jig.jp福野泰介が開発する、おじいちゃん・おばあちゃんも使える初心者向けプログラミング環境とは

今年もついにフィニッシュへ。マッシュアップで世界を驚かす、エンジニアの祭典「Mashup Awards 9(MA9)」。プレゼンテーションのファイナルステージと各賞授賞式が行われた渋谷会場は熱気の渦に包まれていました。

メディアパートナー賞「CodeIQアプリ賞」を受賞した、福野泰介氏の初心者向けプログラミング環境「オープンデータでかんたんprogrun」を紹介します。


 

鯖江市のシニア向けプログラミング勉強会で大活躍

400チーム・460作品が応募した今年のMA9も、11月12日のベルサール渋谷ファーストでいよいよ大詰め。昨年同様、ファイナルステージは「TechCrunchTokyo」との共催で、マッシュアップとスタートアップという二つのイノベーションが融け合う坩堝のような雰囲気が、会場全体にみなぎっていました。

福野泰介氏が開発した「オープンデータでかんたんprogrun」は、iPadなどで撮影した写真を背景に、シンプルなJavaScript構文を使って、簡単にプログラムを作ることができる初心者向けの開発環境。

実際に、福井県鯖江市のシニア向けプログラミング勉強会でおじいちゃん、おばあちゃんたちがこれを使ってWebアプリを開発しています。そのコンセプトを福野氏に聞きました。

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「オープンデータでかんたんprogrun」のコンセプト

──福野さんは東京と鯖江市で「jig.jp」という会社の経営者であり、「モバツイ」や「jigブラウザ」が代表的なアプリとして有名です。今回の「オープンデータでかんたんprogrun」というのはどういうコンセプトなんですか。

狙いの一つは将来のIT人材の育成。おじいちゃんおばあちゃんが直接のターゲットというわけじゃなくて、そのお孫さんたちを実は狙っています。

おじいちゃんがプログラムに理解を持ってくれると、孫にもそれを教えたり、孫がコンピュータをいじることをサポートしてくれる。iPadだって買ってくれるかもしれない。そうやってコンピュータに慣れ親しんだ子どもたちが、15年後には当社の戦力になるかもしれないじゃないですか。

──長大な計画ですね。

もう一つは、私のようなプログラマを育ててくれた環境への感謝ですね。私も小学3年生のときにファミコンのファミリーベーシックにはまりました。

今の子どもたちはゲームで遊ぶのは好きですが、できたらそのゲームやアプリを開発することにも興味を持ってほしい。

progrunで使うJavaScriptは超シンプルな構文で、四角や円を描いて、色をつけるぐらいしかできませんが、それでも初めての人には驚きのはず。

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鯖江市のオープンデータ活用にも貢献

──もう一つオープンデータ活用という狙いもあるようですね。

子どもがゲームの世界に閉ざされてしまうことに顔をしかめる大人もいると思うんです。iPadを与えたらそれでずっと動画ばかりを見ていて困る、という話も聞きます。

ところが、オープンデータを使ったアプリとなると、社会との接点がもてるし、社会貢献にもつながる。何より親御さんたちも安心です(笑)。

子どもたちにも、アプリ開発が自分の楽しみだけじゃなくて、どこかで世の中の役に立つんだということを、実感して欲しいんですね。

鯖江市もXML、RDFによる行政情報のオープンデータ化に熱心です。

今は、消防訓練の様子を撮影した写真に消防車のアニメーションをプログラムするなど、背景に使われているのは自分が撮影した写真ですが、これをオープンデータの地図情報に変えれば、防災や観光に役立つ立派なアプリになる。

そういう広がりがマッシュアップ・アプリにはあるんですね。

progrunはアプリ開発やものづくりの世界に、人々が関心を持つ最初のきっかけになればと思って作りました。

これで遊ぶことで、プログラムとは何かに触れた子どもたちの中から、将来のマーク・ザッカーバーグが一人でも生まれればいいなあと願っています。

プログラミングを心から楽しむ人を応援したい

最初にMA9のメディアスポンサーとしてCodeIQ賞の審査基準を設けたときは、「エンジニアが楽しく遊べるアプリ」を選ぼうと考えていました。でも460作品をすべて拝見して実感したのは、MA9応募者の皆さんがエンジニアとして、世の中の人たちに役立つものを作ること自体を楽しんでいるのだなあということ。

CodeIQ MAGAZINEはプログラムを書くことが大好きなエンジニアを応援するメディア。プログラミングを老若男女問わず、その楽しさを伝えていきたいという福野さんの姿勢に大変共感したのが、CodeIQアプリ賞授賞の理由です。だから、CodeIQはこれからも福野さんの「一日一創」をどんどん応援していきたいと思っています。

インタビュー&執筆:広重隆樹/撮影:佐藤聡

※本記事は「CodeIQ MAGAZINE」掲載の記事を転載しております。

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