ビジネスのコミュニケーション・シーンにおいて、今や当たり前に使われるEメール。しかし、友人などとのプライベートなやり取りとは違い、ビジネスシーンには相応のマナーが存在します。
今回は、新社会人や、「今さらビジネスメールのマナーを人に聞けない…」という方に向けた基本のメールマナーと、お客様とのやりとりをする上で注意すべき点、役立つメールテクニックと間違えやすいNGポイントを徹底解説します。
1. ビジネスメールのメリット/デメリット
2. ビジネスメールの基本的な構成
3. お客様へメールを送付する際の基本マナー 10のポイント
4. お客様へメールを返信する際の基本マナー
5. メール対応を正確&スピーディに!役立つメールテクニック
6. 機種依存文字と絵文字はなるべく利用しない
7. 最後に
目次
ビジネスメールのメリット/デメリット
メールを使うことの大きなメリットは、「業務効率の向上」と「記録に残ること」でしょう。
- 相手の時間を使わず、自分のタイミングで送ることができる
- 相手や自分がどこにいても、通信環境があれば送れる
- 添付ファイルを送れる
- 後から検索ができる
- 記録に残るため『言った・言わない』のトラブル回避につながる
一方、デメリットは下記のようなものが挙げられます。
- 相手がいつ目を通すかわからない
- 通信環境がないと利用できない
- 文面であるため、微妙なニュアンスが伝わらない
メールを送る前は、これらのメリットとデメリットを鑑み「この用件はメールで伝えるべきか?電話の方が良いのではないか?」と、メールでの対応が適切かどうかを考えるクセをつけましょう。
ビジネスメールの基本的な構成
次に、ビジネスメールの基本的な構成です。
宛先(To)
メールを送る相手のメールアドレスです。
CC/BCC
CCは「Carbon Copy」、BCCは「Blind Carbon Copy」の略称です。いずれも「本来の送信対象ではないものの、情報共有などの目的で、念のためメールを送っておきたい場合」に使用します。
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件名(タイトル)
受信者のメールソフトの一覧上で表示される、いわば「顔」のような存在です。
メールを送信した意図を確実に伝え、開封してもらうためにも、件名はもっとも重要です。
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本文
メールの「体」となる部分です。下記の5つの構成から成り立ちます。
‐1.宛名
本文の冒頭に、メールの送信対象を敬称付きで書きます。親しい間柄であれば宛名無しでやり取りをする場合もありますが、基本は必ず書きます。宛名が無い場合、マナーが悪い印象を与えたり、宛先を間違えたのでは?と思われることがあります。
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-2.書きだし(挨拶)
一般的な書き出しは「(いつも)お世話になっております。○○株式会社の□□です。」です。初めての相手には「初めてメールさせていただきます。○○株式会社の□□と申します。」、早々に返信を送ってくれた相手には「早々のご返信ありがとうございます。」など、相手の関係性に応じて使い分けると良いでしょう。
-3.内容(用件)
メールの用件を記載します。相手への伝わりやすさやわかりやすさを重点に置き、「何のために連絡したのか」「何をしてほしいのか」がわかるようにしましょう。
-4.締め(結び)
一般的な締めの言葉は「よろしくお願いいたします。」です。
その他、返信が要らない場合や、回答が欲しい場合など、メールの内容と状況に合わせた結びの言葉で締めましょう。
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-5.署名
署名は、そのメールを受信した相手にとって重要な情報源です。メールの末尾に、下記の情報を署名として添えておきましょう。
- 会社名
- 部署名
- 名前
- メールアドレス
- 会社・部署の固定電話番号
- (会社で携帯電話を支給されている場合は)携帯番号
- 郵便番号、住所
なお、署名の前後には罫線(飾り文字)を付けるのが一般的ですが、過度に派手になりすぎないよう注意しましょう。
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-添付
一般的なメールソフトではファイルを添付することができます。ファイルを添付する場合は、ファイルが正しいか、宛先に間違いがないかを確認した上で添付をします。
