」からの継続勤務となるため、履歴書でも一つの企業での勤務として記載し、その中で派遣先を補足してください。

また、常用型派遣は無期雇用契約のため「派遣期間満了につき退職」を使うことはありません。

退職時は、社員と同じく「一身上の都合により退職」と記載します。

年	月	職歴
20XX	XX	株式会社Aに入社
		B株式会社に常用型派遣社員として就業
		システムエンジニアとして、システム設計に従事
20XX	XX	一身上の都合により退職

派遣期間中に直接雇用へ切り替わったケース（紹介予定派遣含む）

派遣先企業での勤務後に直接雇用へ切り替わった場合（紹介予定派遣※など）は、その旨と切り替え時期、雇用形態の変化を明記します。

※紹介予定派遣とは、派遣元で「紹介予定派遣」として紹介を受け、派遣先で一定期間（最長6カ月）勤務した後、企業側と本人の合意のもと直接雇用へ切り替える働き方のこと。

▶参考：紹介予定派遣とは・・・│厚生労働省（PDF）（https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000133872.pdf）

年	月	職歴
20XX	XX	株式会社A（派遣元）に登録
		B株式会社に派遣社員として就業（紹介予定派遣）
		経理事務として給与計算業務、勤怠管理業務などを担当
20XX	XX	B株式会社に正社員として入社
20XX	XX	経理事務として給与計算業務、勤怠管理業務、社会保険事務などを担当
		現在に至る

履歴書の「職歴欄」以外の書き方

履歴書を完成させるために、「職歴欄」以外の書き方についても解説します。

履歴書の「基本情報欄（提出日・氏名・住所・写真）」の書き方

• 氏名はフルネームで記載する
• ふりがな欄の表記（「ふりがな」→ひらがな、「フリガナ」→カタカナ）で記入する
• 住所欄の番地・建物名・部屋番号は略さず記載する
• 電話番号・メールアドレスは、日中連絡のつきやすいものを記載する
• 証明写真は、撮影日から3カ月以内のものを使用する
• 一般的なサイズはタテ4.0cm×ヨコ3.0cm（デジタルデータなら縦横比4:3、600×450ピクセルなど）
• 無背景・無帽・スーツ着用・正面を向いた写真を使う
• 日付欄には「提出日（企業に渡す日）」を記載する
• 履歴書全体で西暦・和暦のどちらかに統一する

履歴書の「学歴欄」の書き方

• 履歴書の「学歴・職歴欄」の1行目中央に「学歴」と記入し、2行目から年月と学校名を記載する
• 義務教育の記載は省き、高校から記載する
• 学校名は略さずに、正式名称で記載する
• 大学や専門学校は、学部や学科、専攻コース名も記載する

参考リンク：履歴書の「学歴・職歴欄」の書き方｜ケース別見本・QAあり

履歴書の「免許・資格」の書き方

• 免許・資格の名前は正式名称で種類も記載する
• 「免許」→「資格」の順番、または業務への関連度順に記載する
• すべての免許・資格を書き終わったら、最後に右端に「以上」と記載する
• 免許・資格がない場合は「特になし」と記載する

参考リンク：履歴書「免許・資格」の書き方・正式名称一覧｜TOEIC・簿記・運転免許・教員免許・英検など

履歴書の「志望動機・自己PR」の書き方

志望動機や自己PRは、テンプレートに構成要素を入れると簡単に作成できます。

私は、【①応募企業・職種の特徴】から、貴社を志望いたしました。前職では【②前職の職種・経験】に携わっており、【③応募職種でどのように活かせるか（接点）】と考えております。貴社での業務を通じて【④入社後に挑戦したいこと・成し遂げたいこと】を実現し、事業に貢献したいです。

①応募企業・職種の特徴 ②前職の職種・経験 ③応募職種でどのように活かせるか（接点） ➃入社後に挑戦したいこと・成し遂げたいこと

参考リンク：受かる志望動機とは？志望動機の考え方・書き方を解説

私の強みは【①強み】です。 現職（前職）では、【②職種や役割】として【③経験年数】、【④具体的な業務内容】に携わってきました。 特に【⑤専門分野や強み】を得意としており、【⑥実績や成果】を達成しました。 【①強み】を生かし、今後は、貴社の【⑦志向するキャリア・取り組みたい領域】に貢献したいと考えております。

①強み ②職種や役割 ③経験年数 ④具体的な業務内容 ➄専門分野や強み ⑥実績や成果 ⑦志向するキャリア・取り組みたい領域

参考リンク：自己PRの例文とテンプレート｜履歴書・職務経歴書・面接での書き方、伝え方

 履歴書の「本人希望欄」の書き方

• 特筆すべき希望条件がない場合は、空欄にせず「貴社の規定に従います」と記載する
• 複数の勤務地や職種で募集があり、希望勤務地・職種がある場合に記載する
• 条件を記載する場合は、簡潔かつ配慮ある表現を心がける

参考リンク：履歴書の「本人希望欄」の書き方｜ポイント・記載例・NG例

派遣社員の履歴書の書き方にまつわる質問集

派遣社員の履歴書の書き方でよくある疑問にお答えします。

Q. 派遣先を複数書いたら離職回数が多く見えてしまう？

派遣元が一貫していれば、派遣先の変更は「転職」としてカウントされません。
派遣先ごとに1行にまとめるなど工夫し、読み手がこれまでの経歴を把握できれば問題ありません。

Q. 日雇い派遣の職歴はどう書けばいい？

労働者派遣法では、原則として30日以内の短期派遣（いわゆる日雇い派遣）は制限されています。

ただし例外もあり、「ソフトウェア開発、財務処理、研究開発、広告デザイン、秘書などの業務」「60歳以上の者」「雇用保険の適用を受けない学生」「副業として従事する者（生業収入が500万円以上）」などは日雇い派遣として認められています。

こうした日雇い派遣で働いた職歴を全て詳細に記載する必要はなく、応募先企業に関連性のあるものや自分の強み・スキルをよりアピールできるものに絞って記載するといいでしょう。

Q. 職務経歴書にはどう書く？

職務経歴書には、より詳しい業務内容や実績を記載します。履歴書の職歴欄で業界・業種がわかるよう簡潔に伝え、詳細を職務経歴書で補完する、という形が一般的です。

詳しくは「職務経歴書の書き方ナビ｜見本と職種別例文サンプルで簡単作成」記事をご覧ください。