仕事を辞める人に前兆ある?職場で人が減ったとき仕事・環境の変化を乗り越えるコツ

周りに「仕事を辞める人」がいた場合、どんな前兆があり、今後どのような影響が考えられるのでしょうか。
人事歴20年超、現在は人事領域支援会社を経営する「人事のプロ」曽和利光さんに聞きました。

会社で談笑するビジネスパーソン
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仕事を辞める人の前兆

職場に「辞めようとしている人」がいる場合、仕事への態度や振る舞いなどに、共通した変化が見えるものです。よく見られる前兆をチェックしていきましょう。

  • 新しい仕事やプロジェクトへの参画を割けようとする
  • 仕事への取り組み姿勢が変わる
  • 問題を先送りしようとする
  • 周囲とのコミュニケーションが減る
  • 有休消化率が上がる、定時退社が増えるなど勤怠に変化が起こる
  • 服装が変わったり、身の回りのものを持ち帰り始めたりする

新しい仕事やプロジェクトへの参画を割けようとする

辞める意思があり、辞める時期が決まっている人の多くは、これから始まる新たなプロジェクトへの参画を割けようとします。それまで新しい仕事に積極的だった人が、興味を示さなくなった場合、辞める前兆の一つかもしれません。

仕事への取り組み姿勢が変わる

それまであった丁寧さ、細かさがなくなったり、自分の意向を明確に言わなくなったりと、仕事に対して“雑さ”が見え始める人もいます。一方で、「きちんと引継ぎをして去りたい」という思いから、マニュアル作成を始めたり、必要な書類を整理し始めたりする人もいるでしょう。

問題を先送りしようとする

仕事をする上で改善すべき問題があっても、「今取り組まなくてもいいのでは」などと先送りしたがるケースもあります。

周囲とのコミュニケーションが減る

チームメンバーとのランチや飲み会、社内イベントの参加率が急に悪くなるのも、前兆の一つです。「辞める予定なのに、どんな顔をして参加すればいいのかわからない」と思う人、「どうせ辞めるのだから、社内の人間関係づくりに時間を割く必要はない」と考える人などさまざまでしょう。

有休消化率が上がる、定時退社が増えるなど勤怠に変化が起こる

退職までに有給休暇を消化しようと急に休みが多くなったり、面接対応で半休や時間給を取るようになったりと、勤怠に変化が起きます。また、それまで残業をしていた人が、急に定時きっかりに退社するようになるケースもあります。

服装が変わったり、身の回りのものを持ち帰り始めたりする

これまではカジュアルな格好で出社していた人が、突然スーツを着用し始める場合、面接対策の可能性もあります。また、わかりやすい行動として、身の回りのものを少しずつ持ち帰るようになり、周辺整理を始めることもあります。

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仕事を辞める人が出ると職場はどうなる?

仕事を辞める人が出ることによる、職場環境への影響は、その人が社内でどのような存在かによって異なります。

プラスの評価をされている人であれば、周りは「あんな優秀な人が辞めてしまうなんて、うちの会社に問題があるのではないか」と考えるかもしれません。辞める人が会社や仕事へコミットしなくなればなるほど、周りの人のモチベーションも下がっていく可能性があります。一方、それほど評価が高くない人が辞める場合、周りのモチベーションには大きく影響しないかもしれません。

いずれのケースでも、欠員により進行中の業務が遅れてしまう可能性や、一人あたりの業務負担が増える可能性があります。取引先や顧客の増加、変更などで自分の仕事内容が変わることもあるでしょう。

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辞める人の仕事を引き継ぐとき押さえておきたいポイント

辞める人の仕事を引き継ぐ際は、その人が持っているノウハウをできるだけすべて教わっておきたいものです。

いつまで職場にいるのかを確認した上で、業務マニュアルや必要書類はすべて引き継いでもらえるよう、引き継ぎの時間を設定しましょう。そのときに注意したいのは、書面にはなかなか落とし込めない”不文律“とも言える情報も細かく教えてもらうことが大切です。

例えば、「この顧客のキーマンは〇〇さん」「担当の△△さんに提案する際は、こういう情報を盛り込んだほうがいい」「●●さんに話を通すときは、こういう点に気を付けたほうがいい」といった、担当者だからこそ分かる注意点を聞いておきましょう。

辞めたあとに質問や分からないことが出てきて問い合わせても、すでに離れた組織のことについて、丁寧に教えてくれる人は少ないでしょう。辞める前に分からない点をすべて解消しておくことが大切です。

「自分も仕事を辞めたい」と思ったらどうする?

辞める人が自分にとって大事な存在であるほど、「あの人が辞めるのなら自分も転職を考えようかな」といった思いが頭をよぎることもあるでしょう。でも、影響を受けて後を追うように辞めたとしても、次のキャリアはバラバラです。転職によって何を実現したいのか明確な意思がないままに、安易に仕事を辞めることはおすすめしません。

人員が減ることは、「ポストが空く」ことでもあります。人材の流動性が高まるほど、空いたポジションに就けるチャンスも広がります。業務負担が増えたり担当領域が変わったりとさまざまな変化に対して柔軟に対応することで、上司や人事からの自分の評価が上がる可能性もあります。新しい仕事を任されるようになり、思いがけない強みが発揮され、スキルが身につくチャンスになるかもしれません。

辞める人が出ることで、残された側は寂しかったり不安になったりと複雑な気持ちになることもあるでしょう。でも、その存在が自分のキャリアを考え直すきっかけになるかもしれません。

人が減ることで担当領域が変化したり、ポストが空いてチャレンジの幅が広がったり、新しいメンバーが入ることで職場の雰囲気が変わる可能性もあります。
環境の変化を、視点を変えるポジティブな機会にしてみてはいかがでしょうか。

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人材研究所・曽和利光氏株式会社人材研究所・代表取締役社長 曽和利光氏

1995年、京都大学教育学部教育心理学科卒業後、リクルートで人事コンサルタント、採用グループのゼネラルマネージャーなどを経験。その後、ライフネット生命、オープンハウスで人事部門責任者を務める。2011年に人事・採用コンサルティングや教育研修などを手掛ける人材研究所を設立。『人事と採用のセオリー』(ソシム)、『コミュ障のための面接戦略』(星海社新書)など著書多数。新刊『部下を育てる上司が絶対に使わない残念な言葉30』(WAVE出版)、『シン報連相~一流企業で学んだ、地味だけど世界一簡単な「人を動かす力」』(クロスメディア・パブリッシング)も話題に。

編集:馬場美由紀 執筆:田中瑠子
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