将来のグローバル人材が知っておくべき世界史6つのポイント

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内需に期待できない昨今、中国人、インド人、アラブ人など、外国人消費者はビジネスに欠かせない存在となりました。しかし、問題となるのは文化の壁。その国の思想、倫理観、食習慣、宗教が理解できないと、せっかくビジネスを仕掛けても失敗する羽目に…。実際、宗教や食習慣を理解していなかったために、異国から撤退を余儀なくされた日本企業は数多くあります。

他国の文化、宗教を知るために勉強しておきたいのが世界史。グローバル化の波に乗ってか、出版不況にもかかわらず、ビジネスパーソンの間では空前の世界史ブームが起こり、さまざまな世界史関連の本がベストセラーになっています。そのなかでも話題となっているのが、『さんまのスーパーからくりTV』『中居正広の金曜日のスマたちへ』を手掛けたTBSテレビのプロデューサーが書いた本『「24のキーワード」でまるわかり! 最速で身につく世界史』(角田陽一郎著、アスコム刊)。今回はそのなかから、ビジネスパーソンが知っておきたい6つの「世界史のキホン」をまとめてみました。

■【ポイント1】人類は、アフリカにいた共通の祖先から始まった

私たちの祖先は一番初めはどこにいたのでしょうか。諸説ありますが、有力なのは、20万年前から今の人類ホモ・サピエンスの共通の祖先が東アフリカの大地溝帯と呼ばれる場所にいた、というもの。そこから約6万年前、世界各国に人類が広がったそうです。つまり、我々人類はもともと共通の祖先だったということ。現代においても人種差別の問題は存在しますが、そもそも人種を差別する理由が科学的には見当たらないのです。“もともとは同じ人種だった”と考えると、どんなに考えの違う外国人とも分かり合える気がしてきますよね。

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■【ポイント2】文明も政治も戦争も、キーワードは「水」

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文明が発達してきたキーワードに「水」があります。例えば、エジプト、メソポタミア、インダス、黄河の4大文明はみな、大きな川沿いに生まれています。真水が手に入るところに人は集まり、農耕をする。そして灌漑(かんがい)や治水といった共同作業をするために、指導者が誕生し、政治をし、大きな都市になる。そして争いが起きる。つまり戦争とは水を確保できる土地を奪うための争奪戦なのです。そして重要なのは、その川や地形の性質により文明の特性が異なり、そのことが現在の地域の特性に大きく影響しているということです。4大文明を知ることで、外国人の価値観の違いが大まかにわかってくるということですね。

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■【ポイント3】「自分たちが世界の中心」と思う中華思想は、黄河文明が発端

では、どのように違うのでしょうか。例えば、4大文明のひとつに、黄河文明があります。中国北部を流れる黄河は、中国中部に黄土高原と呼ばれる黄色い大地を形成しました。そこで栽培されたアワは黄土高原の地下水で栽培されたため、大規模な灌漑は行われませんでした。そのため、小さな部族が点在し、それぞれの部族の祖先が崇拝されました。そのため黄河文明は、ほかの文明と違い、きわめて閉鎖的かつ同族的な文明になったといいます。この閉鎖的な世界の中で形成された自己完結型の世界観が「中華思想」の源泉になったとか。「中華思想」とは、端的に言うと「自分らが世界の中心(=中華)である」という考え方です。その基盤がそんな大昔にあったとは驚きです。

■【ポイント4】たった一人の英傑が歴史を動かしてしまうことが、世界では多い

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紀元前6世紀にイラン高原から起こったアケメネス朝ペルシアは、人口5000万人の世界史史上最大の巨大帝国でした。その帝国を滅ぼしたのが、マケドニアのアレクサンドロス大王です。「世界の覇者になる」という野望を持った若き王が、ギリシャからエジプト、ペルシャ、インドと東方の国に侵攻し、その間、アレクサンドリアという自分の名前を用いた都市を次々と設立。大帝国を築きます。300年続くヘレニズム時代の幕開けです。しかし、栄華を極めたアレクサンドロス大王は、30代半ばで蜂に刺されてなくなってしまうというから、人生何が起こるかわかりません。

ここで重要なのは、ものすごい野望を持った英傑が、あっという間に歴史を動かすようなことをしてしまうことが世界の歴史では多い、ということです。確かにアメリカでは、ビジネスや政治の世界で、一人の熱血漢がイノベーションを起こすこと、よくありますよね。

■【ポイント5】“反対”だったものが“公認”になる。世界史ではよくある現象

国から反対され迫害されていたものが、時を経て公認され、ついには国教になる。こんな現象は世界史ではよくあること。例えば、キリスト教。衰退がはじまった古代ローマ帝国で、不満を感じた人々は宗教に救いを求めます。そこでキリスト教が急速に広まるわけですが、その勢いを恐れたローマ帝国は最初、キリスト教を禁じます。しかし、313年、コンスタンティヌス帝が「ミラノ勅令」を出し、公認。その後、4世紀にはテオドシウス帝がローマの国教にし、ほかの宗教を禁じます。

知っておきたいのは、“反対だったものが、転じて公認になる”ような逆転現象は歴史上よく起こる、ということ。今、当然だと思っている法律や常識がいずれひっくり返る可能性は十分あるし、違う地域の人の考え方を見ておかしいと思っていても、いずれ自分たちがそうなる可能性もある、ということ。今の自分の価値判断で、他の時代や他の地域の考え方や思想をおかしいと決めつけることはいかに危険か、ということを教えてくれます。

■【ポイント6】革命と明治維新の違いは、旧体制のボスの処刑

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フランス革命を筆頭に、世界では様々な革命が起こっています。革命はどんな時に起こるのか。まず押さえておきたいのが、民衆のエネルギーが革命を推進するということ。そのエネルギーとは民衆の中に長年たまったうっぷんや不満。その「気持ち」がエネルギーとなって、革命を推進。そしてこの「気持ち」に“外からの理念”が注ぎ込まれると、途端に発火して燃え上がり、連鎖する。それが革命だとこの本では説明されています。

では、日本では革命は起きていないのか。革命に非常に似ているのが明治維新です。しかし、明治維新は「旧体制のボスを処刑する」という最も革命的な断絶的な行為がなかったことが決定的に違う。これをこの本では「過去を継承することを第一義と考える国民性が日本人のアイデンティティだから」と解釈しています。急激な変化を好まずに、徐々にゆっくりと変わっていくことを望むのが日本。そういえば、日本企業に比べ外資系企業のほうが社内変革がドラスティックな傾向にありますよね。

いかがでしょうか。「外国の方とは分かり合えない…」とため息をつく前に、世界の歴史を学んでみると理解の糸口が見つかるかもしれません。今回参考にした『最速で身につく世界史』には、「アメリカの特殊な成り立ち」「多神教と一神教の違い」「お金の価値は何で決まるのか」「共和国と王国と帝国の違い」など、世界史を理解するうえで重要なポイントが、わかりやすく書かれています。異なった文化を理解するうえで読んでおきたい一冊です。

参考書籍

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『「24のキーワード」でまるわかり! 最速で身につく世界史』(角田陽一郎著、アスコム刊)

文/牛島モカ

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