転職する人がもらって嬉しくなる「贈る言葉・メッセージ」文例と書き方のコツ

仕事でお世話になった人が転職する際には、心を込めてメッセージを贈りたいもの。しかし、気の利いた「贈る言葉」が思いつかない…という人も多いのでは?
そこで、元リクナビNEXT編集長であり、現在はミドル世代の転職支援サービスを手掛ける黒田真行さんに、転職する人に贈るメッセージのポイントと考え方を、文例とともに解説してもらいました。

スマートフォンからメッセージを打ち込む女性のイメージ

ルーセントドアーズ株式会社 代表取締役 黒田 真行さん

ルーセントドアーズ株式会社 代表取締役 黒田 真行さんプロフィール画像1989年、関西大学法学部卒業、株式会社リクルート入社。以降、転職メディアの制作・編集・事業企画に携わる。2006年~2013年まで転職サイト「リクナビNEXT」編集長。2013年リクルートドクターズキャリア取締役などを経て、2014年ルーセントドアーズ株式会社を設立。「ミドル世代の方々のキャリアの可能性を最大化する」をテーマに、日本初の35歳以上専門の転職支援サービス「Career Release40」()を運営。

転職者へ贈る言葉・メッセージのポイント

上司や先輩、同僚、後輩、そしてクライアント。メッセージを贈る対象はさまざまですが、どの相手に対しても心を込めて感謝の気持ちを伝えましょう。その人とのエピソードを交えながら自分の言葉で思いを伝えると、相手に思いが伝わり心に深く残ります。

相手が転職しても、それで縁が切れてしまうわけではありません。特に同じ業界に転職するのであれば、また何かの機会に会うこともあるでしょうし、仕事でお世話になることもあるかもしれません。

最近ではリファラル採用(自社社員による紹介)を取り入れる企業が増えているため、「うちの会社に来ない?」と声を掛けられる可能性だってないとは言えません。これからも仕事上の付き合いがあるかもしれないという前提で、今後につながるようなメッセージを考えましょう。

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相手に伝わる「贈る言葉」の基本構成

贈るメッセージは色紙に寄せ書きしたり、個人的にメールで送ったり、もしくは送別会の場でスピーチするケースなど、様々ありますが、基本として以下の構成で考えるといいでしょう。

贈る言葉の基本構成

1.退職に際してのねぎらいの言葉で始める

まずは「長い間お疲れ様でした」「〇〇部ではお世話になりました」など、これまでの働きをねぎらう言葉から始めるとスムーズ。

2.相手とのエピソードを簡潔に盛り込む

心に強く残っている相手とのエピソードを簡単にまとめて盛り込みましょう。この部分があなたならではのオリジナリティになり、相手の心に響くポイントとなります。

3.そのエピソードに関する思いや感想、感謝を伝える

「このプロジェクトは本当に大変だったけれど、一緒に頑張ったことで成長できた」「〇〇部長の厳しい指導があったからこそ営業として一人前になれた」など、エピソードに対する自身の思いを伝えましょう。

4.今後の健闘や幸せを祈る言葉やメッセージで締める

「新天地ではさらなる活躍をお祈りしています」「体に気をつけて頑張ってくださいね」など、新しい職場での健闘や幸せを祈る言葉で締めるといいでしょう。関係を途切れさせたくない相手であれば、「これからもたまには情報交換しましょう」「また仕事でご一緒できる日が来るといいですね」などと一言添えておきましょう。

注意したいこと

転職の理由や新しい勤務先など、センシティブな内容には触れないほうがベター。本人が意図して公表していない可能性もあるからです。特に多くの人の目に触れる寄せ書きや、皆の前でのスピーチなどでは注意しましょう。

なお、病気療養や介護など、プライベートな理由で退職するというケースもあると思いますが、事情を知っているのであれば全く触れないほうが不自然。ごく軽く触れたうえで励ましの言葉を書き添えましょう。

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関係性別・メッセージ例文を紹介!

構成要素はわかったけれど、気の利いたコメントがなかなか思いつかない、実際にうまく書けるかどうか自信がもてない…という人のために、関係性別の「贈る言葉」の例文をご紹介します。

送別会などで直接スピーチする場合、メールやSNSで送る場合、寄せ書きに書く場合など、シーンに合わせてアレンジしながら、自分ならではの思いを込めたメッセージを贈る参考にしてくださいね。

上司や先輩に向けた「贈る言葉」

●Point
お世話になった上司や先輩には、これまでの感謝を伝えたうえで、指導のもとで成長できたエピソードや、今だから笑える失敗談などを盛り込むといいでしょう。

目をかけてくれている上司や先輩であれば、新しい会社に引っ張ってくれたり、クライアントを紹介してくれたりする可能性もあります。自分にとって頼りになる存在であり、これからも関係性を継続したい旨も伝えておくといいでしょう。

