6月といえば、ジューンブライドですね。でも、結婚式を挙げる前に、プロポーズをしっかりと成功させなければなりません。そんなプレッシャーを背負う男性にとって、心強い味方となるサービスがあります。
一流ホテルのザ・リッツ・カールトン大阪で、カップルがレストランでお食事後、チャペルで意中の方にプロポーズができるプランがあるのです。さっそくですが、こちらのプランを企画したザ・リッツ・カールトン大阪・チーフソムリエ・栗本明博さんにお話を伺いました。
――どうしてプロポーズプランを企画されたのですか?
2007年12月、マネージャーが集まる会議がありました。当時、私はフランス料理を担当していたのですが、ニュージーランド人の上司に、お客さまからプロホーズに関するご要望のお電話があったことを伝えたのです。すると、おもしろがられまして「プランにしてみたらどうだ」と冗談交じりに言われたことがきっかけでしたね。
――反響はありましたか?
当初はあまり予約が入りませんでしたが、テレビ番組や雑誌で取り上げられるようになった2008年からは、おかげさまでどんどん予約が入るようになりました。
――プラン内容は、どのように考えるのですか?
スタート当初は、細かくマニュアルを作っていました。しかし、お客さまによってニーズが異なるので、マニュアルを作ることをやめて、お客さまのご要望をできる限り実現するようにいたしました。好みの花の色、BGMなど、本当に千差万別ですので(笑)。曲選びひとつをとっても「1曲目→5曲目→3曲目→2曲目の順番でかけてほしい」など、さまざまなご要望があります。
――本番はどのようなシナリオで?
まず、おふたりがレストランでお食事をしている途中で、わざとなんらかの理由をつけて男性にお席を立っていただきます。そこで「コーヒーを出したら席を立ってくださいね。その頃にはチャペルで準備が整っていますし、私が陰で隠れています」とお伝えします。
やがて席にお戻りになり、コーヒーが出てくると「ちょっとトイレに行ってくる」と席を立ち、チャペルへ移動。段取りを簡単に説明してスタンバイします。そこへ女性をお連れしてプロポーズ、といった流れですね。
――苦労した点は?
以前、テレビ番組で取り上げられた際に、カップルのおふたりが番組をいっしょに観ていて「こんなプロポーズがいいな」とお話しされていたそうです。ですので、私の顔も知っていますし、段取りや景色などもバレている訳です。それを伝えられたのが直前でしたので、アドリブで対応を(笑)。
女性をチャペルまでお呼びする際に、私は階段を駆け上がり、レストランの女性の席までハァハァと走っていき、「今、お連れの方が具合を悪くし、倒れて吐いてしまいました!」と、チャペルまでお連れしたことがありましたね(笑)。
――プロポーズを成功させる秘訣は?
男性がいよいよチャペルでスタンバイをした際に「ここは本来、新郎新婦が立っている場所です。のちほど、ドアを2回ノックしたら、扉が開きます。プロポーズは言葉が大切ですので、心からしっかりと気持ちをお伝えくださいね」とプレッシャーをかけます(笑)。すると男性はますます緊張されて凛々しくなり、このプランでは100%の方々が成功されていますよ。
私自身、今でも妻から「あなたはプロポーズの仕事をしているのに、私はされたことがない」と文句を言われます(笑)。一生引きずりますので、プロポーズはしっかりとしましょうね(笑)。
当日、男性は緊張し、お食事の味を覚えていない方がほとんどだそうで、後日に使えるお食事券もセットで付けるようにしたとのこと。7年間も支持され続ける人気プランに成長したのは、きめ細やかな配慮の心が秘訣だったのかもしれませんね。
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取材・文:八幡啓司 写真提供:ザ・リッツカールトン・大阪
24時間フル稼働のフリーランス生活を送りながらも、12時間睡眠が必須のコピーライター。座右の銘は「いざとなったら、すぐ寝る」。寝ても覚めても、夢の中を生きる。