初のハイキャリア人材採用を行う企業で受け入れ体制整備に尽力。入社後、求職者が活躍・定着できる土壌を築く　“GOOD AGENT AWARD 2018” 大賞・金賞

2018年11月6日公開最終更新日：2022年6月9日

株式会社リージェント　加地盛泰氏

製造プロセス改革を遂行できる人材を、香川の紙・綿製品メーカーへ。加地盛泰氏は、老舗企業の未来をも左右する、「社長の右腕」となり得る人材のマッチングに成功した。

製造プロセス改革が急務の老舗企業
ハイキャリアの採用は準備と立ち上がりが重要
入社後の活躍なくしてマッチングに成功なし

製造プロセス改革が急務の老舗企業

加地盛泰氏が担当するA社は、香川県に本社を置く従業員数200名の紙・綿製品メーカー。国内トップシェア製品を含む、約300アイテムを手がける企業だ。大手にはできない「少量多品種生産」が特徴の同社では、アイテムごとに製造ラインの切り替えを繰り返しながら生産を続けてきたが、生産効率が課題となっていた。設備増強はコスト的に難しい。しかも製造プロセス改革を遂行できる人材は社内にいない。「ニッチトップ」を掲げ、次のステージへ向かおうとするA社では、この製造プロセス改革を遂行できるスペシャリストの外部からの採用を決断する。

A社とは、約10年前からお付き合いがあった加地氏。社長の思いや実情を知り尽す加地氏が白羽の矢を立てたのは、和歌山在住の59歳・Iさんだった。Iさんは大手総合文具メーカーで小ロット多品種型の工場運営全般の経験を積んできた人物。関連会社の代表取締役社長を務めてきた経験もある。加地氏が会ったとき、Ｉさんは役職定年を57歳で迎え、“第一線”からは離脱。再雇用制度を活用すれば定年後も働き続けられるが、やりがいを持てる仕事に就ける可能性を考えたい――転職すべきか検討をしていた。

ハイキャリアの採用は準備と立ち上がりが重要

「Iさんは今まで培ってきた経験を、責任ある立場で生かしたい、まだまだやりがいを感じられる仕事を続けたいと、熱く語ってくれました。トップマネジメント経験があり、考えを人に伝えるのが上手で、傾聴力も確かな方でした。面談して、『Iさんだったらイケる！』と確信しました」と、加地氏。

そこで加地氏は、IさんをA社社長に引き合わせ、2回の面接にも同席した。2回目の面接では、社長自ら工場内をIさんに案内。「Iさんは工場を見ながら、改善できそうなのはどこか、その場で社長に伝えておられ、社長も、それで問題点がクリアになっていった様子でした」

Iさんは、A社にとってぜひ入社して欲しい人材。しかし2回の面接後に社長が提示した内容を見て、加地氏は驚く。

「Iさんの希望条件と比べると、ズレがある金額が提示されていたのです。そこで社長にハイキャリア人材の採用に関する相場感を改めて詳しくご説明しました。加えて、製造部長として事業推進の権限をしっかりと与えて欲しい、そうすればIさんはより実力を発揮するであろうことなども。また、A社は交通の便が良くない場所にあるので、Iさんに社用車を使えるようにしてもらえないかなど、細かなところまで交渉しました」

加地氏の説得が実を結び、Iさんも納得できる条件でA社に入社。しかし加地氏の“仕込み”はそれだけで終わらなかった。

「役職者の中途入社は、大なり小なり既存社員からの反発があるものです。そこで社長に『Iさんが入社することの重要性を、きちんと皆さんに伝えておいてください』と。社長がそうしてくださったおかげで、Iさんの入社直後から『Iさんがうちにきてくれて良かった！』という社員の方々の声が、私のところにも届いてきたのは、本当に嬉しかったですね」

入社後の活躍なくしてマッチングに成功なし

A社では工場の生産性が上がり、自社ブランド比率も上昇中。この陰にIさんの活躍があることは間違いない。また現在、Iさんは社長にとっては“経営者の悩み”を相談できる相手、つまり「右腕」のような存在となっている。製造部長としての役目だけでなく、商品開発、生産技術、原価・生産管理、品質管理の部門長も兼任し、中核社員を育成する役目も担っているそうだ。

「Iさんが入社して約１年半が経ちました。ハイキャリアのマッチングにかかわらず、私が大事だと思うのは、求職者が入社後に定着して活躍してくださること。それが、企業の課題解決や、目指す姿に繋がっていくと考えます。これからも、スペックマッチだけでは叶えられない丁寧なサポートを、全方位的に行っていきたいと思います」