不動産の志望動機で説得力を出す書き方|例文と採用担当者が見るポイントを解説

この記事でわかること
- 賃貸・売買・事務の職種別に確認すべき求人情報がわかる
- 採用担当者が評価する4つのスキルと志望動機の書き方がわかる
- 職種・キャリア別の例文4本でアピールのポイントがつかめる
不動産業界への転職は、接客・販売・事務など異業種からの応募者も多く、なぜ不動産業界なのか、自身の経験をどう活かすかを志望動機でどう伝えればよいか悩むことがあるでしょう。採用担当者が評価するスキル・4つの要素を使った組み立て方・職種別の例文を紹介します。
組織人事コンサルティング 株式会社YAGAI 代表取締役CEO
目次
不動産の志望動機を書く前に確認しておきたいこと
不動産業界では、賃貸仲介・売買仲介などの事業領域や、営業・事務などの職種によって担当業務が異なります。本記事では主に、仲介営業と不動産会社の事務職を取り上げます。志望動機を書く前に、応募先の職種と担当業務の範囲を確認しておきましょう。
賃貸仲介営業
問い合わせ対応から物件紹介・内見案内、申込・契約手続きまでを担当する職種です。求人情報では、個人向けか法人向けか、取扱物件のエリアと種別、宅建資格の要否を確認しておきましょう。対応する顧客層によって求められるヒアリングの内容が変わるため、どちらを担当するかを把握してから志望動機を書き始めてください。
売買仲介営業
戸建・マンション・土地などの売買仲介を担う職種です。求人情報では、個人向けか投資家・法人向けか、扱う物件の種別とエリア、宅建資格の要否を確認しておきましょう。賃貸仲介と比べて一件あたりの金額が大きく、契約から引き渡しまでの期間が長いため、長期的な関係構築力と丁寧なフォローが重視されます。
事務・バックオフィス
契約書類の作成・管理、物件情報の入力、内見・契約日程の調整、営業担当や関係者との連絡対応などを担います。賃貸管理を行う会社では、入退去や更新手続きを担当する場合もあります。
採用担当者が評価する不動産営業・事務のスキル・適性
不動産会社では、営業・事務など職種によって重視されるスキルは異なりますが、顧客対応、正確な事務処理、関係者との調整など、担当業務に応じた実務力が見られます。採用担当者に強みとして伝わりやすいスキルは以下の4つです。
ヒアリング・提案力
居住条件、予算、通勤、法人の出店条件など、お客様のニーズを整理し、物件を絞り込む力です。個人向けでは住まいや予算などの希望条件、法人向けでは立地・面積・予算・事業上の条件など、担当顧客に応じたニーズを整理する力が求められます。
正確な書類・段取り管理力
契約書類、入居・退去のスケジュール調整、オーナー・入居者・営業担当者との連絡対応など、正確性が重要な業務が数多くあります。一般事務や受付で培った書類管理やスケジュール調整の経験は、不動産事務でも活かせる強みとして伝えられます。
関係者との調整・報連相力
営業からの依頼、管理会社・オーナーへの連絡、不備の早期共有など、複数の関係者との間で情報を共有し、手続きや日程を調整する力が必要です。複数部門にまたがる社内調整の経験は、入居・退去・更新の進行管理でも活かせる実務力として評価されやすくなります。
数値・案件管理力
営業では反響数・内見数・成約率などの数値管理、事務では契約・請求・更新などの期限管理が求められます。自身の職種に応じて、数字や案件の進捗を管理してきた経験を示しましょう。採用担当者が入社後に経験を活かせる業務をイメージしやすくなります。
不動産の志望動機の書き方|4つの要素で組み立てる
不動産の志望動機の書き方のポイントは、以下の4つです。履歴書の志望動機欄は文字数に限りがあるため、以下の要素を盛り込みながら簡潔にまとめましょう。
転職理由・目指したいことを整理する
「なぜ転職するのか」と「不動産業界・この職種で何を目指したいか」を整理します。待遇や職場環境を変えたいという気持ちは転職のきっかけになりますが、それだけでは「条件が合えばどこでもよいのでは」と受け取られる可能性があります。賃貸仲介で住まい探しに伴走したい、正確な書類管理でバックオフィスを支えたいなど、応募先でどう貢献したいか、どんなキャリアを築きたいかという前向きな目的を軸にまとめましょう。
なぜその企業を選んだかを明確にする
