気楽に生きる方法とは?ストレスを軽くする働き方・日常生活のコツを紹介

常に気を遣っていたり、気が張り詰めたりしていたりすると、疲労が蓄積してくるもの。メンタルが不安定になり、ふとしたことで落ち込みやすくもなります。
「もっと気楽に働きたい」「もっと気楽に生きたい」と思う人は少なくないようです。なぜ気楽に生きられないのか、どうすれば気楽に生きられるのか、『ストレスフリー超大全』『感謝脳』の著者であり、YouTubeチャンネルでも人気が高い精神科医、樺沢紫苑(かばさわ しおん)さんがアドバイスを送ります。

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人生を気楽に生きられない人の特徴とは

人生を気楽に生きられない人とは、どのような人なのでしょうか。まずは自身の傾向と照らし合わせてみましょう。

目標設定が高すぎる

目標や理想は、高く設定するのが「良いこと」と刷り込まれている人は少なくないようです。もちろん高い目標を目指すのは悪いことではありませんが、「高すぎる目標」によって自分自身を追い込み、ストレスを増やすケース、目標達成に届かず落ち込むケースがよく見られます。

日々の「ToDoリスト」を作成する際、1日で終わらないような量のToDo項目を書いてしまう人も同様です。

完璧主義/減点思考である

物事を二者択一で判断する思考パターンを「0-100思考(ゼロヒャク)」と呼びます。精神医学では「二分法的思考」とも言われます。これはメンタル疾患になりやすい人の特徴です。このタイプの人は考え方が極端で、99%成功を収めていても、1%のミスで「失敗した」と判断して落ち込みます。

仕事やプロジェクトにおいて、うまくいったこともあるはずなのに、「うまくいかなかった」「できなかった」ことばかりにフォーカスしてしまう「減点思考」もこれに近いといえるでしょう。

周りの目を気にしすぎる

自分が周囲からどのように見られているか、他者からの評価を常に気にしてしまう人もいます。それにより、気持ちが張り詰めた状態が続いてしまいます。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

人生を気楽に生きるための方法とは

気持ちが張り詰めたり、強いストレスを感じたりしたとき、どのような思考・行動を心がければ気分が楽になるのかをご紹介します。自身の状況に応じて、ヒントにしてください。

目標に対する結果を「フィードバック」する

気楽に生きるためには、「高すぎる目標を設定しない」ことが重要です。そして、目標に届かなかったとき、謙虚に反省することは必要ですが、自分を責めることはやめましょう。自分を責めたり悔んだりする暇があるなら、「フィードバック」に振り向けてください。「なぜうまくいかなかったのか」「次に成功するために何ができるのか」を考えるのです。

例えば、自分の失敗を補うために「本を読む」「セミナーを受講する」といった行動によって、成長につながる実感を得られれば、自己肯定感が上がり、気持ちも軽くなるでしょう。

「70点」を喜ぶ

一つの仕事やプロジェクトを終えたとき、100点満点でなかったとしても「あれがダメだった」「これができなかった」と悲観しないでください。平均点程度を取っていれば、一定の評価はされるものです。「70点」など、ぼちぼちの成果であっても、「できたこと」「うまくいったこと」に注目して喜べばいいと思います。

減点ポイントばかりを気にすると、チームメンバーに対してもネガティブな言葉を投げかけてしまいがち。それでは職場の空気も張り詰めてしまいます。「あのとき手伝ってくれてありがとう」といった感謝の言葉、「ここは頑張ったよね」と、ポジティブな言葉がけをしましょう。そうすればチームの空気も和み、お互いに楽しく仕事ができるようになるでしょう。

「コントロール感」を持つ

同じ仕事をしていても、メンタルを病む人と生き生きと働いている人がいます。その差は、資質や能力に限らず、「やらされ感を抱きながら、嫌々こなしている」か「自身で工夫しながら主体的に取り組んでいる」かによることもあります。

自分の意思で決めたことをやるのは、大変であっても楽しいものです。管理職でなければ裁量権は限られているとしても、自分なりのやり方で、自分でプランやスケジュールを立てることで、「コントロール感」を持つことができるでしょう。

自分自身を観察し、自分の「軸」を定める

人の視線や評価が気になって常に緊張しているのであれば、他人の様子をうかがうのではなく、自分自身に目を向けて観察しましょう。「自分は何をしたいのか」「自分は何を強みとするのか」が明確でないため、他人の目が気になってしまうのです。

