マネジメントとは?役割や守備範囲、マネジメント職(管理職)に就く方法を紹介

仕事にがむしゃらに取り組んできた若手時代を経て、20代後半になると、次のステップとして「マネジメント職に就く」ことをイメージし始める人もいるかと思います。とはいえ、役職者のイスには限りがあり、希望者が全員なれるわけではありません。

マネジメント職に就くには、どんな経験・スキルを身につければいいのか、今から準備しておいた方がいいことはあるか、組織人事コンサルタントの粟野友樹さんに伺いました。

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粟野友樹さん組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント
粟野友樹さん

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。Twitter@Tomoki_AwanoFacebookPodcast

マネジメントの意味と役割

マネジメントは直訳すれば「管理」「経営」「運営」。そして、ビジネスで使われる「マネジメント」とは、事業運営や組織運営、経営管理などを意味しています。そして、それらを担っているのが「マネジメント職」(管理職)です。

マネジメント職のミッションは、企業の資源である「ヒト・モノ・カネ・情報」を活用し、メンバーを取りまとめながら目標に向かって突き進むこと。それを実現するためには、非常に多岐にわたる役割をこなす必要があります。例えば、以下のような役割が挙げられます。

マネジメントの役割例

  • 目標設計・管理
    目標をどのように達成するか、具体策を設計し管理する
  • スケジュール管理
    目標達成のためのスケジュールを設計し、進捗を確認する
  • チーム管理
    情報共有・ナレッジ共有を行いながら、目標に向けてチームの団結を図る
  • メンバー管理
    メンバー一人ひとりの強みや能力、持ち味、志向などを見ながら、個人目標を割り振り、目標達成度合いを管理する
  • フィードバック
    メンバーの成果に対して適切なフィードバックを行う

マネジメント職は、いわば経営と現場の橋渡し役。経営層の視点と現場の視点、両方を併せ持つことが求められるため、ビジネスパーソンとしての知識を広く、まんべんなく身につけておくことが必要とされます。したがって、マネジメント職を目指すならば、若手のうちから視野を広げて幅広い経験を積み、素地を作っておくことが大切です。

 

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マネジメント職に求められるスキル

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マネジメント職の守備範囲は広く、必要なスキルも多岐にわたります。ここではマネジメント職の役割を大きく「事業運営」と「組織運営」の2つに分けて、求められるスキルを解説します。

事業を適切に運営するための「現状把握力」「問題解決力」

事業運営とは、「自社の事業拡大に貢献する動き」を指します。自分が管理する部署やチームだけを見るのではなく、経営者の視点に立って事業全体を見渡し、事業拡大のためにはどうすればいいのか常に考え、行動する姿勢が求められます。
事業運営力を高めるには、次のようなスキルが必要とされます。

  • 現状把握力
    足元でどのような問題・課題が生じているのか把握する力。トラブルに直面しても適切な策を考えることができる
  • 問題解決力
    問題・課題を論理的に分析し、客観的な視点で解決手法を考える力。視座を上げ、事業全体を見渡し前に進めることができる
  • コスト意識
    事業を推進するうえでどんなコストが発生するのか想像しながら行動する力。経営者視点に立ち、売り上げ拡大だけでなく収益確保の意識を持つ必要がある

組織を一致団結させるための「指導育成力」「リーダーシップ」

組織運営とは、自身が管理する部やチームを取りまとめ、より高い成果を目指す動きのことを指します。メンバー一人ひとりとコミュニケーションを取り、強みやスキル、志向などを把握したうえで適切な役割分担を行うことや、達成すべき目標を皆に浸透させて、同じ方向に向かって突き進む力が求められます。
組織運営力を高めるには、次のようなスキルが必要とされます。

