60代×6社経験×四国へのIターン転職。候補者の強みや価値観と向き合い、企業のピンポイントニーズを解決するマッチングを実現
“GOOD AGENT AWARD 2020”特別賞

2020年12月22日公開最終更新日：2022年6月9日

株式会社リージェント吉津雅之氏

中高年のIターン・Uターンは決して簡単なことではない。50代・60代になって新天地に入り、まったく新たな仕事に就くのだから、不安やとまどいは大きいはずだ。吉津氏は、60代新規事業リーダーの四国Iターンを丁寧に支援して実現した。どのような工夫があったのだろうか。

新規事業は新社長のビジョンの象徴となるチャレンジ
最初に履歴書を見せれば弾かれてしまう可能性があった
家賃や物価水準の低下を細かく説明して希望年収を調整

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新規事業は新社長のビジョンの象徴となるチャレンジ

四国を中心に菓子店などを展開するM社は、社長交代のタイミングで新たな幹部人材を求めていた。Iターン・Uターン転職を含めた四国の転職を支援するリージェント・吉津氏は、M社の新旧社長・経営陣との話し合いを重ね、まず新たな幹部社員を2名紹介して、社内キックオフに同席できるほどの信頼を得た。M社により詳しくなった吉津氏が、次に依頼を受けたのが新規事業リーダーの募集案件だった。

新規事業は、新社長のビジョンの象徴となるチャレンジだ。単に食材を販売するだけでなく、地域コミュニティの拠点となり、まちづくりにも積極的に関わるビジネスである。M社の従来店舗とは違う食材を提供するため、その食材を扱った経験のある新たな人材に任せたいという意向が強かった。また、新店舗には新入社員を積極的に配置し、リーダーに新人育成を担ってもらいたいとも考えていた。「新社長が構想した新規事業を具現化しながら、新人育成を行い、地域コミュニティとも連携してまちづくりを推進していただく。難易度の高い仕事でした。経験豊かなリーダーが見つかるとよいと思いながら、候補者リサーチを進めて行きました。」（吉津氏）。

最初に履歴書を見せれば弾かれてしまう可能性があった

転職サイトで募集案件に応募してきた1人が、Nさんだった。「正直なところ、プロフィールを見た時点では、期待と不安の両方がありました。飲食店チェーンや食品メーカーでの経験が豊富で、新規事業の食材にも精通していましたが、60代で6社を経験しており、これから新規事業を任せられる方なのか、プロフィールだけではわかりませんでした。また、住んだことのない四国にIターンすることにも不安がありました。しかし、実際にお会いして印象が一変しました。Nさんは想像の範疇を超えるほど若々しく、エネルギーに溢れており、自分がもっと役立てる場所でチャレンジしたいという想いの強い方でした。また、職歴を具体的に伺って、経営マインドや企画力も十分にあるとわかりました。Nさんなら、M社の新規事業リーダーとして必ず活躍していただける。将来は、新社長を支える右腕となっていただけるかもしれない、と思いました。私は、第一候補としてNさんをご紹介しようと決めました」（吉津氏）。

しかし、最初に履歴書を見せれば、年齢や転職回数で難色を示されてしまう可能性がある。吉津氏は一計を案じた。新社長に直接プレゼンテーションを行い、候補者の人物タイプやこれまでの経験、決断の背景なども説明した上で、面接の了承を得たのだ。また、吉津氏は一次面接に同席し、面接時のNさんを直接サポートした。一次面接後には、新社長から「想像していたよりもお若いですね」「誠実な方で安心しました」といった感想をいただけた。その後はスムーズに進み、2度の面接を経て内定が決まった。

家賃や物価水準の低下を細かく説明して希望年収を調整

一方で、吉津氏はNさんのフォローにも注力した。「Nさんにとって、初めて住む四国へのIターン転職でしたから、面接でいらっしゃるたびに、新規事業の出店予定地を中心にして市街地をご案内し、少しでもまちに慣れ親しんでいただく努力をしました。また、大都市圏企業から地域企業への転職ということで、希望年収と実際年収との間にどうしても開きが出てしまったのですが、四国では家賃や物価水準が下がることなどを細かく説明して、希望年収を調整していただきました。他にも、入社後に起こりえることや四国についての情報をできる限り伝えるようにしました」（吉津氏）。

最終的には、Nさんが新社長のビジョンや人柄に共鳴し、「新社長の力になりたい」と思っていただけたことが決め手となって、Nさんは入社を決断した。もちろん、吉津氏の案内や情報提供も後押しとなっているだろう。現在は、新規事業店舗のリーダーとして、新人たちに囲まれながら、新天地でのチャレンジをイキイキと楽しんでいる。