自己分析によって、自分がやりたいこと、自分の強みを認識すれば、「誰に何を言われようが自分はこうだ」と胸を張ることができ、気持ちも楽になるでしょう。

ポジティブな言葉を発する

気楽に生きられない人は、「緊張してきた」という言葉を発しがちです。それを口にすると、脳はそちらの方へ向かっていき、さらに緊張してしまいます。ですから、「大丈夫、大丈夫」「きっとうまくいく」など、自分を励ますポジティブな言葉をあえて発するようにしましょう。

また、書籍やWebには「名言集」がたくさんありますので、自分に勇気を与えてくれるフレーズをピックアップしておき、読み返すのもいいでしょう。声に出して読むと脳に入りやすくなります。

「感謝日記」をつける

夜寝る前に今日1日を振り返り、良かったことを記す「感謝日記」をつけることもお勧めです。特に良い出来事がなくても、「事故もなく健康に過ごせた」「ミスなく仕事を終えた」「上司に怒られなかった」といったことでもいいのです。平穏無事に過ごせたことに感謝し、「当たり前の幸せ」を感じることが大切です。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

「気楽に生きられない」は、生活習慣にも原因がある

冒頭、気楽に生きられない人の特徴を挙げましたが、実は特徴に関わらず、生活習慣による「脳疲労」によって気が休まらない可能性も考えられます。

スマホで動画やSNSを見たりゲームをしたりして夜更かしし、慢性的に睡眠不足になっている人は多いのではないでしょうか。ストレス解消のためにそれらをしているかもしれませんが、面白いコンテンツを見ると脳は興奮して疲れてしまいます。

人間の脳にある「扁桃体」が興奮すると、不安を感じます。通常は「前頭前野」がそれを抑制します。前頭前野とは、考える・記憶する・感情をコントロールするといった脳の司令塔なのですが、脳が疲れてくると、前頭前野の働きは鈍くなります。

そのため、物事をネガティブに捉えたり不安を感じたりするのです。そんな毎日を繰り返していると、気楽には生きられないでしょう。

つまり、1週間でも2週間でも夜更かしをやめてしっかりと睡眠をとれば、張り詰めて余裕がない状態は改善できる可能性があるのです。

人生を気楽に生きるための日常生活のコツ

脳疲労を招くような生活を改善することも、気楽に生きるコツといえるでしょう。

Z世代は、「タイパ(タイムパフォーマンス)」を重視する傾向があります。スキマ時間を利用して予定を入れたり、スマホをチェックしたりする人も多いようですが、脳科学的にはパフォーマンスを落とす行動といえます。脳疲労を防ぐには、ぼーっと過ごす時間を持つことが大切です。

特に夜の時間帯には、のんびり過ごすことを意識しましょう。ゲーム・ドラマ・映画・動画・SNSなどを見て楽しんでもいいのですが、それらは脳を刺激して興奮させ、疲労させます。お風呂に入ってから寝るまでの間、15分でも30分でもいいのでリラックスタイムを設けてください。5分~10分程度、今日1日を振り返ったり、日記を書いたりするのもいいでしょう。

●人生を気楽に生きるコツ

  1. 「うまくいったらラッキー」くらいに考える
  2. 無理のないスケジュールで仕事する
  3. 自分と人を比べすぎない
  4. 自分の好きな言葉を読み返す

樺沢紫苑(かばさわ しおん)氏_プロフィール画像

精神科医、作家、映画評論家 樺沢紫苑(かばさわ しおん)氏

1965年、札幌生まれ。1991年、札幌医科大学医学部卒。札幌医大神経精神医学講座に入局。大学病院、総合病院、単科精神病院など北海道内の8病院に勤務する。2004年から米国シカゴのイリノイ大学にてうつ病、自殺について研究。帰国後、東京にて樺沢心理学研究所を設立。 精神医学の知識、情報の普及によるメンタル疾患の予防を目的に、YouTube、Facebook、メールマガジン、Twitterなどを通じて累計約100万人に、精神医学、心理学、脳科学の知識、情報をわかりやすく発信している。著書に『アウトプット大全』(サンクチュアリ出版)など。著作50冊目となった近著は『19歳までに手にいれる7つの武器』(幻冬舎)がある。

取材・文:青木典子 編集:馬場美由紀
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