【例文あり】急遽いけなくなった場合のお詫びメールの書き方と注意点

天候不良による交通トラブルや業務トラブル、体調不良や家庭の事情などにより、顧客や取引先と予定していたアポイントに急に行けなくなってしまった場合、どのように連絡すればいいのでしょう?ここでは、メールで急遽行けなくなったことを伝える際のポイントや注意点について、伝える力【話す・書く】研究所所長、山口拓朗ライティングサロン主宰・山口拓朗さんに伺いました。

お詫びメールを打つビジネスパーソン
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急遽行けなくなったら、まずどうする?

予定のキャンセルをお願いするメールは、ビジネスメールの中でも難易度が高いものの一つです。やむにやまれぬ事情であっても、中には「せっかく時間を空けたのに」と気分を害する人もいるでしょう。

約束を断ることは相手のスケジュールを狂わせることになります。以下の点に注意して、キャンセルメール作成に臨みましょう。

行けないとわかった時点ですぐに対応する

アポイント当日の急なキャンセルの場合は、基本的にはまず電話で一報を入れます。最近は電話で時間を奪われるのを嫌がる人もいますが、緊急の場合は別。まずは確実に連絡が取れる電話で、状況を報告しましょう。

ただ、行けないことが前日までにわかった場合や、前日夜や当日朝など先方が就業時間外の場合は、すぐにお詫びを記したメールを送りましょう。前日までにわかれば、スムーズに予定の再調整ができますし、当日朝までにメールが送られていれば「行けないと判明した時点で何とか連絡を取ろうとしてくれた」ことが具体的な時刻とともに伝わります。

お詫びの気持ちを前面に出す

忙しい中、無理に時間を割いてくれた可能性もあるので、たとえ交通トラブルなど自分に落ち度がない場合でも、丁寧かつ謙虚にお詫びをする姿勢が大切です。くれぐれも、「突発的な事態で避けようがなかったのだから仕方ない」というニュアンスを出さないこと。相手のスケジュール変更を余儀なくすることに対し、誠心誠意お詫びしましょう。

重要なアポイントの場合は、お詫びの言葉を重ねる

重要なアポイントの場合は、お詫びの言葉を何度か繰り返すことが重要です。メールでは、お詫びしているこちらの表情や姿は見えないため、言葉で示すことがポイント。重要度が高いアポイントであればあるほど、少々オーバーなぐらいお詫びの言葉を重ねたほうが、申し訳ないという思いが伝わりやすくなります。

例えば「当日にも関わらず本当に申し訳ございません」「不徳の致すところです」など、言葉を変えながらお詫びし、最後に「重ねてお詫び申し上げます」と付け加えるのは一つの方法です。

日程の再調整は先方に主導権を渡す

日程の再調整については、キャンセルした側から具体的な日程を提案するのは避けたほうが無難です。「断ってきたのはそちらなのに、日程調整の主導権を握るのか」と不快感を抱く人もいます。

「来週以降で、○○様のご都合はいかがでしょうか?」などざっくりと目安を示すにとどめ、最終的には相手の都合に合わせるようにしましょう。

ただし、体調不良でキャンセルする場合は、「体調が戻り次第、改めて日程調整の連絡をさせていただきます」と日程調整を先延ばしするのがベター。体調が戻らず再調整し直すことになると、さらに相手に迷惑をかけることになるからです。仕事復帰後にこちらから連絡を入れ、改めて相手に日程を決めてもらうようにしましょう。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

キャンセルメールの基本構成・書き方

キャンセルメールを送る際には、以下のステップでまとめましょう。

お詫びメールを打つビジネスパーソン
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Step1:行けなくなった理由を伝える

まずは、急遽行けなくなった理由を伝えましょう。「急な業務トラブルが起こってしまった」「インフルエンザにかかってしまった」「家族が倒れてしまった」「交通トラブルで新幹線が止まってしまった」など、相手が「そういう理由ならば仕方ない」と思える理由を簡潔にわかりやすく伝えることが大切です。