応募先の事業内容、対応エリア、取扱物件、顧客層などを調べ、自身が魅力を感じた点とその理由を明確にしましょう。どの会社にも当てはまる内容だけでは、志望動機としては印象が弱くなります。未経験からの応募であれば、応募先が扱う物件や顧客層、そのエリアで事業を展開する点に魅力を感じた理由を具体化しましょう。経験者の転職であれば前職との規模・事業モデルのどこに魅力を感じたかを深掘りすることで、応募先を選んだ具体的な理由が伝わります。
経験を「課題・対応・結果」の形でまとめる
「ヒアリングが得意です」「丁寧に対応してきました」という伝え方では、実際に何ができるのかが採用担当者に伝わりません。「どのような場面で、どのように対応・工夫し、どのような結果につながったか」の流れでまとめると、経験の中身が伝わります。不動産業界が未経験でも接客や事務で顧客の要望を聞き取り、対応してきた経験も応募職種との接点を具体的に示せば強みとして伝えられます。担当した顧客数や契約件数、来店対応件数、売上目標の達成率、リピート率向上など、開示できる範囲で数字を添えると、担当範囲や成果が伝わりやすくなります。
経験を活かせる業務と今後広げたい業務を分けて伝える
自身の経験と応募先の担当業務を照らし合わせ、これまでの経験や強みを活かしやすい業務を書きましょう。あわせて、将来担いたい業務や目指したい姿もひと言添えると、採用担当者が入社後の成長をイメージしやすくなります。
不動産は賃貸仲介・売買・事務バックオフィスで任される業務の比重が変わります。「なぜその企業か」と「自分の経験を活かせる業務」は、求人情報に合わせて書くと、その企業ならではの志望動機になります。
不動産の志望動機のNG例と対策
不動産の志望動機では、根拠のない自己評価や条件面だけを志望理由にすると、応募先でどのように経験を活かせるのかが伝わりにくくなります。
| 「不動産に興味があります」「人と接するのが好きです」など、興味や自己評価のみが書かれており、裏付けとなる経験の記載がない |
💡対策
お客様の要望を踏まえて提案した経験や、契約書類を正確に管理した経験など、エピソードを1つ以上添えると採用担当者に伝わりやすくなります。
| 不動産業界に興味があることは伝わるが、応募先の取扱物件や対応エリアに触れておらず、なぜその会社を選んだのかが伝わらない |
💡対策
応募先ならではの取扱物件・顧客層・対応エリアなどに魅力を感じた理由を示すと、志望理由に具体性が出ます。
| 「休日が多そう」「待遇が良さそう」など、条件面への関心が中心となっている |
💡対策
待遇や勤務条件が応募のきっかけになることはありますが、志望動機では担当したい業務内容と、その企業で活かせる経験をメインに書くと採用担当者に意欲が伝わります。
不動産の志望動機 例文
不動産の志望動機の例文として、職種・キャリア別の例文を紹介します。自身の経験に置き換えて、例文を作成する際の参考にしてください。
【仲介(賃貸)】接客・販売から賃貸仲介営業へ
| 貴社の賃貸仲介営業を志望した理由は、地域に根ざした店舗で住まい探しに伴走できる点に魅力を感じたためです。前職のアパレル販売では3年間、来店客の用途や予算をヒアリングし、提案から購入後のフォローまで担当してきました。業界は未経験ですが、宅地建物取引士証の交付を受けており、重要事項説明など契約時に正確な説明が求められる業務の重要性も理解しています。 貴社の駅前店舗を利用した際、希望条件の整理から内見まで丁寧に対応していただいた経験から、顧客一人ひとりに向き合う姿勢に魅力を感じました。入社後は接客で培ったヒアリング力を活かし、反響対応や物件提案などから経験を積み、契約まで一連の業務を担えるようになりたいと考えています。 |
販売職で培ったヒアリング・提案経験を賃貸仲介営業にどう活かせるかを示し、宅地建物取引士としての知識も補足しています。さらに、実際に応募先店舗を利用した経験を、なぜその会社を選んだのかという具体的な志望理由につなげています。
【事務・バックオフィス】一般事務からBtoC仲介会社の事務へ
| 貴社の事務職を志望した理由は、賃貸仲介の契約手続きや営業業務を、正確な事務処理で支えたいと考えたからです。現在は製造業で一般事務として、受発注データの入力、請求書発行、社内調整を2年間担当し、入力内容を確認する手順を設け、正確な処理と期日管理を徹底してきました。不動産事務は未経験ですが、複数関係者のスケジュールを整理してきた経験は、内見・契約日程の調整や営業担当との連携にも活かせると考えています。貴社は幅広い賃貸物件を取り扱い、営業と事務が連携して契約手続きを進める体制を整えている点に魅力を感じました。入社後は契約書類の作成補助や物件情報の入力、日程調整などから経験を積み、営業を支える事務担当として貢献したいと考えています。 |