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-最後に。HTMLメールとは
HTMLメールは、文字情報だけを記載する通常のテキスト形式とは異なり、本文中に画像を入れたり、文字の色や大きさを自由に編集できるメールのことです。視認性が良いため近年増えている形式ですが、HTML形式に対応したメールソフトでないと送受信ができない場合があります。企業によってはHTML形式のメールの受信制限を設定しているところもあるため、注意しましょう。
お客様へメールを送付する際の基本マナー 10のポイント
1.件名は短く端的にする
件名は一目見てどんな内容かわかるようにしておくことです。長い文章で書くよりも、短く、端的にするとメールの内容が把握しやすくなります。
× ○月○日の会議についての内容をお送りしますのでご確認をお願いいたします(○○部田中太郎)
○ ○月○日の会議の詳細(○○部田中太郎)
× 給与の振り込み期日が変更になりますのでご確認をお願いいたします
○ 【お知らせ】給与の振り込み期日変更について
2.敬語に注意する
ビジネスメールでよくやってしまいがちなのが敬語の間違いです。間違った敬語を使うと「失礼だ・礼儀がない」などと受け取られかねません。社会人として最低限の敬語は押さえておきましょう。
× 資料を添付しましたので見てください。(『見る』は尊敬語に直す)
○ 資料を添付いたしましたのでご覧ください。
× 資料を拝見してください。(『拝見』は謙譲語のため、相手の行動には使わない)
○ 資料をご覧ください。
× ○○様がおっしゃられました。(二重敬語になっている)
○ ○○様がおっしゃいました。
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3.理解しやすい内容にする
相手に用件が伝わりやすいよう、本文の内容や見た目にも気を配りましょう。具体的には以下のようなポイントを意識すると良いでしょう。
- 冒頭には「○○の件でご確認いただきたくメールを差し上げました。」など、どんな用件で、何をしてほしいのかわかるようにする
- 5W1H(誰が・どこで・いつ・何を・なぜ・どのように)が伝わるように意識する
4.専門用語は使わない
社内や同じ業界内で通じる専門用語でも、社外の方にはわからない言葉かもしれません。なるべくわかりやすい言葉に直しましょう。
× その内容はママでお願いいたします。(『ママ』は文章の校正用語)
○ その内容はそのままでお願いいたします。
5.見やすいメールを心がける
可読性を良くすることで、より内容が理解しやすくなります。まずは以下のポイントを意識してみましょう。
- 一行の文字数は20~30字程度にそろえる
- 箇条書きにできるものはなるべく箇条書きにする
- 一文はなるべく短くし、最大で50字程度に収まるようにする
- 3~5行のまとまりで行間を空ける
6.添付ファイルの容量に注意する
添付するファイルサイズ(容量)は最大3MB、できれば2MB程度に押さえておくと、相手の通信環境の負担になりません。
7.宛名の順番に気を付ける
送信相手が複数人の場合は、役職順に並べましょう。
8.送付する時間帯に配慮する
なるべく一般的な業務時間内(8-19時程度)に収まるようにしましょう。
近年、スマートフォンが普及しています。早朝や深夜のメール送信は相手の負担になる恐れがあるため避けた方が良いでしょう。どうしても深夜に送らざるを得ない場合は「夜分に失礼いたします。」などの一文を入れるのがマナーです。
9.本文が長文の場合、その旨を冒頭に記載する
内容によっては、メールが長くなることもあります。長文になる場合は、冒頭の挨拶の下に「長文になり大変恐縮ですが、ご確認をお願いいたします。」などの一文を入れておきましょう。
10.英語で送付する場合も基本の流れで
英語メールの基本構成は日本語のメールと同じ流れで書くと良いでしょう。
・宛名
例)Dear Mr.○○,/Ms.○○,(○○様)
・書き出し
例)I am ○○, a sales representative at □□(私は□□で営業担当をしております、○○と申します。)
・本文
例) I am writing this email about your inquiry.~ (お問い合わせの件でご連絡いたしました。~)
・締め(結び)
例)I am looking forward to hearing from you. (ご返信お待ちしております。)
Sincerely, (『敬具』のような、少しフォーマルな結び)
・署名
例)
Taro Tanaka
Sales representative, Sales Department
Kamome Co., Ltd.
