転職でオンライン面接を受ける方へのアドバイス
急激な社会情勢の変化により、面接のオンライン化が加速しています。苦手意識を覚える人もいるかもしれませんが、ますます普及していくことは間違いなさそうです。
面接がオフライン(対面)からオンラインへと変わることで、どんな準備や心がけが必要となるのか、組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹さんに話を聞きました。
大きく変化した「オンライン面接」の在り方
これまで面接は対面で行うのが一般的でしたが、実は以前からオンライン面接は一部で実施されていました。
例えば、遠隔地にいる求職者や日中に勤務先を抜けにくい内勤の求職者などに対して、出勤前や退社後にオンラインで面接を行ったり、コールセンターの求職者など、職種によっては非対面での対応を見るためにあえてオンライン面接を実施するケースもあります。
それが最近の社会情勢の変化により、オンライン面接が急速に普及してきました。必要に迫られて導入を始めた企業も少なくありませんが、実際に導入してみてわかったのは、対面で行うのとそれほど遜色がないということ。
何より、オンライン面接は日程調整や来社に要する「時間」、移動交通費などの「お金」、面接する会議室などの「場所」を節約することができ、求職者・採用企業の双方がそのメリットを享受できる点は見逃せません。
近い将来はオンライン面接が主流となり、例えば面接を3回実施するなら「1次、2次はオンライン面接。最終は対面面接」というスタイルが標準となるのではないでしょうか。
オンライン面接に必要なもの
オンライン面接を受ける際、求職者はどのような準備を整えておけばいいのでしょう?
まずは、機器などのハード面を中心に解説していきます。
通信環境と端末
インターネットに接続できる通信回線が必要です。
望ましいのは「Wi-fi環境」が整っていること。レンタル可能なポケットWi-fiでも構いません。オンライン面接はお互いを画面に映して話をするので、途中で画像や音声が途切れるようなことのないよう、Wi-Fi通信の状況を事前に確認しておきましょう。
端末は、パソコンがあると、面接中に資料類を画面で共有する際に便利です。
自宅にパソコンがない人は、スマートフォンでも問題ありません。スマートフォンを使用する場合は、カメラ角度を安定させられるようスマホスタンドを用意しておくと、面接に集中できます。
オンライン面接でありがちなのが、音声の調子が悪くて時間をロスすること。最近のパソコンにはマイクとカメラが内蔵されていますが、マイク付きイヤホンなどを利用したほうが音声はクリアに届けられ、聞き取りやすくもなります。
通信環境と端末が揃ったら、本番で不具合が生じて焦ることのないよう、事前に友人や家族に協力してもらい、画像や音声などが正常に作動することを確かめておくと安心です。
ツール(アプリケーション)
オンライン面接を行うために必要なツール(アプリケーション)は、開催日時やアクセス方法などと一緒に、企業の面接担当者から事前にメールで送られてきます。指定された日時にアクセス方法に従ってログインすると、画面と音声を共有できるシステムになっています。
初めての人は事前にアプリをダウンロードし、使い方を確認しておきましょう。
場所
落ち着いて面接に臨むためにも、自宅からアクセスしましょう。静かな環境を整え、画面に映る背景にも配慮したいもの。背景がゴチャゴチャしていると、面接担当者の気が散ってしまうかもしれません。背景は、できるだけシンプルな無地にしておくのが無難です。
通常の面接と違う、オンライン面接ならではポイントは?
面接時の心構えは、オンラインでも対面でも基本的には同じです。ここでは、オンライン面接ならではのポイントについて解説していきます。
当日の服装と準備
《服装》
服装に関しては対面と同様、スーツ、またはジャケット着用のビジネスカジュアルで臨めばよいのですが、中には「オンラインだから上半身しか映らない」などと油断する人がいます。しかし、立ち上がる状況がないとも限りませんので、上下とも身だしなみを整えておきましょう。
《メモ》
オンライン面接の利点は、目の前にメモを置いても面接担当者の目に触れないこと。自分が言いたいこと、質問したいことなどをまとめたメモを用意しておくと、落ち着いて対応できるはず。先に提出してある職務経歴書などの話になることもあるので、すぐに閲覧できるよう提出書類も用意しておくとスムーズです。
《カメラ角度》
画面に自分がバランスよく収まるよう、カメラの位置や角度を調整しておきます。面接担当者を見て話しているように映るかどうか、自分の視線の位置も確認しておきましょう。ビデオ通話が主力のオンラインサービスにはたいていテスト機能が備わっているため、事前にチェックすることができます。
《そのほか》
ノートパソコンやスマートフォンのバッテリーが途中で切れないよう、残量チェックも忘れずに。些細なことですが、「電話を留守電にしておく」「途中で家族に邪魔されないよう伝えておく」なども、オンライン面接ならではの注意点です。
面接が始まったら
ログインは、指定された時間通りなら問題ありません。早めにログインしておいたほうが安心できるという人は、5~10分前に参加して待機していましょう。
面接中に気になるのは、相手と会話が被ってしまうことです。これをなるべく避けるコツとして、面接担当者の表情を見ながら、画面から“間”を読み取るよう心がけるといいでしょう。
逆に、空白の時間が流れることもあり、「通信が途切れているのでは!?」と不安になることもあります。空白の時間をなくすためにも、話す内容は簡潔にまとめておき、対面面接時にも増して端的に話すことを心がけましょう。
画面を通してなかなか伝わりにくいのが、感情の動きや熱意です。微妙な表情の変化が伝わりにくいため、本人にはそのつもりがなくても、無表情に見えてしまうことがあります。
その打開策は、やや大きめのリアクションを意識すること。集中して聞いていることが相手に伝わるよう、きちんと相槌を打つこと、ときには説明にジェスチャーを交えることも意識するといいでしょう。
面接中に相手の声が途切れ、聞き取れなくなるハプニングは珍しくありません。その場合は、臆せずに「すみません、音声が聞き取れなかったのでもう一度お願いできますか?」と、その場で丁寧に聞き直しましょう。
まとめ
オンライン面接に不安を抱いている人もいるでしょうが、企業担当者もまだ慣れている途上なので、過度な心配は無用です。企業が面接で知りたいことは、対面でもオンラインでも変わりません。大切なのは、準備して臨むこと。
そして、応募先企業を訪問してみなければ感じ取れない雰囲気や、得られない情報があるということも変わりません。この先オンライン面接が当たり前になっても、意思決定の前に一度は企業に足を運んで、実際の会社の雰囲気を体感してから決断するといいでしょう。
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