Step2:真摯な姿勢でお詫びする

行けないという事実と理由を伝えた上で、真摯にお詫びしましょう。事情がどうあれ、急な予定変更で相手に迷惑をかけるのは事実。申し訳ないという気持ちを十分に伝えましょう。

Step3:日程調整の提案&リカバリー案を提示する

理由とお詫びを伝えたら、日程の再調整について相談しましょう。もしキャンセルすることによって生じるマイナスがあるならば、それをどう埋めるかといったリカバリー案を提示することをお勧めします。

例えば、商談をキャンセルするのであれば「提案内容をブラッシュアップし今週中に送り直しますので、来週以降で日程の再設定をお願いできないでしょうか?」。取引先で作業の予定をキャンセルするのであれば「自社でできる作業を進めておきますので、改めて日程調整をお願いできないでしょうか?」など、相手に起こる不都合を埋める提案をすることが大切です。

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キャンセルの理由別にメールの例文・お詫びポイントを紹介

急遽行けなくなった理由別に、キャンセルメールの例文をご紹介します。同じような状況に陥った際は、ぜひ参考にしてみてください。

災害・天候などで交通機関が乱れている場合

本日、貴社に伺う予定でしたが、台風により飛行機の欠航が確定してしまいました。他の交通手段も検討したのですが、新幹線も運休となったため、大変申し訳ありませんが本日のアポイントを延期させていただけないでしょうか。今週いっぱいは台風の影響が残ることが予想されるため、差し支えなければ来週以降で、○○様のご都合を教えていただければ幸いです。せっかく日程をご調整いただいたにも関わらず、大変申し訳ございません。重ねてお詫び申し上げます。

●メッセージポイント

他の交通手段がないかどうか確認した上で、「万策尽きた」ことを伝えましょう。先方に「別の方法なら来られたのではないか…」と不信感を抱かせないことが大切です。

例文は遠方への出張のケースですが、近隣の企業の場合は一つの路線が動いていなくても、他の路線を乗り継いだり、タクシーやバスなど別の交通手段を用いたりすることが可能な場合があります。

それにより、予定の時刻に遅れそうな場合は電話を入れるか、もしくは「○○線が止まっているため、地下鉄を乗り継いで伺います。そのため、お約束の時間に遅れてしまう可能性があります」などとメールを入れておくといいでしょう。

業務上の事情による場合(急なトラブルなど)

本日14時に打ち合わせに伺う予定でしたが、先ほど弊社で大規模なシステム障害が発生してしまい、システム部一同、対応に追われております。せっかく日程調整いただいたにも関わらず、このような状況に陥ってしまい誠に申し訳ありませんが、打ち合わせを後日に延期させていただけないでしょうか?
差支えなければ、〇日以降で皆さまのご都合がいい日程をご提示願えれば幸いです。本日の打ち合わせでお渡しする予定だった○○システムの資料は、本日中にメールにて送らせていただきます。それをもとに、改めてご説明・ご提案させていただければと存じます。直前のご連絡になってしまい、大変申し訳ございません。さらにもう一段、提案内容を充実させて臨みたいと考えておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。

●メッセージポイント

業務上の事情によるキャンセルは、相手の納得が得にくいケースもあります。中には「うちよりも他の仕事を優先させるのか」など、必要以上にネガティブ捉える人もいるので、「それならば仕方ない」と思える理由を明確に提示しましょう。場合によっては、やや大げさに伝えておくのも一つの方法です。

家庭の事情(身内の体調不良や事故など)の場合

本日13時に貴社に伺う予定でしたが、家庭の事情により伺えなくなってしまいました。子どもが急に熱を出してしまったのですが、私以外の家族がどうしても都合がつかず、急遽保育園に迎えに行くことになってしまったためです。大変申し訳ございません。こちらの一方的な都合で恐縮なのですが、本日の予定を延期させていただけないでしょうか?直前のご連絡になってしまった点につきましても、重ねてお詫び申し上げます。