1-1-1 Daiba, Minato-ku, Tokyo 000-0000
****@kamome.co.jp
Tel: +81-0000-0000
Fax: +81-0000-0001
URL: http: //www. kamome.***.com
-送付後は電話でのフォローを心がける
必須ではありませんが、メールのデメリットの1つは「相手がいつ目を通すかわからない」こと。複雑な用件であったり、急ぎで返信が欲しいときには、メールを送った後に電話でフォローをすると良いでしょう。
お客様へメールを返信する際の基本マナー
基本的にはこれまで紹介したポイントと同じです。ここでは返信ならではのポイントを紹介します。
- 1.なるべく時間を空けず、すぐに送ること。遅くとも24時間以内に返信をする。
- 2.すぐに回答できない場合はいったん「確認する」旨を相手に伝え、いつ頃返信するか期限を伝える。
メール対応を正確&スピーディに!役立つメールテクニック
「メールの作成や、メールでのやり取りは時間がかかる」という方に向けて、メールの対応を正確かつ迅速に行うための基本的なメールテクニックをご紹介します。
画像:ぱくたそ
-引用して返信する
相手から受け取ったメールの内容を引用して返信する方法です。引用する場合、相手の文章の先頭に「>」などを付け、引用とわかるようにします。
例)
>○○の商品について、利用メリットと費用をご教示いただけますでしょうか?
○○をお使いいただきますと、□□というメリットがございます。
費用につきましては~
-確認したい相手には元のメールを転送する
メールソフトに標準的に装備されており、受信したメールを違う相手に送ることができます。
例えば「顧客から届いたお問い合わせを、より詳しい担当に確認したい」場合などに使用します。
-よく使う言葉は単語登録しておく
例えば、「よ」と入力すると自動的に「よろしくお願いいたします。」と表示させることができる機能のことです。よく使う単語を登録しておくことでメールを作る時間を省くことができます。
-署名もあらかじめ登録しておく
一般的なメールソフトに標準的に装備されている機能です。署名を登録しておくと、都度署名を入力せずに済みます。また、メールソフトによっては、状況によって署名を使い分ける「複数登録」の機能もあります。
機種依存文字と絵文字はなるべく利用しない
最後に、ビジネスメールで気をつけるべきNGポイントを2つご紹介します。
1つ目は機種依存文字です。囲み数字や会社名で用いられるカッコつきの囲み文字は機種依存文字または環境依存文字と言い、PC環境によって文字化けが発生する可能性があります。文字化けが発生すると、相手のメールソフトで「?」などと表示されてしまいます。
なるべく機種依存文字は使わず、 「(1)」や「株式会社」のように書きましょう。
<機種依存文字・環境依存文字の一例>
2つ目は絵文字です。文字だけでは伝えられない微妙な感情表現を伝えられる便利なツールではありますが、よほど親しい間柄でない限り使わない方が良いでしょう。
最後に
いかがでしたでしょうか?ビジネスメールはコミュニケーションツールの重要な手段ですが、ビジネスメールの書き方を体系的に学ぶ場が多くないことも事実です。まずは本記事でご紹介したような基本を守り、ビジネスメールを使いこなせるようにしていきましょうね。
監修者:瀧本 博史 (キャリアカウンセラー)
産業カウンセラー/2級キャリアコンサルティング技能士(国家資格)。
「心のケア」ができるのと同時に国家資格者のキャリアコンサルタントとして前向きな働き方を提案し、新卒から高齢者までの一人ひとりの方へ「個性」と「適性」を尊重した、きめ細やかなアドバイスを行っている。キャリアカウンセリングに加え、ビジネスマナーにも精通。
文:リクナビネクストジャーナル編集部