  • 指導育成力
    メンバーの志向や価値観、目指すキャリアなどを理解したうえで、必要となるスキルや経験を積むための指導を行う力
  • リーダーシップ
    目標を掲げて達成までの道筋を明確に示し、皆を率いる力のこと。予期せぬ問題が生じたときに適切な判断を行い、指示をする力も含まれる
  • 傾聴力
    メンバーの意見に耳を傾け、理解しようとする力のこと。組織の中で、メンバーが心理的安全性を担保しながら力を発揮するために必要とされている

 

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マネジメント職に就くために必要な経験・準備

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将来マネジメント職に就くためには、どんな経験を積み、どんな準備を進めればいいのか、具体的にご説明します。

積んでおきたい経験

●目の前の仕事で高い成果を上げる

成果を出せていない人には、マネジメントは任せられません。まずは現在担当している業務でしっかり成果を上げることが大前提。将来マネジメント職に就きたいのであれば、目の前の仕事に真摯に向き合い、高い成果を目指しましょう。

人は、自身の能力の少し上、背伸びすれば手が届くぐらいの「ストレッチ目標」を目指すことで、より高く成長すると言われています。与えられた事業目標を目指すだけでなく、それより少し上の目標を個人的に設けるのもお勧めです。

●後輩に「教える」経験をする

部下の指導育成は、マネジメント職の重要な仕事。例えば新人の教育係をかって出るなどして、「人に教える経験」をしておくとマネジメント職の素地を作ることができます。
チャンスがあれば「新人チームのリーダー」など、複数のメンバーを担当することで、仕事を教えるだけでなく「束ねて管理する」経験も積むことができます。

●いろいろな仕事に手を挙げて経験値を増やす

マネジメント職はビジネスパーソンとしての幅広い知識・スキルが求められます。マネジメント職を目指すならば、自身の守備範囲はもちろんですが、それ以外の仕事にも目を向け、チャンスがあればどんどん手を挙げ関わり、経験値を上げましょう。社内のさまざまな仕事を経験することで視野も広がるでしょう。

●社内人脈を築く

社内のさまざまな部署と人脈を築いておけば、今の部署だけでなく別の部署から思わぬチャンスがもらえたり、引っ張り上げてもらえたりすることがあります。例えば社内横断プロジェクトに立候補してみる、ビジネスプランコンテストに応募してみるなどすれば、経営陣や他部署で発言力のある人とつながることができ、思わぬ責任ある立場に抜擢される可能性もあります。

準備しておきたいこと

●マネジメント職を目指すことを上司に伝えておく

振り返り面談や1on1などの場で、「将来マネジメント職に就きたい」と伝えておきましょう。どんなスキルを積み、どんなステップを踏めばいいのか、今の自分に足りないものは何か、具体的なアドバイスがもらえるでしょう。マネジメント職への意欲を上司に認識してもらうことで、リーダーへの抜擢など、次のステップに進むためのチャンスが得られやすくもなります。

●上司の行動や考え方を見て学ぶ

「一番身近なマネジメント職」である上司を観察してみましょう。「このような目標にどう向き合うのか」「こんな問題にはどう対応するのか」などをそばで見ることで、マネジメント職の姿勢や考え方などをリアルにつかむことができます。その過程で、「自分が目指すマネージャー像」も明確になるでしょう。

自分の考えとすり合わせをしてみるのも有効。何か問題に直面したときに「自分ならばこうする」と仮説を立てたうえで、上司の実際の行動と比較してみれば、新たな気づきや学びが得られるでしょう。

●さらに上を目指すなら、役員のキャリアを確認しておく

マネジメント職の中でもさらに上級職、例えば役員など経営層を目指すのであれば、自社の役員のプロフィールを調べておくといいでしょう。「役員になる人は必ず管理部門を経験している」「トップ営業だった人が必ず営業担当役員についている」など傾向がつかめる場合があります。マネジメント職を経てさらに高みを目指したい場合は、その傾向を参考に次のステップを検討するといいでしょう。

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EDIT&WRITING:伊藤理子
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