明日以降であれば、何かあった場合も家族が確実に対応できるので、○○様のご都合がいい日をご設定願えると幸いです。

もしくは、○○様さえよろしければ、本日16時以降でしたら家族が帰宅し、子どもの世話を交代できるため、17時には伺うことが可能です。大変恐縮ですが、ご検討くださいませ。どうぞよろしくお願いいたします。

●メッセージポイント

子どもの体調不良などで、どうしても迎えに行かねばならないケースもあるでしょう。ただ、そのために大事なアポイントをキャンセルすることに、不信感を抱く人もいるかもしれません。「どうしても自分が行かねばならない」理由を伝え、心からお詫びする姿勢が大切です。

なお、家族が倒れたり、身内に不幸が生じたりした場合は、緊急事態なので事実をストレートに伝えてお詫びを。ただ、病状やけがの具合など、詳細までは語る必要はありません。緊急であることが伝われば、相手も状況を受け入れ対応してくれるでしょう。

体調を崩した場合

○○様、昨日から体調を崩しておりましたが、先ほど病院でインフルエンザと診断されました。大変申し訳ありませんが、本日のアポイントを延期させていただけないでしょうか?大事なアポイントにも関わらず体調管理が行き届かず、ご迷惑をおかけしてしまうことをお詫びいたします。

今週中には回復するものと思いますが、仕事に復帰次第、改めて日程の再調整についてご連絡させていただければと存じます。

月末の慌ただしい中、お騒がせしてしまい重ねてお詫び申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。

●メッセージポイント

インフルエンザやコロナなどの感染症は、先方にうつしてしまう恐れがあります。直前キャンセルも致し方ないことが伝わるので、伝えて差支えなければ、診断名から理解いただくのも1つの手です。それ以外の場合は、「急な体調不良で、この状態で伺っても逆に迷惑がかかる」という事実を伝え、納得を仰ぎましょう。

相手の気持ちに立って、納得のいくメール文面をまとめよう

急なキャンセルの連絡は、相手にとって決して気持ちのいいものではありません。どんな事情があったとしても、「約束をドタキャンするなんてビジネスマナーに反する」「自分は軽んじられているのではないか」などとネガティブに捉える人も一定数います。

したがって、キャンセルメールでは、相手に「そういう事情ならば仕方ない」と思ってもらうことが重要となります。前述したポイントを押さえてメール文面をまとめたら、必ず読み返し、納得してもらえる内容になっているかどうか客観的に確認しましょう。

もし時間に余裕があれば、上司や先輩、同僚など第三者に文面を見てもらい、納得できる内容になっているかどうか見てもらうと安心です。

キャンセルメールは、見方を変えれば「相手の信用を集めるチャンス」とも言えます。もちろん、キャンセルした時点で信用度合いは下がってしまいます。

しかし、納得のいく理由であり、かつ伝え方やリカバリー案も丁寧で、心からのお詫びの気持ちも伝われば、「急な事態にも慌てず真摯に対応できる上に、相手を思いやれる誠実な人だ」と思ってもらうことができるかもしれません。

相手との信頼関係を左右する重要なビジネスメールであることを理解した上で、迅速かつ丁寧に、文章をまとめることを心がけましょう。

山口 拓朗さん

伝える力【話す・書く】研究所所長。「論理的に伝わる文章の書き方」や「好意と信頼を獲得するメールコミュニケーション」「売れるキャッチコピー作成」などの文章力向上をテーマに執筆・講演活動を行う。著書に『伝わるメールが「正しく」「速く」書ける92の法則』(明日香出版社)のほか、『残念ながら、その文章では伝わりません』(だいわ文庫)、『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(日本実業出版社)、『書かずに文章がうまくなるトレーニング』(サンマーク出版)など。2023年11月に最新刊『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)が発売予定。
公式サイト:http://yamaguchi-takuro.com/

取材・文:伊藤理子 編集:馬場美由紀
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