ヨッピーさんとアドウェイズが作った、Twitterで話題のニュースがわかる「ニュートピ!」について聞いてきた!

Twitterでバズってる記事・ツイートを網羅的にチェックできるサイト「ニュートピ!」が2017年12月にリリースされた。
人気ライターヨッピーさんが「自分の必要性もあって」企画し、それをアドウェイズのエンジニアたちが具現化したそうだ。
新しいサービスに込めた想いや、記事の収集・ランキング表示などに活用したテクノロジーを紹介する。

ライターも読者も嬉しい、Twitterのバズり傾向を知るためのサイト

「僕自身がこういうのあったらいいのに、と思って実現したサイト」と、「ニュートピ!」を紹介するのは、ライターのヨッピーさんだ。

「僕たちライターは自分が書いた記事の反響がどうしても気になるし、『どういうのがウケるのか』を知るためにも、世の中でたくさん読まれている記事を網羅的に集めるサイトがあればいいのに、とずっと思っていました。

“はてブ”は一つの目安だけれど、どちらかというとエンジニア向けの記事が好まれる傾向がある。Twitterではバズってるのに、はてブは全然ついていない、あるいはその逆も結構ある。ユーザーの特性が違うから当然ですね。

そういう意味ではFacebookの“いいね!”ボタンの数に基づいたランキングもあると本当は良いんですけど、外部からそのデータを集計するのが仕様上難しい。そこでとりあえずTwitterに特化して、そこでバズっている記事が網羅的に見られるサイトを作ってみようと」

ヨッピーさんはアドウェイズが展開する、おでかけ体験型メディア「SPOT」の編集長でもある。そのつながりもあって、「こういうサイトは確実に需要があるし、マネタイズ化もしやすい」と、アドウェイズの「SPOT」担当のチームに話をもちかけると、彼らがサクッと新たに作ってくれたのが「ニュートピ!」というわけだ。

「SPOTは試行錯誤している中で、なかなか大きく利益を出せないでいるので、僕もだんだん申し訳ない気持ちになってきて、『これが上手くいったら、SPOTに少しでも貢献できるかな?』っていう(笑)」

「ニュートピ!」はもちろん、ライターだけに需要があるわけではない。SNSで話題の記事から、最近の流行を知るという人は多い。SNSは流動的なので話題は常に流れていく。

現時点だけではなく、過去のある時点に読まれていた話題を知りたいと思う人もいるだろう。それを知るための簡便なツールがこれまでなかったのだ。

「今はまだ実装できていないのですが、今後は日付でソートできるような機能も実装します。そうすれば『去年の2017年1月22日には何がバズってたのかな?』って調べることもできますし、せっかく作ったコンテンツが流動的に消化されるだけじゃなくて、ストックされて後からでも読めるっていう。そういう風にいつまでも作ったものが読まれるような仕組みがあれば作り手としてもうれしいじゃないですか」

「ニュートピ!」につながるアイデアを、ヨッピーさんが雑談の場でラフに提案したのが昨年の9月のこと。1週間後にはプロトタイプが上がってきた。

「試しに作ってみたら、意外といい。社内や知り合いに試してもらうと、必ずしもIT系ではない人も含めて、読者サイドにとっても役立ちそうだというのがわかってきました。これならと、一気に事業化まで持っていきました」というのは、アドウェイズで「ニュートピ!」のプロデュースを担当する寺島祐毅氏だ。

株式会社アドウェイズ 新規領域グループ 新規事業開発室 寺島祐毅氏

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「レーベンシュタイン距離」を使って、ユニークなツイートに重み付け

プロトタイプを自分で作ってみて、これいけそうと考えたのは、エンジニアの菊池淳氏も同様だった。ただ、記事の収集・表示ロジックには試行錯誤を重ねた。

「Twitterでバズっているツイートを収集して表示するわけですが、単純にリツイートの数だけ拾っていくと、短時間に同じ記事をSPAM的にツイートしたり、芸能人の『誕生日おめでとう!』みたいなツイートばかりを反映することになってしまいます。それだけでは面白くないので、ツイートの重み付けをどうするか、アルゴリズムをいろいろ試してみました」

株式会社アドウェイズ 新規領域グループ 新規事業開発室バイステクニカルマネージャ 菊池淳氏

「ニュートピ!」ではTwitter社のデータを利用するためそのAPI使用許可をTwitter社の代理店を通して受けている。ただ、プロトタイプの段階では菊池氏が個人TwitterアカウントでAPIをいじくり回していた。その度が過ぎたのか、Twitter社からアカウントを凍結されてしまったという逸話の持ち主でもある。
(※複数アプリ登録していたのが凍結理由だったので、アプリを削除して現在は復活しています)

「ニュートピ!」の現在のアルゴリズムは、基本的には事前に登録してあるサイトの記事URLがTwitter内でどれくらい呟かれているかをカウントした上で数値化し、Open Graph Protocolを使ってランキング表示するというもの。