<文例1>
「山田さんには新人時代からずっとお世話になりっぱなしでした。時に厳しく、時に温かく、営業として一から鍛えていただきました。特に初めて担当したコンペのことは忘れられません。私が納得できるまで何度もロープレに付き合っていただき、涙が出るほど嬉しかったことを今でも覚えています。これまでの教えを胸に、営業としてさらに精進したいと思います。新天地でもこれまで以上のご活躍をお祈りしております。そして、いつかまた仕事でご一緒できたら嬉しいです」
<文例2>
「佐藤さん、10年間本当にお疲れ様でした。あの厳しいプロジェクトを最後までやり遂げられたのは、PMの佐藤さんのスキルと人望があってこそだと思っています。メンバーとしてともに走り続けられたことは、私の自信になっています。佐藤さんが抜けた穴をどう埋めればいいのか途方に暮れていますが、これからもぜひご指導ご鞭撻をお願いします」

部下や後輩に向けた「贈る言葉」

●Point
仲のいい部下や後輩であれば、堅苦しくし過ぎないほうがいいでしょう。多少フランクな口調で、これから旅立つ若手へ温かいメッセージを贈りましょう。

部下や後輩は、年齢的にもこれからステップアップしていく存在。上司や先輩よりも、年数的には長く関わることになる可能性がある点も考慮して、今後につながるメッセージを考えましょう。

<文例1>
「加藤、今までお疲れ様でした。希望通りの転職が決まって本当によかったね。加藤のコミュニケーション力は天下一品だから、どこに行ってもムードメーカーになれるはず。新しい職場でも自分らしく頑張ってください。たまにはいつもの居酒屋で情報交換でもしよう!」
<文例2>
「今まで本当にお世話になりました。斉藤さんの明るい笑顔にいつも癒されていました。部のキックオフイベントで一緒に司会進行をしたのもいい思い出です。退職してしまうのは寂しいけれど、斉藤さんの新たな挑戦を心から応援しています。またチームメンバーで食事にでも行きましょう」

同僚に向けた「贈る言葉」

●Point
同僚は、素の自分を見せられる相手。多少くだけた物言いやぶっちゃけトークも常識の範囲内であればOK。面白エピソードをピックアップするとクスっと笑ってもらえるでしょう。もちろん、今後の活躍を祈るメッセージも添えて、これからも応援する姿勢を示しましょう。

<文例1>
「同期で一番仲の良かったお前が辞めてしまうなんて、本当に寂しいよ。仕事で激論を交わしたこと、飲み過ぎて終電を逃したこと、同期のみんなで旅行に行ったこと…いろいろな思い出が蘇ってきます。寂しいけれど、目標を叶えるためにチャレンジし続ける姿勢を心から尊敬しています。落ち着いた頃に飲みに誘うので、新しい会社のこといろいろ教えてね」
<文例2>
「5年間、お疲れ様でした。パワポマスターのけいちゃんには、コンペ前に無理ばかりお願いしてしまい、今さらながらごめんなさい!感謝の気持ちでいっぱいです。でも、これからプレゼンはどうすればいいの!?(笑)新しい会社でもけいちゃんらしく、マイペースで頑張ってくださいね。そしてパワポで困ったときは相談させてください!」

顧客、取引先の担当者に向けた「贈る言葉」

●Point
退職のメッセージを贈る仲ということは、クライアントの中でも近しい存在の相手だったということ。これまでの感謝の思いを、丁寧な言葉で伝えましょう。

クライアントこそ、今後も関係性が続く可能性がある相手。転職先からまた声がかかり、取引が始まるということも考えられます。これからもお付き合いを継続したいという姿勢を示す一文を添えるといいでしょう。

<文例1>
「渡辺部長、今まで本当にお世話になりました。新人で御社の担当となり4年、初めは本当に不手際が多く、ご迷惑をおかけしました。部長に『焦らず着実に、覚えてくれたらいいから』と温かい言葉をかけていただいたこと、昨日のことのように覚えています。営業として成長させていただき、ありがとうございました。新天地でもますますのご活躍をお祈りしております。落ち着かれたころ、ぜひ改めてご挨拶に伺わせてください」
<文例2>
「佐々木さん、3年間お世話になりました。初めてプロジェクトリーダーとして御社に入らせていただいたとき、初めてお会いしたのが佐々木さんでしたね。始めはとても緊張しましたが、すぐに『ロジカルかつクレバーで、頼りがいがある方だ』とほっとしたのを覚えています。それからはさまざまなプロジェクトで苦楽を共にし、密度の濃い時間を過ごさせていただきました。佐々木さんとはきっとまたどこかでご一緒できる気がしてなりません。その際は一所懸命頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします」

自分の思いを自分の言葉で伝え、退職者を温かく送り出そう

関係性別の贈る言葉の文例をご紹介しましたが、自分と相手ならではのエピソードを、自分の言葉で伝えるのがポイント。文例を参考にしつつ、自分ならではの思いを込めたメッセージを伝えることが大切です。

迷ったら、「自分がメッセージを受け取る側ならば、どんなメッセージが嬉しいか?」と考えてみること。定型フォーマットそのままのきれいなメッセージよりも、多少粗削りであっても一緒に働いたときのことを思い出せるようなエピソードや、その人ならではの思いがこもったメッセージのほうが嬉しいはず。肩の力を抜き、相手との思い出に思いを馳せて、温かな思いをまとめましょう。

⇒【参考】人事異動の挨拶メールが届いた!返信はどんな内容で送るべきか?

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WRITING:伊藤理子 EDIT:馬場美由紀
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