一般事務で培った正確な事務処理や期日管理、関係者との調整経験を、不動産事務の契約手続きや営業支援に結び付けています。未経験でも活かせる経験を具体的な業務に置き換えている点がポイントです。
【仲介(法人向け賃貸)】個人向け賃貸仲介から法人向け不動産営業へ
| 貴社の法人向け不動産営業を志望した理由は、賃貸仲介で培った条件整理や交渉の経験を、オフィスや店舗など事業用不動産の提案に活かしたいと考えたからです。前職では個人向け賃貸仲介営業として3年間、反響対応から内見・条件調整・契約まで一貫して担当し、月間成約件数で社内上位の実績を複数回残してきました。法人向けのオフィス・店舗仲介では、立地、面積、賃料、設備、契約条件など、事業上の要件を踏まえた提案が求められると理解しています。貴社はオフィス・店舗仲介の実績が豊富で、担当エリアの市況に精通した提案体制に魅力を感じています。入社後は個人向け賃貸仲介で培った条件整理と交渉の経験を活かし、法人顧客の事業条件に合う物件提案に貢献したいと考えています。 |
個人向け賃貸仲介で培った条件整理・交渉経験を、法人向けのオフィス・店舗仲介にどう活かせるかを示しています。あわせて、応募先の得意領域や提案体制を志望理由に結び付けています。
【仲介(賃貸)】他社から賃貸仲介へ転職する
| 貴社が駅前エリアの賃貸物件を幅広く扱い、入居後のフォローまで一貫して対応している点に魅力を感じ、志望しました。前職の不動産仲介では4年間、個人向け賃貸を担当し、反響対応から内見、条件調整、契約、入居後フォローまで経験しました。反響が集中する時期には、お客様の優先条件を初回対応で整理し、希望に合う物件を絞って早期に内見日程を調整することで、成約までのスムーズな進行を意識してきました。貴社でもヒアリング力と段取り力を活かし、成約率の向上と丁寧な顧客対応の両立に貢献したいと考えています。 |
同職種への転職では、前職で培ったヒアリング・段取りの経験を示すとともに、応募先の取扱エリアや顧客対応の特徴に触れ、「なぜ同じ賃貸仲介でもこの会社なのか」を具体化しています。
不動産への転職でよくある質問
売買仲介と賃貸仲介で志望動機は変えますか
対応するお客様の目的が大きく違うため、志望動機は変えたほうがよいでしょう。賃貸仲介では住まい探しの条件整理や内見対応など短期間での対応力が中心になるのに対し、売買仲介では資金計画や条件交渉を含む長期的な関係構築が求められます。法人向け求人へ応募する場合は、オフィス移転や店舗出店など事業上の条件を踏まえた提案経験を前面に出し、担当してきた顧客・取引内容に合わせて書き直しましょう。
「稼ぎたい」という気持ちは志望動機に書いてよいですか
「給与を上げたい」という動機は転職のきっかけとして自然ですが、志望動機の中心に置くと「条件が合えばどこでもよい」と受け取られる可能性があります。成果に応じた報酬体系に魅力を感じている場合は、「自分のヒアリング・提案力を最大限に発揮できる環境で成果を出したい」という形に置き換えると、意欲として伝わりやすくなります。
「なぜ不動産業界を選んだのか」はどう書けばよいですか
「人の人生に関わる仕事がしたい」という動機はきっかけとして有効ですが、それだけでは他の業界でも当てはまります。引っ越しや物件探しで担当者に助けられた経験、身近な街の変化に関心を持ったきっかけなど、自分の原体験を出発点にすると説得力が増します。そのうえで「なぜ仲介営業なのか」「なぜ事務なのか」など、職種レベルまで絞り込むと、どの企業にも使える内容になるのを防げます。
まとめ
ここまで解説してきたように、不動産の志望動機は求人情報で職種と担当業務を確認したうえで、なぜその企業・職種なのかを自身の経験との接点で整理して書くことがポイントです。「不動産に興味がある」だけでは伝わりにくいため、応募先のエリア・取扱物件・事業モデルに魅力を感じた理由と、これまでの経験をどの業務に活かしたいかをあわせて示しましょう。
その他の職種の志望動機の例文は志望動機の書き方を参照してください。
組織人事コンサルティング 株式会社YAGAI 代表取締役CEO
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、転職支援や企業の採用支援、人材育成・組織開発など幅広く人事領域のコンサルティング業務に従事している。