ただ、ランキング表示にあたっては、ツイートの文言の文字数や感情の揺らぎ、さらに話題になっている期間なども計測するところに「ニュートピ!」ならではの特長がある。定型文ではないユニークなツイートに重みをつけるためだ。

ニュートピ!」のトップページ

そこで用いられたのが、2つの文字列がどの程度異なっているかを示す「レーベンシュタイン距離」を計算するアルゴリズム。元は、1960年代にロシアの情報理論学者ウラジミール・レーベンシュタインが考案したもの。スペルチェッカーや、近年ではバイオインフォマティクス領域でDNA配列同士の類似性を判断するためにも使われているものだ。

「自分の知らなかったものも含めて、世の中にはいろんなアルゴリズムがあるものだとあらためてわかりました。エンジニアにとっての新しい挑戦にもなりました」と、菊池氏は振り返る。

ただ、菊池氏には悩みもあった。「SNSで記事がウケているってどういうことなのか、どういうメディアを収集対象にすればよいか、そもそものところがよくわからなかった」のだ。

そこで力を貸してくれたのが、デザイナーの富塚文徳氏だ。菊池氏に言わせれば、「アドウェイズの社内でもメディアセンスが抜群の人」。

株式会社アドウェイズ 新規領域グループ 新規事業開発室 富塚文徳氏

「自分はWebメディアが大好きなので、世の中にどういうメディアが存在するのか、どういうメディアならSNSでの反響が多いか登録するサイトを調査しました。どんなWebメディアを登録すればキュレーションメディアとして偏らないようにできるかとか、もともと他人の著作権を侵害しているようなメディアは登録すべきではないとか、良い記事が埋もれずに出てきてほしいので、そこを注意しながら進めました」

記事の特性に応じて「ゆるいニュース」と「かたいニュース」に分類することを提案したのも、富塚氏だ。「ゆるい」か「かたい」かというのは、ざっくりした分類ではあるが、かえってそれは「ニュートピ!」の使いやすさにもつながっている。

「ニュートピ!」のゆるいニュースページ画面。かたいニュースのページはこちら

だが、例えば新聞記事は街ネタのようなやわらかい内容の記事も、全てが「かたい」に分けられてしまう。このあたりは、今後アルゴリズム改善の余地がありそうだ。

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最新の技術をさり気なく使っているあたりは社内でも自慢

「ニュートピ!」は現時点ではβ版。今後のマネタイズをどうしていくかは課題だ。

「現時点では実装していないのですが、当面はネイティブ広告も含めて広告収入に依存することになるかと思います。独りよがりにマネタイズするのではなく、あくまで一次情報を発信しているメディアや人が得をする仕組みにするべきですし、ユーザーの方が不快にならない広告の表示が必要なので、慎重に進めたいです」と、寺島氏は語る。

ただ、スーパーバイザーのヨッピーさんは「将来的には広告表示なしの有料課金モデルもありうる」と考えている。そのためには、まず読者の獲得が最大の課題だ。

「ヨッピーさんがSNSで拡散してくれて、マーケティングはうまくいっています。こんなにSNSで反響のあったプロダクトは当社の中でも珍しい。リリース後、宣伝広告費はまだ1円も使ってないんですけど、初月で既に月間100万PVに達しました」(寺島氏)と、“ヨッピーさん効果”を喜んでいる。

技術的なチャレンジも引き続き進める。

「アドウェイズではどんな技術を選択するかは基本的にチームに決定権があります。新規事業だとそれがさらにやりやすい。さらに、チーム内にはエンジニアは僕しかいないので、やりたいようにやらせてもらっています。

例えば、バックエンドはRuby on Rails。TwitterとのデータのやりとりはGo言語で実装。インフラはAWSのコンテナ・サービスElastic Container Serviceを使っています。CodePipelineを使ってCodeCommitやCodeBuild、ClouldFormationを組み合わせたコンテナデプロイの自動化など、最近トレンドの技術をさらりと使いこなしているあたりは、ちょっと社内でも自慢です。

現在は、Twitterのデータはプログラムを自作し、それで集計していますが、Amazon Redshiftなどクラウド・データウェアハウスを使うと、もっと早く効率的に記事が表示できるようになると思います」と菊池氏は語っている。

SNSのコメント内容をネガポジ判断するアルゴリズムを使って、この話題がどれだけ肯定的あるいは否定的に引用されているかを示したり、去年のクリスマスにはどんな記事がバズっていたかが分かる過去データの検索機能を入れたり、もちろんスマホアプリ開発も検討していく。

ヨッピーさんと3人のアドウェイズメンバーがタッグを組んで読者と共に育てる、新しいニュース情報サイト「ニュートピ!」。

ヨッピーさんも今後、サイト内に記事を投稿して、このサービスの成長をフォローしていく予定だという。今後のサービスの進化を注目していきたい。

執筆:広重隆樹 撮影:刑部友康

※本記事は「CodeIQ MAGAZINE」掲載の記事を転載しております。

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